小澤征爾: Seiji OZAWA
著:小澤征爾
写真:大窪道治
その指先が、視線が、息づかいが紡ぎ出す至上の音楽―世界を魅了しながら、さらなる高みを求めて奏で続ける終わりなき旅の道程…傘寿を迎えた世界のマエストロ、円熟の30年間の軌跡を辿る記念碑的写真集。---データベース---
傘寿を迎えた世界のマエストロ、円熟の30年を跡付ける写真集です。サイトウ・キネン、水戸室内楽、ボストン、ウィーン……世界のオーケストラを指揮する雄姿から、松本でのフェスティバルや音楽塾での指導、キャラバン、共演者とのショットからプライベート・ショットまでを収録しています。大病から復活し、さらなる高みを目指して奏で続ける日々に密着しつつ、本人が語る思い出やエピソードを交えて辿る、記念碑的写真集です。
これは2016年に発売された一番新しい写真集です。年を追って時系列的に写真が収録されていますから非常にわかりやすい構成です。大窪道治氏が撮った写真に、小澤征爾氏のコメントが付された写真集です。これまでにも何冊か写真集は発売されていますが、こういう纏め方は初めてではないでしょうか。
写真集の表紙の指揮姿には指揮棒が写っていません。あるウィーンでのコンサートの直前、指揮棒をアパートの部屋に置いて来てしまったそうです。部屋に戻る余裕はなかったため、指揮棒なしで本番に臨んだところ、楽団員は何も言いませんでした。
つまり小澤征爾の表情は見ていても指揮棒は見ていなかったというのです。この時から、指揮棒は使わなくなったそうです。それまで使っていた指揮棒はユージン・オーマンディが彼にプレゼントしてくれたものだったということです。下の写真の指揮棒がそうなのでしょう。
おさへ話政治、スピルバーグ、ジョン・ウィリアムス、ヨー・ヨー・マ
共演者の中にはすでに鬼籍に入られた方もいます。ロストロポーヴィチ、潮田益子、ロバート・マン世界の名オーケストラや卓越したソリスト、そして愛する家族や仲間とのくつろぎの写真もあり、幅広い構成で彩られていました。
若かりし頃のポートレイトと小澤征爾
小沢ファミリー
2005年の小澤征爾
2013年の小澤征爾
オケピットの小澤征爾
ウィーンフィルを指揮する小澤征爾
この写真集、巻末には、以前「小澤征爾さんと、音楽について話をする」という本を出した村上春樹さんの「それが美しくないわけがない」の一文が掲載してあり、そこに小澤さんの音楽の奥儀のような指揮の技術が記してありました。そんな収穫のある本でもありました。
後何年小沢の指揮姿を見ることができるのでしょう。今年の「征爾・小沢フェスティバル」にはジョン・ウィリアムズが登場します。彼のほうが年上ですが、果たして小澤征爾は姿を見せるのでしょうか。