犬の尾 裏江戸探索帖 2 | geezenstacの森

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犬の尾 裏江戸探索帖 2
 
著者 鈴木英治
発行 角川春樹事務所 ハルキ文庫
 
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 徒目付を馘首された山内修馬は、「よろず調べごといたし候」の看板を掲げている。現在は徒目付頭の元相棒・久岡勘兵衛が「辣腕」と称する探索の腕を活かし、町人の力になろうというのだ。そんな修馬を、友人の朝比奈徳太郎が訪ねてくる。妹の手習所に通う娘の飼犬を、一緒に捜してほしいという。一本気な男からのたっての頼みに、早速探索を始める修馬。一方、呉服屋・岩倉屋からは「娘の仇を討ってほしい」という依頼がくる。大目付の屋敷に奉公していた娘が「偽薬売りを捕らえ厳罰に」と遺言を残し、自ら命を絶ったというのだが・・・・・・。若き正義漢が江戸の町を走る、大人気シリーズ待望の第二弾!--データベース---
 
 シリーズ2巻目です。友人の朝比奈徳太郎から妹の手習い所に通う娘の飼い犬、柴犬のクロを探して欲しいと頼まれます。一方呉服屋、岩倉屋からは娘の仇を討って欲しいと言う依頼。大目付多目田伊予守の屋敷奉公をしていた娘のおげんが評判だと買った“はしか”の特効薬「防麻平帰散」が、多目田伊予守の嫡男の泰寿丸に飲ませたところ、回復どころか死亡してしまい偽薬と分かります。これが為に、おげんは自殺をしてしまいます。その仇をとってくれと35両でこの事件も引き受けます。
 
 で、色々調べ始めますが、あちこちで犬が腹を裂かれて死んでいる事が分ります。ちょいと猟奇的な展開ですが、設定が雑ですなぁ。犬が貴重な「金」で出来た一寸あまりの根付けを飲み込む事なんかありえないでしょう。犬は嗅覚で先ずものの匂いを嗅ぎますが、金の固まりを食べ物と認識する事はあり得ません。無理矢理この事件とはしかの「防麻平帰散」を結びつけようとする強引な展開です。
 
 ストーリー上は犬の探索を徳太郎が、偽薬の探索を山内修馬が担当して進んで行きます。あまりスリリングな推理小説としての展開は無く、二人の探索が交差するで流れで淡々としていて、時代の流れの中で当然のように大名家の資金作りを暴いても、それは闇に葬られてしまうという辛斬を舐める展開で終わってしまいます。犬殺しも、薬種問屋の主人の病死という形でこれまたあっさりとした終わり方で、拍子抜けです。つまるところ、話の起承転結の結の部分が拍子抜けの形なんですな。
 
 まあ、最後はまた次に繋がるエピソードが用意されてはいますが、色恋話のようであまり興味が湧かない展開になりそうです。続けて読むか思案しています。