坂崎幸之助のJ-POPスクール
著者 坂崎 幸之助
出版 岩波書店 岩波アクティブ新書

音楽が1人の人間の生き方を変える.そんな言い方は誇張ではない.あの時,あの音楽に出会わなかったら,今の自分は存在しない.伝説的なグループ「ザ・フォーク・クルセダーズ」34年振り再結成の立役者となった坂崎幸之助の場合はどうだったのか.坂崎少年は,何に感動し,どのようにミュージシャンになっていったのか.
この正月は映画は「ミッション・インプッシブル」、CDはクラシックでマリナーのブランデンブルク協奏曲、そして本は坂崎幸之助の「J-POPスクール」とチャランポランの生活をしております。先のふたつは取り上げたので、今回はこの一冊を取り上げるわけです。
個人的には全くアルフィーは聴きません。ただ、NHK-FMの毎週水曜日夜に放送されている「THE ALFEE 終わらない夢」は時々聞いていますし、1990年代終わりから2000年前後に放送されたNHK-BSの「BSフォーク大全集」は録画して楽しく拝聴しています。
そして、この本はそれらの番組でも中心的なパーソナリティとして活躍したアルフィーの坂崎幸之助氏の本ということで手に取ってみました。発行は2003年ということで、まさにこれらの放送とリアルタイムで出版されたものでした。もともと喋りでも定評のあるアルフィーの坂崎氏がパーソナリティーを務めるFM NACK5(残念ながら名古屋地方では放送されていません)の人気番組『坂崎幸之助 K’s TRANSMISSION』の1コーナーのコラムが本になったものです。
で、この本を読んでいて始めた気が付いたのですが、なんと坂崎幸之助氏は1954年生まれ、つまりは小生と同い年であることを知ったわけです。つまりは、リアルタイムでは同じ時代でフォークと対峙していたわけなのであります。そんなことで、ここで紹介される話や登場アーティストは全く同じ体験をしているのです。ただ、坂崎氏はギターに魅せられ、高校にも毎日ギターを抱えて通ったようですが、小生はギターはかじりましたが禁じられた遊びぐらいで進歩がありませんでした。
で、どっぷりとフォークに浸かった氏と大きくクラシックに舵を切った小生との違いはありますが、もともと雑食性の小生は音楽はなんでも受け入れていましたからフオークもそのまま聴きかじっていました。
この本坂崎氏の中学、高校、そして明治学院大学時代のフォークとの関わりを中心にアルフィー結成までが描かれています。さして、その間に感化されたアーティストたちを講義という形で紹介しています。
【目次】
第1楽期 華の中学時代(ぼくは洋楽少年だった;長髪だとNHKに出られない時代 ほか)
第2楽期 暗黒の高校時代(最初の中間試験で大暴落;いつでもギターの変わっているヤツ ほか)
第3楽期 一人からグループへ(ガロとの出会い、コーラスへの思い;一人で歌っても、つまらない ほか)
第4楽期 アルフィー誕生(試験日間違い事件;さすが私立!粋だね ほか)
講義として取り上げているアーティストは、
・ザ・フォーク・クルセダーズ
・岡林信康
・五つの赤い風船
・吉田拓郎
・ガロ
・古井戸
・はっぴぃえんど
・斎藤哲夫
・同年デビューしたバンドたち
アルフィーは1974年のデビューですが、最後の講義に登場する「三輪車」や「がむがむ」「belle」なんかは全く知りません。まあ、この本は坂崎氏の回想録的なJ-POP史ですからしょうがありわせんわな。しかし、重なる部分は非常に多くワクワクしながら読みました。この本のオリジナルと思われる放送の内容がこちらで記事になっています。
この本と前後して、同タイトルのCDも3組発売されていますし、FM番組から書き起こした「坂崎幸之助とJPOPフレンズ 」という本も自由国民社から3冊出ています。
このブログでもフォークは数多く取り上げています。よければ覗いてみてください。
・フォーク・クルセダーズ-岡林信康--放送禁止歌「イムジン河」と「ガイコツの唄」
・五つの赤い風船---「遠い世界に」五つの赤い風船