ロンドンCD名盤2800
カルロ・フランチの
ヴェルディ/オペラ合唱名曲集
曲目/ヴェルディ
1. Il Trovatore - Vedi! Le Fosche Notturne, "Anvil Chorus" 2:37
2. Il Trovatore - Squilli, Echeggi, "Soldier's Chorus" 2:24
3. Nabucco - Gli Arredi Festivi 4:32
4. Nabucco - Va, Pensiero 5:02
5. I Lombardi - O Signore, Dal Tetto Natio 4:10
6. Aida - Gloria All' Egitto 11:34
7. La Battaglia Di Legnano - Giuriam D'Italia 3:58
8. Attila - Urli, Rapine 4:42
9.Otello - Fire Chorus 2:42
指揮/カルロ・フランチ
演奏/ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、合唱団
合唱指揮/ジーノ・ヌッチ
録音/1964 ローマ
P:マイク・ブレムナー、レイ・ミンシュル
E:ケネス・ウィルキンソン
ホリドール LONDON F28L−28048
このCDは第1回発売文の中で一番古い録音です。本来ならキングレコードが発売の優先権を持っていたはずですが、キングが出す予定はなかったということで、ポリドールからの発売になったものです。先にも書きましたが、ロンドンのこのシリーズは25枚の中に声楽作品を3枚も投入していました。競って発売された各社のラインナップでは異常に目立っていました。
ただ、各社は今までのベストものの焼き直しのラインナップが多く、それに反してロンドンレーベルを使いながらもポリドールは旧譜が使えないというハンデでシリーズを組まなければいけませんでした。そんな中でチョイスされたのがこの音源でした。
実はこの音源、初出時はレコ芸、朝日視聴室の推薦盤でもありました。録音スタッフを見ても、当時のデッカの精鋭が担当しています。デッカはカルショウ率いるウィーンチームとは別のスタッフが担当していますが、オペラには力を入れていたレコード会社です。そんなデッカが合唱曲だけを取り出してレコーディングしたのは画期的なことでした。なにしろスターがいるわけではありませんからねぇ。まさにヴェルディの合唱曲の素晴らしさをアピールするために計画されたものです。一般にはこういう企画ものは、全曲盤の中から抜き出して曲目を編成するのが常で、既存録音ですから新たに制作費を投入しなくても済みます。ただ、あくまでも抜き出しですから、前後のつながりを無視して編集されてしまいます。
しかし、この録音はこの企画のために合唱だけを録音しています。そのため、曲そのものを違和感なく楽しむことができます。実際、小生も同様の企画でグラモフォンから発売されたアバド指揮のものも所有していますが、全曲からの抜粋で純粋に合唱曲を楽しめたとは言い難いないようであり、ほとんど取り出すことはありません。
カルロ・フランチは惜しくも昨年3月22日91歳で亡くなっています。早くから世界的なオペラハウスで数多くの公演を指揮、その一方でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとする名門オーケストラにも数多く客演しました。また、指揮活動のかたわら、オペラ、映画音楽の作曲家としても活躍した。オペラは1958年初演の《皇帝=L’Imperatore》があり、映画音楽は1963年の「無敵の七人」の音楽などがあります。日本でも、1989年に藤原歌劇団が行ったベッリーニ《清教徒》の日本初演の指揮台に立ち、東京フィルハーモニー管弦楽団を指揮しています。
彼の作品としては下記のものがYouTubeにアップされていました。オーケストラのための協奏曲ですが、小生の耳には映画音楽にも聴こえます。(^_^;)
ローマ聖チェチーリア音楽院は彼の学んだ母校で、そういった意味でもこの録音は懐かしくも楽しい演奏となったのではないでしょうか。そうそう、昨日取り上げたエンニオ・モリコーネもこの聖チェチーリア音楽院の出身です。
何といっても、一番興味があったのは「アイーダ」の街宣の音楽です。ここでは行進曲と舞踏音楽がしっかりと雌雄録されています。普通の「アイーダ」のオムニバス盤だと歌手中心の選曲ですから、「清きアイーダ」とか「勝ちて帰れ」などの曲が選ばれ、入っていても凱旋行進曲だけのものが多く、舞踏音楽までも収録されているものはあまり見かけません。このCDではしっかり収録されています。
合唱曲集の中にこの舞踏音楽まで収録されているのは実に嬉しいことで、このCDはiTunesにも取り込んであります。全曲は下記の映像で楽しめます。レコード時代の録音ということで収録時間がちょいと短いのが唯一残念なところです。