こういう子供たちの演奏会は随分前ですが、名古屋青少年交響楽団の演奏を聴いた事があります。多分大学生の頃だと思いますから、もう40年以上も前の事です。今回は縁あって精霊中学・高等学校オーケストラ部 第16回 定期演奏会を聴く機会に恵まれました。事前に知らされていたプログラムはチラシのグリーグとチャイコフスキーの作品だけでした。
ところがどっこい当日のプログラムでは曲目は3倍に膨れ上がっていました。凄いボリュームのコンサートです。何しろこの精霊中学・高校のオーケストラ部は団員が150名を超える大所帯なので、一通りステージに上がるためにはこれくらいのボリュームがいるんでしょうなぁ。
で、第1部は打楽器アンサンブルのステージでした。今年は年始から打楽器のコンサートが続いています。そうそう、2月の26日に聴いた「名古屋音楽大学打楽器アンサンブル演奏会」の演奏会の映像がYouTubeにアップされていましたので、その記事に今年のコンサートの模様の映像を追加して貼付けておきました。この映像には小生の後ろ姿も映り込んでいて少々気恥ずかしいものを感じます。(^▽^

さて、このコンサートでは、横田大司の「白紙の一幕」とジヴコヴィッチの「トリオ・パー・ウノ」から第1楽章が演奏されました。打楽器の作品はすべて現代曲ですから初めて耳にしますが、中々緊張感のある演奏で聞き耳を立てて鑑賞しました。こんな作品です。
ジヴコヴィッチの「トリオ・パー・ウノ」はコンクールの課題曲にもなるほどの作品で、大太鼓を横に寝かせてその周りを3人の奏者が囲みスネアドラムやら鉦を使って演奏するものです。女史3人の呼吸を合わせての演奏は緊張感のあるもので、会場中がシーンとした中絶妙なアンサンブルが繰り広げられました。
第2部は中学2年生を中心としたステージでビゼーの「アルルの女組曲」からカリヨン、パストラール、そしてファランドールが演奏されました。大編成の演奏で、ホルンなど通常のステージに加えて、バックのオルガン席の下にも3人のバンダが陣取っての立体管のある演出で演奏されました。基本中学高校製の演奏です。指揮者はオーケストラ部の小紋の高橋律也氏です。出を揃えるのも大変ですが、中学に入ってから楽器に触った学生がほとんどです。そんなことで、弦楽はまだしもかく楽器は音が揃いません。特にホルンなんかは音がひっくり返ります。昔は名フィルでもそんな演奏会ばかりでした。
そして第3部は中学1年生を中心としたステージです。曲はシベリウスのカレリア行進曲です。弦の音を合わせるのに四苦八苦というのが伝わって来ます。聴いている方もはらはらドキドキです。もう、テンポはインテンポで曲が進んで行きます。相当練習はしたのでしょうが、何とか空中分解せずに最後まで辿り着きました。
そして、前半最後は中学3年生と高校生を中心とした編成でグリーグのピアノ協奏曲が演奏されたのですが、ピアノソロは精霊出身で芸大ピアノ科に進んだ「川添由梨香」さんでした。さすが海外でも数々のコンクールで入賞歴がある実力の持ち主で、力強さと繊細さを併せ持った詩情豊かな表現で楽しませてくれました。ただ、オーケストラはやはりソロの楽器の部分になるとひ弱さが出て、音が安定しなくて残念な結果に終わっていました。

この前半のプログラムが終わったのが午後8時頃という、長いものでした。そして、メインはチャイコフスキーの交響曲第5番です。弦の編成は第1ヴァイオリンが4プルト、第2が5プルト半、チェロが3プルト半、ヴィオラ4プルト、コントラバス3挺という編成に対し、トランペット6、トロンボーン4、チューバ2、クラリネット5、フルート4、ファゴットとオーボエが各2、そしてホルンが6という編成でした。見た目にも管楽器が増強されているのが分ります。
ところが、第1楽章からその金管があまり響いて来ません。特に6本あるにも関わらず、トランペットの響きが殆ど目立たないのです。トロンボーンは客席に向かってまっすぐな姿勢なのですが、トランペットは全員が下向き加減で音が客席に届いていません。それもあってか、金管とのバランスが悪そうだなというのは危惧に終わって、弦のがんばりもあり、バランス的には取れていました。ということは全体には音が小じんまりとしているという事なんですけどね。
150名を超える部員を束ねるのは容易な事ではないのでしょうが、指導が行き届いているのか破綻無くコンサートは終わりました。ただ、パートごとにはムラが多くホルンなどは音の不安定さが目立ってしまいました。
コンサートは、9時少し前に終わりましたが、このコンサートでもアンコールがありました。しかし、プログラムが終わってほっとしたのか、このアンコールでは解放された喜びが爆発して、この日のコンサートでは一番の出来を示していました。曲はルロイ・アンダーソンの「フィドル・ファドル」でしたが、それこそ全員が登場して楽しそうに演奏していました。写真でも分るように全員が最後には立って演奏するという演出もありました。ということで、バックにはその曲を流しています。
