ヨーロッパ・コンサート1994 フロム・マイニンゲン | geezenstacの森

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ベルリンフィルのヨーロッパ・コンサート1994 
フロム・マイニンゲン

曲目/
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73『皇帝』
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
ハンス・フォン・ビューローの偉業とマイニンゲンの歴史を辿るドキュメンタリー映像

ダニエル・バレンボイム(ピアノ) 
クラウディオ・アバド(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

収録:1994年5月1日 マイニンゲン劇場、ドイツ(ライヴ)

 ドイツのマイニンゲンにおいて開催されたコンサート映像。バレンボイム、アバド、ベルリン・フィルによる色彩豊かな空間が楽しめる。特典映像として、マイニンゲンの歴史を辿るドキュメントも。

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 マイニンゲン劇場は、ザクセン=マイニンゲン公ゲオルク2世(1826~1914)が創設しています。同劇場の宮廷楽団は、ブラームスの交響曲第4番を作曲者自身の指揮で初演したほか、ベルリン・フィルの初代首席指揮者ハンス・フォン・ビューローがカペルマイスターとして活躍したことでも知られています。ハンス・フォン・ビューロー(1830-94)は、1894年にカイロで亡くなっていますが、その没後100周年として1994年に、マイニンゲンの劇場で開催されたされたというわけです。

 そのドイツ中部テューリンゲン州のマイニンゲン劇場で行われたヨーロッパ・コンサート1994では、クラウディオ・アバドとベルリン・フィルが、3年ぶりに得意のベートーヴェンとブラームスを取り上げました。

 冒頭のベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」では、ベルリン国立歌劇場の音楽総監督として1992年から活躍する巨匠ダニエル・バレンボイムが登場して華麗なピアノを披露しました。豪華ですねぇ。その登場の仕方も一風変わっていて、普通下手から登場するのが一般的ですが、ここでは上手から登場し、わざわざ指揮台を乗り越えてピアノへ向かっています。バレンボイムはしばしば弾き振りをしますから、わざわざ指揮者なんかいら無いよ、というアピールにも思えてしまいました。


 多分ここでのテンポ設定の主導権はバレンボイムにあったのでは無いでしょうか。何しろピアノの休符のところではバレンボイムはずっとオーケストラの方を見ています。何やらアバドが遠慮しながら指揮をしているような気がしてしょうがありません。そんなことで、ついついバレンボイムは力が入りすぎてしまっているのでしょうか、アタックが強くミスタッチをしています。

 これが自分で弾き振りをした主兵のベルリン国立歌劇場管弦楽団との演奏では、そこらへんは加減をして弾いています。


 ただ、全体を通して聞いてみればやはり、アバドのかん六で音楽全体は出来上がっているような気がします。 

 一方、ブラームスの交響曲第2番は、ブラームスが南オーストリアの避暑地ペルチャッハで作曲したということでの田園的な要素が色濃く感じられる演奏で、重厚で情熱的な交響曲第1番とは対照的に、明るく牧歌的な響きをアバドはうまく引き出しています。


 上のドキュメントの中でもアバドのブラームスは素晴らしいという話が語られていますが、このブラームスを聴く限りアバド/ベルリンフィルはうまく行くなと感じた次第です。