フルトヴェングラーのメンデルスゾーン
曲目/
1.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.64*
I. Allegro Molto Appasionato 12:27
II. Andante 7:54
III. Allegro Non Troppo, Allegro Molto Vivace 6:41
1952/05/26 イエス・キリスト教会
2.メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」** 10:36
1951/08/19 ザルツブルク祝祭劇場
3.メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」序曲 12:58
1947/09/28 ティタニアパラスト
4.シューマン/マンフレッド序曲Op.115** 14:14
1951/01/24 ムジークフェラインザール
ヴァイオリン/ユーディ・メニューイン*
指揮/ウィルヘルム・フルトヴェングラー
演奏/ベルリン/フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団**
MEN[MBRAN 23310/50

レコ芸の2017年10月号で「21世紀のフルトヴェングラー」という特集企画が組まれていました。別に没後60年という訳でもないので、穴埋め企画のようなものだったのでしょうか。しかし、近年になってもフルトヴェングラーの新発見録音は次々登場し、記憶に新しい所ではといっても、もう10年前になりますがバイロイトの第九のバイエルン放送所蔵の別音源が発掘されましたし、2014年にはルツェルン祝祭管弦楽団とのチャイコフスキーの交響曲第4番が登場しています。
この特集でも、このバイロイトの第九を巡っての新しい考察を試みています。ただ、間に合わせ企画的なもので、何の新しい進展もありません。たかだか30ページの特集ですから、期待する方が無理なのですが、珍しいのは特集の最後に年代順にフルトヴェングラーの残して録音のディスコグラフィが掲載されている事でしょう。今まで、作曲家別に纏めたものはいくつかありました。手元にも没後30年企画のレコ芸の別冊ムックがあり、それにも掲載されています。
そういう資料を参考にして、今回のCDのデータを上に書き込みました。何しろMEMBRANのジャケットデータは誤植が多く、アテにならないからです。冒頭のヴァイオリン協奏曲からして、1952/06/25,26と記載されていますが、この6月は過ぎリスのフィルハーモニアとマーラーを録音していますからあり得ません。これは5月の間違いですね。で、これは正規盤ではEMIの録音で発売されている音源です。
小生は正規盤の温室は知りませんが、この演奏メニューインのヴァイオリンがえらくクローズアップされて録音されています。で、冒頭のテンポこそ遅くゆったりとして始まり、それこそ、大時代的な演奏の趣があります。多分メニューインの指定のテンポだと思うのですが、ここでの響きはとてもラテン的で明るい印象があります。それでいてちょっと控えめなベルリンフィルはどう見ても重心の低いドイツ的なサウンドでバックを固めています。なんか、座り心地の悪い印象でスタートしますが、ここからがフルトヴェングラーマジックなのでしょうか、いつの間にかテンポはアップしていてフルトヴェングラーのテンポでメニューインを取り込んでいます。
フルトヴェングラーはメンデルスゾーンはあまり得意としていないのか、交響曲の正規録音は一曲もありません。そんな事もあって殆ど話題にもならないのですが、こうして聴いてみるとやはり自分のスタイルを持っている事が分かります。でも、人気がないのかメニューイン/フルトヴェングラーのメンデルスゾーンはYouTubeにはアップされていません。
それにしても、このCD色々な音源から演奏を集めています。「フィンガルの洞窟」や「真夏の夜の夢」はチェトラ原盤ですし、「マンフレッド」はまたEMI原盤です。全てPDですからEMIで固めてもいいようなものなのにそういう事はしていません。変にこだわりのあるMEMBRANです。