ベスト吹奏楽100-ポップス・ブラスの饗宴 | geezenstacの森

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ベスト吹奏楽100-ポップス・ブラスの饗宴

 

曲目/

1.アフリカン・シンフォニー    4:19

2,シング・シング・シング    5:11

3.宝島    4:01

4.ディズニー・メドレー    9:24

5.虹の彼方に    4:45

6.76本のトロンボーン    3:10

7.追憶のテーマ    4:29

8.踊りあかそう    5:39

9.カーペンターズ・フォーエバー    6:23

10.イン・ザ・ムード    3:36

11.A列車で行こう    5:00

12.ブラジル    6:35

13.マンボ No. 5    4:23

14.エル・クンバンチェロ    4:08

15.デサフィナード    6:31

 

演奏/東京佼成ウィンド・オーケストラ

  シエナ・ウィンド・オーケストラほか

 

東芝EMI TOCF-56051

 個人的に吹奏楽の音楽会にはよく出かけています。まあ、それらの音楽会でよく取り上げられるのがここに収録されているようなポップスの編曲ものです。このアルバムはそんな吹奏楽の演奏を集めた6枚組の東芝EMIの「ベスト100」シリーズのボックスの中の一枚です。「ポップス・ブラスの饗宴」と題されていて、よく演奏されるヒット曲が網羅されています。このポップス編にはEMIが誇る「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズから「アフリカン・シンフォニー」を筆頭に「シング・シング・シング」や御馴染み「A列車で行こう」、「イン・ザ・ムード」など古今の名作30曲を収録されています。その中でこの一枚は特にお気に入りのものです。

 

 トップに収録されているのは「アフリカン・シンフォニー」です。今や夏の甲子園ては必ずと言っていいほど演奏される定番曲になっています。オリジナルは、ヴァン・マッコイが1974年に発表したアルバム『ラブ・イズ・ジ・アンサー』(Love Is The Answer) に収録されていた楽曲で、いわゆる「ディスコ・ミュージック」の一つとして発表されながらも、自身の結成したオーケストラ「ザ・ソウル・シティ・シンフォニー」との演奏により大ヒットしました。この曲はアルバム・バージョンと12インチリミックスバージョンがあります。そのリミックスバージョンです。

 

 

 曲は1975年にはヘンリー・マンシーニがアルバム『シンフォニック・ソウル』 (Symphonic Soul) のラストナンバーとして本楽曲を取り上げてディスコ以外のイージー・リスニングとして認知され、さらには1977年には岩井直溥の編曲による楽曲が『ニュー・サウンズ・イン・ブラス第5集』に収録されたことによって吹奏楽曲の一つとして認知されることになりました。

 

 

 マンシーニのこのアルバムには別に「ソウル・シンフォニー」という曲も収録されていてそちらもヒットしました。まあ、そのアルバムは別に取り上げるとして、ニュー・サウンズ・イン・ブラスに収録されたのは岩井直溥指揮の東京佼成ウィンド・オーケストラのこの演奏です。

 

 

 定番曲の2曲目は「宝島」でしょう。吹奏楽では定番曲になりすぎて、今の中高生は原曲の『宝島』ではなく吹奏楽の『宝島』から入ることも多いでしょう。「宝島」は元々は日本を代表するインストゥルメンタルバンドT-SQUARE(ティー・スクェア)の曲です。T-SQUAREは1976年~現在に至るまでメンバーを入れ替えながら活躍するバンドで、作曲者はバンドメンバーでもある和泉宏隆さんです。

 

 

 さて、このアルバムに収録されている曲の中で「76本のトロンボーン」はあまり聞いたことがないのではないでしょうか。もともとはミュージカル作品の「ミュージックマン」の中で演奏される行進曲で、2度映画化された作品にもこの曲は使われています。曲中にスーザの『星条旗よ永遠なれ』や『ワシントン・ポスト』、バグリーの『国民の象徴』などの有名な行進曲の旋律が登場するのですが、この吹奏楽版にも「星条旗よ永遠なれ」の一節が取り込まれています。下はその1962年の映画の一部でラストの行進の部分です。

 

 

 もう一丁、下は実際の76本のトロンボーンで演奏したものです。

 

 

 このアルバムで演奏されているのは下の演奏です。

 

 

 名曲ぞろいのアルバムですが、最後にアントン・カルロス・ジョビンの名曲「デサフィナード」が収録されています。この6月5日にボサノヴァの女王、アストラッド・ジルベルトが83歳で亡くなっています。1964年、アメリカ人ジャズ・サックス奏者のスタン・ゲッツと夫ジョアンのコラボ・アルバム『Getz/Gilberto』に参加したアストラッドは、当時プロの歌手ではありませんでしたが、収録曲「イパネマの娘」を英語で歌い、シングル・リリースされた同曲が世界的に大ヒット、翌1965年のグラミー賞「最優秀レコード賞」を受賞しました。そして、彼女は1996年にはジョージ・マイケルと「Desafinado」をデュエットするなど、「ボサノヴァの女王」として世界的な名声を得ました。そんなことで、この曲を取り上げました。

 

 

 トラディショナルな吹奏楽も好きですが、こういうポップスの吹奏楽もいいですねぇ。