洋楽シングルダイジェスト
昭和45年5月新譜
曲目
A面
1.大脱走マーチ 2:07
2.フィナーレ 3:17
サントラーエルマー・バーンステイン
3.ユー・ガットトウ・ルーズ 5:41
4.ユニバーサル・ロック 4:06
アール・フッカー
5.愛のおもいで 4:43
アフター・ティ
6.シー・ニーズ・ア・マン 2:43
ザ・チャールズ
B面
1.シシリアン 3:00
2.明日に向かって撃て-雨にぬれても-2:35
レイモン・ルフェーブル
3.夜の刑事 2:50
サウンドメトラック
4.愛のひととき 2:20
5.好きといって 2:23
ジェイとアメリカンズ
6.彼の愛を 2:35
ボビー・マーティン
キング DY4506-2
レコード番号の末尾に2とついていますから、多分1もあったと推察されます。このダイジェスト版はユナイト、ブルーズウェイ、ロンドン、A&M、セブンシーズレーベルの新譜分です。
スティーヴ・マックィーンの「大脱走」はオリジナルは1963年に公開されていますが、この1970年にリバイバル公開されています。
オープニングのエルマー・バーンスタイン(1922-2004)の「大脱走」のマーチが上の映像です。ただ単にドイツ軍の軍用車の一群が緑の平原の中を走っているだけなのですが、これだけわくわくさせてくれます。もうこの時点から多くの人は本作品のマジックにかかっているのでしょう。自然の中を走る迷彩色でくすんだ軍用車とヨーロッパの風景の輝くばかりの緑色。そして、タイトル文字の濃い赤色のコントラスト。ポイントは軍用車が通り過ぎるたびに揺れる草花ののどかな描写です。
そして、こちらがフィナーレの音楽です。この音楽がかっこ良くて、後にオリジナルのサントラ版も購入しました。まあ、そういう意味ではこのサンプラーは役に立ったというべきでしょう。
キングは当時サントラ盤レーベルをたくさん抱えていました。「ユナイト」なんかはその際たるレーベルですし、「セブンシーズ」は特にヨーロッパの一本買用のレーベルでした。
このジャンクLPはサントラが多数含まれているということで購入したものですが、寄せ集めというのは時に思わぬ広いものがあるのが楽しみの一つです。その中の一人がアール・フッカーです。シカゴ・ブルースの最盛期を担った、ブルースの系譜において最も影響力のあるスライド・ギタリストのうちの一人で、この曲が日本でのデビューシングルでした。とは言っても、彼は1970年に亡くなっていますから、追悼レコードでもあります。このサウンド、どこかで聴いたことがあると思ったら「バック・トゥ・ザ・フユーチャー」の中で演奏されたチャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」に近しいものを感じます。
このLPで注目したのは「夜の刑事」のサントラです。フランコ・ネロ主演の1969年公開のイタリア映画です。配給は日本ヘラルドということで、音楽は歌手でもあるフレッド・ボングストが担当していました。これはセブンシーズレーベルで発売されたもので、オリジナルはモノラルです。
さてさて、同じ映画音楽でもキングはレイモン・ルフェーブルを始めロンドンレーベルでマントバーニやフランク・チャックスフィールドなどのイージーリスニングの大所を抱えていました。この1970年のレイモン・ルフェーブルはまだブレイク前で、レーベルもセブンシーズから発売されています。ここで収録されている「シシリアン」は1969年公開のアラン・ドロン主演のフランス映画の主題曲です。作曲はエンリオ・モリコーネでオリジナルは下の演奏です。
でも、当時はこのレイモン・ルフェーブルの演奏がFMでよく流れていました。
この時代は映画音楽も大オーケストラを使ったジョン・ウィリアムズのような壮大な作品よりも、こういうポップな曲が多かったのがイージー・リスニングに向いていたのではないでしょうか。
ジェイとアメリカンズというグールプはかすかに記憶があります。60年代を通じてヒット曲を出し続けたニューヨーク・クイーンズ出身のポップ・ボーカル・グループですが、ノリ的には古き良き50年代って感じがします。この曲は1970年3月28に膣せけキャッシュ・ボックス68になっています。後期はフォーク・ロックのブームを取り入れていたんですなぁ。イントロに使用しているなまギターが印象的です。