QUADROMANIA
「THE ROMANTIC RUSSIAN MASTERS
曲目/
録音:1994-1996
membran 222197-444
CDの整理で発掘されたものです。2004年に発売されたものです。このシリーズで初めて「membran」というメーカーを知りました。CD4枚組ですが、当時は破格の1,500円弱で販売されていました。それも、すべてデジタル録音で演奏はロイヤル・フィルのものとあって注目したものです。このシリーズではペーター・マークのシューベルト(VOX原盤)、カラヤン/フィルハーモニアのモーァルトオペラ集(EMI原盤)、スワロフスキーのブラームス交響曲全集(原盤不明)などを購入していますが、何故かこのセットだけはお蔵入りしていました。
このセットは2004年の発売ですが、のちに30枚組の「ロイヤル・マスターワークス・コレクション」として再発されています。そこでは第1集と第2集があり、このセットに収録されている曲はばらばらに収録されていました。しかし、小生はそのボックスセットを持っているので、こちらの存在を忘れていたのですなぁ。
ロシア物をまとめて聴くことができるという意味ではこちらの4枚組は纏まりがあり存在価値があります。その中でもユーリ・シモノフの演奏は注目していましたので購入した次第です。ユーリ・シモノフは1998年からモスクワフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めていますし1984年にイギリスデビューしていらいたびたびこのロイヤル・フィルと共演しています。日本にも頻繁に来日していて小生には馴染みの指揮者です。下に貼り付けたNH交響楽団との「くるみ割り人形」組曲は丁度このロイヤル・フィルと録音した1993年のものです。ほぼ同じ解釈といってもいいでしょう。
素人目で見ても、わかりやすい指揮をする人で、小生はその的確な指揮ぶりに感嘆した記憶があります。それを確認できるのが下の映像で、ストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」を実に細かい指示を出して指揮しているのをつぶさに確認することができます。
最近のコンサートホールはオーケストラの裏側の席もあるのでその位置からだと指揮者の表情がつぶさにわかるので好きです。
このセットには都合4人の指揮者が登場しています。シモノフ以外はバリー・ワーズワース、ジャン=クロード・カサドシュ、オーレ・シュミットです。その中でも、バリー・ワーズワースは比較的名前を聞く指揮者です。イギリスの中堅識者で初期のナクソスやデッカにも名を連ねています。チェンバロ奏者出身という変わった経歴の持ち主ですが、今やチャールズ・グローヴスの後を次ぐイギリス音楽の理解者という立ち位置にいるのではないでしょうか。そんな彼の演奏する「シェエラザード」はバレエ音楽も得意としている特性が良く出ているリズム感溢れる演奏になっています。
多分。一番地味なのはオーレ・シュミットでしょう。デンマーク出身の指揮者で、北欧の音楽をずいぶん録音していて、ニールセンの交響曲全集は評判になりました。ここでは、珍しくボロディンの作品を演奏しています。歌劇「イーゴリ公」からは序曲、ダッタン人の踊り、ダッタン人の行進と3曲演奏されていてこれが聴きものです。ただ、交響曲第2番はやや線が細くてまとまりにかけているのが残念です。
最後の、ジャン=クロード・カサドシュは名ピアニストのロベール・カサドシュの甥に当たる存在で、フランスの知勇見識者です。この人もナクソスに録音していて、自ら設立したリール国立管弦楽団を指揮したものを録音しています。やはりお国者が得意な識者でここではやや他流試合的なムソルグスキーを振っています。