マゼールのスラヴ舞曲
曲目/ドヴォルザーク
スラヴ舞曲集Op.46
1.Slavonic Dance In C, Op. 46/1, "Furiant" 4:16
2.Slavonic Dance In E Minor, Op. 46/2, "Dumka" 5:32
3.Slavonic Dance In A Flat, Op. 46/3, "Polka" 5:02
4.Slavonic Dance In F, Op. 46/4, "Sousedská" 8:07
5.Slavonic Dance In A, Op. 46/5, "Skočná" 3:36
6.Slavonic Dance In D, Op. 46/6, "Sousedská" 5:38
7.Slavonic Dance In C Minor, Op. 46/7, "Skočná" 3:34
8.Slavonic Dance In G Minor, Op. 46/8, "Furiant" 4:27
スラヴ舞曲集Op.72
1.Slavonic Dance In B, Op. 72/1, "Odzemek" 4:19
2.Slavonic Dance In E Minor, Op. 72/2, "Starodávny" 6:38
3.Slavonic Dance In F, Op. 72/3, "Skočná" 3:29
4.Slavonic Dance In D Flat, Op. 72/4, "Dumka" 5:25
5.Slavonic Dance In B Flat Minor, Op. 72/5, "Špacírka" 2:50
6.Slavonic Dance In B Flat, Op. 72/6, "Starodávný" 4:39
7.Slavonic Dance In C, Op. 72/7, "Kolo" 3:28
8.Slavonic Dance In A Flat, Op. 72/8, "Sousedská" 7:39
指揮/ロリン・マゼール
演奏/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1988/02 フィルハーモニー、ベルリン
P:デヴィッド・グローヴス
E:マイケル・シヤディ
EMI TOCE−13065
ロリン・マゼールのEMIへの録音も結構あるはずですが、今までボックスに纒められたことはありません。まあ、それだけ重要視はされていなかったのでしょう。そんな中でEMIにこんな録音を残していたことも全く知りませんでした。マゼールはシベリウスの交響曲は全集を2度録音しているにもかかわらず、ドヴォルザークの交響曲は後期の7-9番しか録音していませんし、序曲は「朱肉祭」ぐらいしか録音していないのではないでしょうか。それなのにこのスラヴ舞曲は全曲録音しています。変わっていますなぁ。
手元にある1993年版のレコゲイムックの「名曲名盤300」のこの曲では、
1位 クーベリックバイエルン放送交響楽団
2位 ドホナーニ/クリーヴランド管弦楽団
3位 マゼール/ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
という順でリストされていました。
ちなみに1987年版では
1位 クーベリックバイエルン放送交響楽団
2位 セル/クリーヴランド管弦楽団
3位 ドラティ/ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団
さらに1983年版では
1位 クーベリックバイエルン放送交響楽団
2位 セル/クリーヴランド管弦楽団
3位 コシュラー/チェコフィルハーモニー管弦楽団
となっています。クーベリックは不動のトップという感じですが、その他はその時々の新録音がチョイスされていると言ってもいいでしょう。個人的にはこのクーベリックの演奏はそれほどいいと思っていません。全体にアップテンポで音楽の作り方はいいのですが、グラモフォンの録音というのが曲者で、全体にドンシャリの音で演奏に浸ることができなかったものです。まあ、前にも書いていますが、全曲ではありませんが、ケルテス/イスラエル・フィルの演奏がその迫力と低域まで伸びた音のバランス、豊饒さで他を圧倒しています。これで全曲残してくれれば素晴らしいディスクができたことでしょうに、早世が惜しまれます。
さて、そんな中、マゼール/ベルリンフィルのスラヴ舞曲集です。カラヤンとベルリンフィルの関係がぎくしゃくとしていた頃のマゼールの録音です。このころは次期常任指揮者への野望がめらめらと燃えていた頃です。そういうこともあってか、カラヤンの録音していないレパートリーで勝負しようと録音したのではないでしょうか。ただ、EMIを選んだのが失敗だったような気がします。せっかくのベルリンフィルの重厚な響きが十全に拾えていません。確かに機能美という点ではアンサンブルの見事さや指揮者への対応力はピカイチです。
マゼールの解釈もOp.46の第1番はややおっとり刀のテンポでいまいちリズムの躍動感に乏しいのが残念ですし、第3番は意外とおとなしいアプローチで民族色をもう少し出してほしいものです。その作品46です。
聴いていて楽しいのはこちらの作品72の方でしょうか。第1番から溌剌としたテンポで押し切っていきます。ただ、ここでもEMIのマイルドトーンの響きでせっかくのベルリンフィルの馬力が削がれているのがもったいないですなぁ。緩急をつける曲の配列で第2番もしっとりとした演奏に仕上がっています。
足らねばですが、このコンビでデッカが録音していたらもっと話題になった一枚ではないでしょうか。ちなみに、このマゼール/ベルリンフィルは初期は別として、デジタル時代で録音されて話題になったのはワーグナーの管弦楽曲集ぐらいなものではないでしょうかねぇ。