アマゾンの秘密 |
発行 ダイヤモンド社

アマゾンが日本に進出することは、まだ絶対的な極秘事項で、だれにも知られてはいけません―2000年11月、ネット書店のアマゾンが日本でオープン。直前まで立ち上げを隠し続けた同社の内部では何が行われていたのか?巨大なシステムの裏側を当時のスタッフが語る門外不出の成功秘話。 ---データベース---
本書は、僕がアマゾンに在籍していた2年数ヶ月間の前半にあたる期間のことを中心に書きました。 ご存知の通り、インターネット社会ではドッグイヤーと言われるほど、時間の移り変わりが早く、現在のアマゾンでは、本書に記した事柄もすっかり様変わりしていることと思います。 しかしながら、アマゾンではすでに旧聞に属することでも、現代の日本企業にはまだまだ追いついていない部分が数多くあるように見受けられます。 その意味では、本書の内容も、まだまだホットな話題も多く含むのではないか、と考えています。 僕が感じたアマゾンの先進性は、在籍当時より、むしろ退社後に強く感じるようになりました。 ほとんどウロ覚えの記憶を辿って書いた本ですので、信頼性に関しては、少々微妙ですが、当時のアマゾンの雰囲気を少しでも感じていただければ幸いです。 まさか自分の本がこうして、アマゾンの書棚に並べられるとは思っていなかったので、その意味でも感謝です。
上記は著者からのコメントです。この本は2005年1月15日に発売されましたが、 内容的には著者が日本Amazonの設立に関わった2000年3月から退社した2002年6月までのインサイドストーリーが語られています。データベースの冒頭の言葉は、著者を勧誘したCEO(当時)のジェフ・ベゾスが語った言葉です。顧客中心主義で有名な一方、徹底した秘密主義でも知られる同社は、オープン直前まで日本での存在を隠し続けました。その間、内部では何が行われていたのか? マーケティング・キャンペーンの立案から巨大サイトのシステム構築に至るまで、これまで封印されてきたアマゾンの秘密がこの本で明らかにされています。
Amazonといえば、今ではあらゆるものを扱うネット通販の巨人ですが、発足当時は書籍販売中心だったが故に「ネット書店」として知られていました。ここではその初期の創世記のAmazonがどんな活動をしていたかを、2000年の日本サイト立ち上げのメンバーに加わった著者が、内側から見た同社の戦略や強みをまとめたものです。米国では事業規模を拡大できてもなかなか黒字を計上できない状態が続いたため、極力株価に影響が無いようにと極秘のうちに活動を開始しています。何しろ2000年の1月には、1500人のレイオフ(解雇)を実施していて、株価も105ドルから15ドルと大暴落していたのですから。
さて、目次です。
プロローグ――存在しない人たちとのパーティ
第1章 長谷川氏からの電話
僕にとっての始まり
アマゾン初体験!
二〇〇〇年元日の初夢
アマゾンの日本上陸は果たして成功したのか
秘密のオフィスに初出勤
年内立ち上げ、という至上命令
コラム アマゾン、その秘密主義の背景
僕にとっての始まり
アマゾン初体験!
二〇〇〇年元日の初夢
アマゾンの日本上陸は果たして成功したのか
秘密のオフィスに初出勤
年内立ち上げ、という至上命令
コラム アマゾン、その秘密主義の背景
第2章 アマゾンの考え方
本屋に欲しい本がないことへの解決
地球上で最もお客様を大切にする企業と呼ばれたい
事欠かないサービスの伝説
性別も年齢も関係ないアマゾンのCRM
目標は一年で一〇〇万人の顧客獲得
コラム アマゾンのルーツ
本屋に欲しい本がないことへの解決
地球上で最もお客様を大切にする企業と呼ばれたい
事欠かないサービスの伝説
性別も年齢も関係ないアマゾンのCRM
目標は一年で一〇〇万人の顧客獲得
コラム アマゾンのルーツ
第3章 マーケティングシナリオの作成
サイトの外からいかに顧客を引きこむか
アマゾンのやり方――マーケティング指標
生きているイソギンチャク
日本のビジネスを伝える作業
一年殺しの選択。幻のブックデータベース
ベイシス
アメリカの先兵として、出版社回り
初代ブックスGM、Shin
コンペティターの足音
コラム アマゾンからのメール
サイトの外からいかに顧客を引きこむか
アマゾンのやり方――マーケティング指標
生きているイソギンチャク
日本のビジネスを伝える作業
一年殺しの選択。幻のブックデータベース
ベイシス
アメリカの先兵として、出版社回り
初代ブックスGM、Shin
コンペティターの足音
コラム アマゾンからのメール
第4章 カスタマーキャンペーンをやろう
カスタマーレビューこそアマゾンの成功の要因
大胆な消費者リサーチ
カスタマーレビューキャンペーンの立案
キャンペーンどころではない?
妙に神経質だった公正取引委員会
コラム カスタマーレビューを巡る攻防
カスタマーレビューこそアマゾンの成功の要因
大胆な消費者リサーチ
カスタマーレビューキャンペーンの立案
キャンペーンどころではない?
