ジョージ・ウィンストン
「オータム」
曲目/
01. セプテンバー カラーズ / ダンス 10:25
02. セプテンバー 森 6:47
03. セプテンバー あこがれ / 愛 9:10
04. オクトーバー 道 4:14
05. オクトーバー 月 7:45
06. オクトーバー 海 2:43
07. オクトーバー 星 5:36
ピアノ/ジョジ・ウィンストン
録音/1980/06/19,20 ミュージック・アネックス・メンロ・パーク カルフォルニア
P:ウィリアム・アッカーマン
E:ハーン・ソパー、ラッセル・ボンド
ウィンダムヒル WHP28001
レコードとしてのこの「オータム」は当初はA&Mがディストリビュートをしていました。で、当時の日本での発売権はA&Mと契約していたALFAレコードが持っていました。ですから、このレコードはA&M RECORDSとALFA RECORDDSの両方がジャケット裏面にクレジットされています。そんなことで入手したレコードは日本で最初に発売されたロットです。のちに発売窓口はポニーキャニオンに移っています。
その後は、A&Mがポリグラムに吸収されたのでウィンダムヒルはA&Mを離れ、BMGに映ります。その後BMGがソニーに吸収されたので、現在の発売窓口はソニーということになります。
初出は内袋まで凝っていて、専用のものが使用されていました。米国でのリリースは1980年だったのですが、1978年からA&Mの発売権を持っていたアルファ・レコードは米国でのヒットの情報を持っていたのでこのアルバムをアッカーマンのものと差し替えて、それもタイトルのオータムに合わせて1982年9月に発売しています。そのため、レコード番号がWHP28001で、アッカーマンの「パッセージ」はWHP28002で発売されています。
また、アルバムのA面は「SEPTEMBER」B面は「OCTOBER」と表記されていて、トータルアルバムとしてのコンセプトを明確に表示しています。
ただ、個人的には当時はこのレコードには手を出しませんでした。レコードにはWジャケット仕様というものがあるのですが、このレコードせっかく表裏両面で写真がつながっているのに、シングルジャケット仕様でそれが生かされていなかったからです。当時のアルバムは2,800円したのですが、それが生かされていないと落胆して購入をやめたのでした。裏面は以下のデザインでした。面から続いているデザインです。
さて、アメリカ生まれのソロ・ピアニストで、作曲家のジョージ・ウィンストンの作品「オータム」は1980年にリリ―スされ、出身地であるモンタナ州の四季を表現した4部作のうち秋がテーマで、ピアノ・ソロアルバムとしては異例のヒットを遂げ全世界で大ヒットを記録しています。
中でも収録曲「あこがれ/愛」はテレビ番組のBGMや車のCMにも起用され、なじみある人も多いはず。水が流れるように清らかなピアノの音色と、軽やかな中に哀愁を含む旋律は、40年以上経った今なお色あせることがありません。
ジョージ・ウィンストンは、この「AUTUMN」(秋)を皮切りに、1982年に「WINTER INTO SPRING」(春)と「DECEMBER」(冬)を発表、さらに1991年の「SUMMER」(夏)により、いわゆる「四季4部作」を完結しています。
まず、何より素晴らしいのは、クリスタルを思わせるクリアなピアノのサウンド! これまで聴いてきたクラシック音楽のピアノ曲とはまったく違う・・・、録音の手法の違いもあるのでしょうか、曲が終わってもいつまでも響き続けるピアノの余韻が深く心に残ります。
3曲目の『Longing/Love(あこがれ/愛)』は特に有名で、日本でも、1984年、俳優の山崎勉が出演するトヨタのクレスタのCMで使用されたことを、ご記憶の方も多いのではないだろうか。また、5曲目の『Moon(月)』の中間部で聞かれるトレモロは、。
1. Colors / Dance
いきなり10分以上にも及ぶ準即興的な音楽です。前奏部は穏やかで単調ですが、冷やりと澄み切った空気感が感じられます。中間部からテンポが上がり、後半部では、両手で繰り返される3連符のアルペジオは、あたかも色とりどりの紅葉が舞い踊るようで、色彩感あふれる旋律に心奪われます。
2. Woods
前奏部は短調のクラシカルな旋律が見られますが、それとは対照的に途中からやや軽快なテンポの明るい曲調へと変化します。高音部の和音トリルの美しさが光る曲です。
3. Longing / Love
彼の作品の中で最も有名な曲で、特に主題の旋律は一度聴けば耳から離れないほど圧倒的な美しさを持ちます。1984年に俳優の山崎勉が出演するトヨタの新クレスタのCM曲に、近年ではJTのCM曲(編曲)として使用されました。
4. Road
遅めのテンポで明確な旋律を持たないため、他曲に比べるとやや地味な印象がありますが、モンタナの自然の広大さがどっしりと伝わってくる音楽です。
5. Moon
この曲以降は晩秋の冷たさが伝わってくるような寒色系の音楽が演奏されます。随所に琴を連想させるトレモロ奏法が取り入れられており、天体の神秘性や日本の筝曲をイメージしたということで、どことなく日本の寂が感じられる曲です。
6. Sea
全体を通してクラシック調の華麗な旋律が光る曲です。以前にフィギアスケートでこの曲を使用していた選手を見たことがありますが、そういえば氷の持つ冷たく芸術的な印象と合致しているような気がします。
7. Stars
本作の中で最も暗い曲です。Moonと同じく天体の神秘性が感じられます。
こうして、澄み切った秋の空気を感じる「カラーズ/ダンス」や、晩秋を表現した「月」といった全7曲を通して、季節の移り変わりを感じるのは40年の月日の流れ中でも変わりありません。当時この1枚の虜になった方々には勿論手に取って欲しいし、ジョージ・ウィンストンの音楽をこれまでの人生で聴いた事がない人には、是非とも耳を傾けて欲しいアルバムです。
これらの音楽は当時はニューエイジ・ミュージックとしてナラダのレコードとともによく聴いたものです。このNARADAについてはCDが見つかり次第、近く取り上げようと思っています。
さあ、それではコンセプトアルバムとして全体を聴いてみましょうか。
下はレコード盤です。