路線バスの謎
思わず人に話したくなる「迷・珍雑学」大全
編集 風来堂
イースト・プレス イースト新書Q
なぜ太川陽介&蛭子能収の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」はゴールが難しいのか? 「○○交通」という社名が多い理由とは? なぜJR中央線沿線は小田急バスなのか? 路線バスに最も縁のない都道府県は? 日本最長・最短の路線は? 年に1回しか走らないバスがある!? 「バスタ新宿」誕生で注目のバスターミナルの魅力とは? 半世紀前のバスが現役で走っている!? 『秘境路線バスをゆく』シリーズなどを制作した編集・執筆陣が、全国47都道府県の路線バスのデータからディープな情報を厳選。---データベース---
先日のバス旅行の時に読んだ本です。類似の本はいくつも出ていますが、単純に表紙のなぜ、乗り継ぎの旅のゴールは難しいか?の文字に惹かれて読んでみました。また、ページをめくるとカラーの口絵のトップに名古屋の守山区を走る「ユトリートライナー」の写真がトップを飾っていることも決め手になりました。外ドアぇいばす」というのは全国でここしか走っていないんですなぁ。まあ、まだ先の話にはなりますが、中部地区で3店目となるコストコはこのルートの終点付近になります。今から楽しみです。
それはそれとしてこの本の内容です。
【目次】
プロローグ 路線バスとは何か
第1章 路線バスの基礎知識
第2章 路線バスなんでもランキング
第3章 日本に一つだけの路線バス
第4章 全国ご当地路線バス列伝
第5章 バス事業者の謎
第6章 車両とバス停の謎
乗り継ぎの旅のゴールが難しいことの回答は、プロローグであっけなく明らかになります。それによると、路線バスは「乗合バス」とも呼ばれ、道路運送法に規定される「一般乗合旅客旅客運送事業」の許可を受けた国土交通省から受けた路線を運行し、不特定多数の旅客を運送するバスを指しているということです。と言うことは、高速バスや定期観光バスも含まれるようです。
ただ、テレビで放送された「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」は、高速道路を走る路線バスは利用できないというルールで製作されていたそうで、ここでも一般道路を走る路線バスを主として扱っています。ここで主としたのはフェリーを利用する路線もあるからです。
さてさて、表紙にもあるように全国には約2,000の事業者があるようです。その出自もまちまちで、主には自治体が運営する公営バス、鉄道会社を経営母体とするものから海運業からバスに進出したもの、そして民間企業が母体のものまであります。今は、経営が立ち行かなくなって第3セクターに委ねられているものも数多存在していますし、高齢者の足としてのコミュニティバスも増えています。
今の時代、ネットで検索すれば国内で現地に行ってみないとわからないことって少なくなってきましたが、路線バスばかりは停留所の前に立たないとわからないことが多々有ります。ホームページに時刻表や路線図のPDFはあっても読み解くのは骨だし、ましてや歴史や車両のことなど全くわかりません。先日訪れた大阪なんかは最近民営化されて路線図一つ探すのも苦労した記憶があります。
この本は、トリビアを集めた編集プロダクションによる本ですが、スタッフによる現地踏査が偲ばれる記述も多く飽きません。京都には何度も出かけていて、地下鉄よりはるかに路線が充実しているのですが、京都のバスが経由する通りごとに行先票のラインの色が違うだなんてこの本を読むまでは全然気づきませんでした。そういえば今はLED表示が主流になりつつあるのに京都の方向幕はパタパタ方式の行き先表示しかないのは、複数の色分けをしていることに由来することを知って納得しました。今度行ったらじっくり見てみなきゃね。
いろいろなトリビアのある中で、「日本一長い名前のバス停は?」では、2016年茨城県行方市に誕生した「レイクエコー・白浜少年自然の家・なめがたファーマーズヴィレッジ中央」だそうです。要するに3つの施設を併せたバス停名なのですが、その文字数は31字。仮名表記であれば41字にまで達します。ふつうバスは停留所を2買い復唱して案内しますが、これほど長いと読み終えるまでに駅に着いてしまうとかで案内も1回にしているということです。
そして「日本一距離が長い路線バスは?」では、高速道路を使わない一般道を走行する路線バスとしては奈良県と和歌山県をまたがる「八木新宮線」が最も長いそうで、片道166.9kmで東京~宇都宮より長距離を走っています。ために始発から終点まで6時間半、運賃は6190円となかなかのお値段になっています。途中3回ほど休憩を挟むということですが、一人のドライバーが通して運転するそうでなかなかしんどい路線です。
反対に日本一短い路線バスは東京都営の「学05」というJR山手線目白駅から「日本女子大前」までの1.7Kmの路線だそうです。大人の足で17分ほどでしょうかねぇ。歩いて行った方が健康には良さげですけどね。
このように路線バスのトリビアがぎっしり詰まっていますから、忘年会の話のネタに今から読んでおくというてもいいのではないでしょうか。