【NHK音楽祭 2018 ~特別公演~ 】ドゥダメル・ロスフィルのジョン・ウィリアムズ | geezenstacの森

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【NHK音楽祭 2018 ~特別公演~ 】
ドゥダメル・ロスフィルのジョン・ウィリアムズ

曲目/ジョン・ウィリアムズ プログラム
●  オリンピック・ファンファーレとテーマ
● 『未知との遭遇』抜粋
● 『ジョーズ』から「鮫狩り」「檻の用意!」
● 『ハリー・ポッターと賢者の石』から「ヘドウィグのテーマ」
● 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』から「不死鳥フォークス」
● 『ハリー・ポッターと賢者の石』から「ハリーの不思議な世界」
● 『シンドラーのリスト』から「テーマ」
ヴァイオリン・ソロ/三浦文彰
● 『E.T.』から「地上の冒険」
● 『フック』から「ネヴァーランドへの旅立ち」
● 『ジュラシック・パーク』から「テーマ」
● 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』から「オートバイとオーケストラのスケルツォ」
● 『レイダース/失われたアーク(聖櫃)』から「マリオンのテーマ」
● 『レイダース/失われたアーク(聖櫃)』から「レイダース・マーチ」
● 『SARURI』から「さゆりのテーマ」
● 『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』から「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)」
● 『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』から「ヨーダのテーマ」
● 『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』から「王座の間とエンドタイトル」
● 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』から「アダージョ」
● 『スーパーマン』から「マーチ」

指揮/グスターボ・ドゥダメル
演奏/ロサンゼルス・フィルハーモニック
ヴァイオリン・ソロ/三浦文彰

2019/03/2 NHKホール

 今のドゥダメル&ロスフィルでジョン・ウィリアムズが聴けるなんて、最高のコンサートでした。NHK音楽祭での演奏ですから、このコンサートは当然テレビで放送されました。それがなんとこどもの日の5月五日にEテレで放送されたのでした。ご覧になられた方も多いでしょう。この放送では、ドゥダメルとジョン・ウィリアムスの鼎談の様子もインサートされていて、全くもって素晴らしいコンサートでした。こんなことを言ってはなんですが、今まで放送されたNHK音楽祭のプログラムの中で最高のコンサートだったような気がします。
 
 ソニーからジョン・ウィリアムズ指揮のボストンポップスの演奏は数多く発売されていますが、ここまでウィリアムズの足跡を辿る選曲で演奏されたものは無かったのではないでしょうか。これはドゥダメルとロスフィルならではの考え抜かれたプログラムであったように思います。
 
 単なる映画音楽の選曲でないことは冒頭のオリンピック・ファンファーレからしても伺えます。個人的にはこのオリンピックファンファーレはウィリアムズの最高傑作のひとつと思っているもので、ロスアンジェルスオリンピックの公式アルバムから所有しているぐらいです。

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 ロスフィルの金管は鳥肌もので、特にトランペットはパワーで圧倒するのではなく、軽々と吹いていてそれで鳴るべく音量できちんと演奏しているのです。 5本のトランペットがきちんと揃っていて、音の割れやフライングは一切ありません。この金管セクションだけでもすごい人員です。ちなみに、Tp.5、Tb.5、Tu.1、Hr.8、打楽器8人、鍵盤2、Hp.1、フルート2、ピッコロ1、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット1、弦は第1Vn7.5プルト、チェロ、コントラバス8、ヴィオラ、第2vn7プルトという大編成です。ですからサウンドに厚みがあります。当然この人数ではステージに乗りきらないので貼り出しピットが使われていました。

 また、このコンサートと全く同じ内容のCDがDGから2枚組で発売されています。

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こちらはちょっと楽器の配置が違っているので、このコンサートとCDを聴き比べてその響きの違いを楽しむことが出来ようというものです。
 
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 よく考え抜かれたプログラムで、動の曲の後は静の曲を持ってきて飛んで同じような曲に単調になりやすいところを上手く回避しています。個人的には2曲目に「未知との遭遇」が配置されていたのには思わずニンマリです。この映画は初期公開とは違う特別編もあったりして作品のイメージが異なってしまうことがあるのですが、こと、ここで演奏されたスコアは初期の映画のバージョンが使われていて、昔劇場で見た円盤が映らないワクワク感に浸ることができました。

 ジョーズ」に至っては、有名なコントラバスのゴリゴリとしたテーマは取り上げられていなくて、明るい感じの鮫狩り」「檻の用意!」というマニアックな曲がチョイスされていてニンマリです。こういう選曲サントラマニアにはたまらんです!!

 ジョン・ウィリアムズの曲はシリーズものが多く、それぞれのライトモチーフがきっちりと決められているので、長く聞いていると金太郎飴のようなイメージになってしまうのですが、それを避ける選曲がまた憎いですなぁ。
 
 「シンドラーのリスト」ではソロで三浦文彰が登場しました。彼は、2009年世界最難関とも言われるハノーファー国際コンクールにおいて、史上最年少の16歳で優勝して一躍国際的に脚光を浴びました。今年の活躍も活発で、このドゥダメル指揮ロスフィル、白夜祭でのゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管、ズーカーマン指揮バルセロナ響、ティチアーティ指揮ベルリン・ドイツ響、ロウヴァリ指揮エーテボリ響、エストラーダ指揮フランクフルト放送響、ポーガ指揮ケルン放送響、BBCスコティッシュ響、リットン指揮都響、カンブルラン指揮読売日響、モスクワ・ソロイスツ、オルフェウス室内管、ウィーン室内管などとの共演が予定されています。使用楽器は名古屋の宗次コレクションより貸与されたストラディヴァリウス 1704年製作 "Viotti”で、そのしっとりとしたサウンドがここでも聴くことができました。

 さて、コンサートはジョン・ウィリアムズの有名どころをくまなく取り上げていますが、演奏された曲はひとひねりあるものばかりで、マニアックな小生にはどハマりのものばかりでした。そして、最後は作品としてはほぼ忘れ去られている「スーパーマンのテーマ」が最後に演奏されるということで、まさに感涙ものです。スーパーマンシリーズはシリーズと言っても、クリストファー・リーブが降板してからはウィリアムズの手を離れて、音楽がグロテスクな方向に向かって行ってしまったのでさっぱり記憶にありません。しかし、このウィリアムズのテーマを聴くとなぜかホッとします。
 
 それにしても、映画産業の本場のオケということもあり、ロスフィルの巧さには感服です。いいコンサートを視聴することができました。こまコンサート今ならYouTubeで聴くことができます。