スカイ-怒りの日 | geezenstacの森

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スカイ-怒りの日


曲目/
1.モンクマン/怒りの日 7:49
2.ベルリオーズ:編曲SKY/断頭台への行進 4:51

 

演奏/スカイ
 ジョン・ウイリアムス:ギター
 ハービー・フロワーズ:ベース
 ケビン・ピーク:ギター
 トリスタン・フライ:ドラムス
 フランシス・モンクマン:キーボード

 

録音/EMI アビーロード第3スタジオ 

 

P:トニー・クラーク、ハイドン・ベンダール

 

ARIOLA K15P-48

 

 

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 クラシック・ギター界の貴公子と言われるジョン・ウィリアムスを中心に、元CurvedAirのフランシス・モンクマンやその他のセッション・マンらで結成されたフュージョングループ「SKY」の1980年に発売されたアルバムです。いわゆるシングルLPと称するもので、30㎝LPでありながら45回転で再生すると言うレコード時代ではハイファイ的アルバムであったわけです。小生はガチガチのクラシックファンではありませんからジャズであろうがロックであろうがクラシックを素材としているグループはなんてもござれでした。ロックではEL&Pなんかがその傾向が強かったですし、ムーディ・ブルースもそういうものにチャレンジしたアルバムを発表していました。そういう流れの中で1979年にこのSKYが登場したわけです。

 

 スカイは当時人気があったクラシック畑のギタリスト、ジョン・ウィリアムズをフィーチャーした、今で言うと「クラシカル・クロスオーヴァー」的なグループでした。ここでいうジョン・ウィリアムズはあのスター・ウォーズやハリーポッターシリーズの作曲家のジョン・ウィリアムズではありません。かく言う小生も、ギタリストのジョン・ウィリアムズは知りませんでした。当時はてっきり、作曲家のジョン・ウィリアムズの覆面活動とばかり思っていました。このスカイの存在で、ギタリストのジョン・ウィリアムズを知ったというのが実情です。さて、ここでは敢えてジョン・ウィリアムズと表記していますが、業界では作曲家のジョン・ウィリアズと区別するためにギタリストのジョンはスに濁点を付けずジョン・ウィリアムスと表記してく別をしています。しかし、英語の綴りはJohn Williamsでまったく同じです。ただ、ミドルネームまで表記すればJohn Christopher WilliamsとJohn Towner Williamsとの違いがあります。

 

 このジョン・ウィリアムズ、生まれはオーストラリアはメルボルンですが、父親がイギリス生まれのギタリストだった事もありイギリスに移住します。デビュー当初はセゴビアの秘蔵っ子などと呼ばれ、端正で気品高い演奏を披露していましたが、途中から従来のクラシック・ギターの枠に囚われない活動を始めていきます。その先駆けとなったのは、1974年にレコーディングした Patrick Gowers の 「Rhapsody for Guitar」でしょうか。この作品でジョンは、エレキ・ギターを弾くという、師匠のセゴビアが卒倒しそうなことをしています。さらに1978年に公開されたロバート・デ・ニーロ主演の映画「ディア・ハンター」テーマ曲の「カヴァティアーナ」が世界的にヒットしました。そんなことで、ポップス色を強めていき、1979年にスカイを結成するわけです。

 

 さて、当時としては時流に乗ったクロスオーバー・サウンドとしてこのスカイは一躍脚光を浴びます。ウィリアムスの脇を固めるのは以下のメンバー。主にエレキギターを担当するケヴィン・ピーク、ベース担当のハービー・フラワーズ、ドラムス担当のトリスタン・フライはいずれもセッションマンとして長く活動を続けている人達。そして、キーボードのフランシス・モンクマンは前述カーヴド・エアの主要メンバーであり、筋金入りのロッカーと言えるでしょう。何せプログレの範疇に入る人でしたからね。そのメンバーがコンフューズして作り出したのがこのサウンドです。

 

 

 このアルバムは、2枚目のアルバムの後に発売されましたが、レコード時代には第3作には含まれなかった音源です。ということで、今では「BEST OF SKY」というアルバムには含まれていますが、レコード時代はこの30㎝シングルLPでしか聴く事が出来なかった曲です。で、これを初めて聴いた時には演奏もさることながらその音の良さにビックリしたものです。この1980年頃はまだCDか登場していなかった頃で、レコード業界はやれダイレクトカットだ、45回転30㎝シングルだのといってその音の優秀さを競っていた時代です。その中にあって、このレコードはデジタル・ミックス、直輸入メタル原盤使用といううたい文句で登場したのです。

 

 久しぶりに聴いてみると、圧倒的なカッティングレベルで下手な装置では針飛びを起こしそうです。又、そういうこともあり曲のはじめにプリエコーが発生しています。まあ、これはレコードの宿命ですわな。それにしてもジョンの奏でるアコースティックギターとフランシス・モンクマンのシンセサウンドのクロスオーバーの響きは今聴いても新鮮です。ここに、圧倒的パワーのトリスタン・フライの切れのあるドラムスがかぶさるとまさに怒りの日の咆哮です。

 

 

 個人的にはこのサウンドに痺れてしまい、遡ってスカイのアルバムの1と2を買ってしまいました。さらにアルバム3、4を購入したのですが、この4に2曲目のベルリオーズの「幻想交響曲~断頭台への行進」が収録されています。しかし、このLPで聴くサウンドは、この45回転30㎝シングルとはとても似ても似つかないサウンドでがっかりした記憶があります。それだけ通常のLPはカッティングレベルは低いし、ダイナミックレンジも取れていないので音がくぐもって聴こえてしまうのでした。そんなこともあり、スカイは4で打ち止めとなってしまいました。まあ、この怒りの日を最後にフランシス・モンクマンは脱退してしまうので、以降のサウンドがかなり変化してきてしまったというのも理由の一つにはあるんですけどね。