松坂屋創業410周年・松坂屋美術館開館30周年記念うつくしき和色の世界 -KIMONO | geezenstacの森

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松坂屋創業410周年・松坂屋美術館開館30周年記念

うつくしき和色の世界 -KIMONO
 

 

 つい先日まで名古屋の松坂屋美術館で開催されていた展覧会です。前期と後期に分けて展示替えをするという松坂屋美術館としては珍しい展覧会でした。ただ、物々しいタイトルの割には、内容的には美術館に併設されている松坂屋資料室で随時公開されてきた内容を拡大して展示しているようなもので、これといった珍しさはありませんでした。

 

 そんなこともあり、展示会が終わってから取り上げることにしました。

 

 江戸時代には現代人では考えられないような色が存在していました。最たるものは浮世絵でしょう。そこに表現された色は現代の技術でも再現できないような色合いが使われています。その色合いを美人画は捉えているのですが、時間とともに退色してしまうのも印刷物の宿命です。この展覧会で取り上げられた色も赤、黒、紫、白と時代を通して変遷してきたものを切り口として捉えていました。

 

 一方、江戸時代は紺屋(染物屋)や呉服屋が仕掛けた流行色が表われます。江戸中期の元禄以降文化文政にかけて、幕府は華美な衣服を規制する奢侈禁止令(しゃしきんしれい)を発布しましました。紅、紫、金糸銀糸などの華やかな衣裳が禁じられましたが、富める町人たちはそれをやむなく受け入れ、茶や鼠の地味な色合いの縞や格子、小紋染など、地味なものを着るようになりました。そのため、実にさまざまな茶色や鼠色が流行し、四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねず)と呼ばれました。

 

 着物というと現代では成人式で女性が着るものという儀式が一般的ですが、こういう固定観念が着物の流通や着用を硬直化させているのではないでしょうか。

 

 この展覧会でも、女性の着物だけを展示し、男の着物については一切触れられていませんでした。着物文化を語る上ではこれは片手落ちであると言わざるを得ません。

 

 小生も今年の夏はほぼ毎日甚平を着て過ごしましたが、これなどは現代風の着物なんでしょうなぁ。言って見ればスターウォーズのスカイウォーカーの世界ですよ。それはさておいて、日本の人口の半分は男であり、それは江戸時代でも当てはまるはず。その男の着物については全く触れないというこの展覧会は片手落ちと言えるでしょうなぁ。

 

 まあ、そうはいってもさすが松坂屋が所有する所蔵品ということもあり、今回は写真撮影がOKでした。

 

 

遊楽屏風図 江戸時代前期

右から、腰巻、帷子、小袖、振袖

第1章 白を求めて

 

 

 

第2章 広がる染色の世界

 

 

 

 粋なスパイダー柄

イラストは撫子凛さんです。
 
 
 
 
 
松坂屋にはデザインの見本帳が保存されています。
 

第3章 華やぎ艶めく色
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 これが江戸時代の色見本です。
 
 
 
 
 
 

 まるで明治時代へのオマージュのようなイラストですな。でも、着物を現代に生かそうと思うとこれぐらいのチャレンジは必然でしょう。