妙に神経質だった公正取引委員会
コラム カスタマーレビューを巡る攻防
第5章 コンピュータ書の品揃え
ブックス部門への参加
エディトリアルスタッフの帰還
アマゾンエディトリアルの仕組み
『誰のためのデザイン?』を選ぶ
コピーエディターの苦悩
キャンペーンの危機
ブックス部門への参加
エディトリアルスタッフの帰還
アマゾンエディトリアルの仕組み
『誰のためのデザイン?』を選ぶ
コピーエディターの苦悩
キャンペーンの危機
第6章 アマゾン日本上陸
ローンチ当日。立ち上げの日
カスタマーレビューキャンペーンの始まり
怒濤のキャンペーン最終日
戦い終えて
コラム アマゾンに集まった人たち
ローンチ当日。立ち上げの日
カスタマーレビューキャンペーンの始まり
怒濤のキャンペーン最終日
戦い終えて
コラム アマゾンに集まった人たち
第7章 品質との闘い
サイトを支えるネット裏の人々
巨大ソフトウェアの構築
トラブル発生! 初めてのリメディ
エディターを一喜一憂させる売上情報
一年殺しのボディブロー
プログラムマネジメント
ベゾスの夢は宇宙船を作ること?
恵まれたコンピュータ環境
コラム ソフトウェアとしてのアマゾン
サイトを支えるネット裏の人々
巨大ソフトウェアの構築
トラブル発生! 初めてのリメディ
エディターを一喜一憂させる売上情報
一年殺しのボディブロー
プログラムマネジメント
ベゾスの夢は宇宙船を作ること?
恵まれたコンピュータ環境
コラム ソフトウェアとしてのアマゾン
第8章 究極のeコマースを目指して
EDIへの挑戦
正月休みの宿題
長谷川氏の辞任
小さな出版社での実験
突然のプロジェクト中止
EDIへの挑戦
正月休みの宿題
長谷川氏の辞任
小さな出版社での実験
突然のプロジェクト中止
終章 アマゾンで学んだこと
何も教えてくれない、しかし何でも学べる会社
社員を大人として扱う
ベゾスが作った組織文化
何も教えてくれない、しかし何でも学べる会社
社員を大人として扱う
ベゾスが作った組織文化
あとがき
内容的には以上のようなセグメントで2年2ヶ月の日本アマゾンの立ち上げの裏側が描かれています。それまで展開していたアメリカやヨーロッパ各国のサイトを参照しながらも書籍販売の仕組みの違う日本に合わせたシステム作りはかなり困難を極めたことが創造されます。何しろ再版制度というものが未だに業界には残っていますからねぇ。そういうところはあまり詳しく書かれていませんが、著者が中小出版社と独自に直接取引のモデルを模索していたことがここでは暴露されています。もちろん日本の商習慣には馴染まないところで、著者の実験は当然中止の憂き目に遭います。第8章のこの部分は、個人的には素晴らしいシステムで、エクセルのビジュアルベーシックで書かれたプログラムで出版社と直接取引出来る経費の掛からないアイデアだったと思うのですが、時代が早かったのでしょう。
しかし、日本アマゾンの設立に関わった人物は、己の能力が発揮出来た段階で直ぐに退社していくという姿も垣間見えます。著者が2年2ヶ月なら、設立時のアマゾンジャパンのCEOであった長谷川純一氏も著者が辞める少し前に退社しているのです。アマゾンという会社は、超エリート集団ですが、その能力が要らなくなると切り捨てることも辞さない会社であるという側面も見えて来ます。まあ、これは外資系の会社では良くあることでアマゾンに限ったことではありませんけどね。よく似た風土はグーグルだって同じでしょう。
ですから、最終章のように著者は「何も教えてくれない、しかし何でも学べる会社」と述べています。能力があるなら自分でぶつかって来いという意味合いでしょう。そういう意味で一人の女子社員の例を取り上げています。
ネットを利用している人で「Amazon」を知らない人はいないでしょうし、「Amazon」で買い物する人も多いでしょう。そのサイトの特徴の一つは「レビュー」でしょう。他のショッピングサイトでもレビューを置いているサイトはたくさんありますが、その書き込みは圧倒的にAmazonが豊富です。これはこのAmazonジャパンを立ち上げた時からの戦略でもあります。その目的がこの本では、至る所で書かれています。確かに小生自身でもネットで注文する時、Amazonで買うか買わないかは別として必ずAmazonのレビューは参考にします。また、それだけの価値のある情報が乗っています。
ちなみに、この本についてはAmazonを検索すると、メディア掲載レビューを筆頭にカスタマーレビューが61件も掲載されています。これほど書き込みのあるサイトは他にはありません。Amazonの価格が安ければ、これを読んで直ぐにクリックですわな。でも、現実には他のサイトのセール価格の方が安い時もありますので必ずしもクリックとはなりませんけどね。
また、クレームの問い合わせに関しても、Amazonはあまり良いレスポンスの印象はありません。巨大化した弊害もあるのでしょう。また、配送料無料という旗印も降ろした今、Amazonはどこへ向かうのでしょうかね。