口入屋用心棒18「平蜘蛛の剣」 | geezenstacの森

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口入屋用心棒18「平蜘蛛の剣」

著者 鈴木英治
発行 双葉社 双葉文庫

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 楓の葉が色付く季節を迎え、米田屋一家と下谷の正燈寺に紅葉狩に出かけた湯瀬直之進。そんな折り、南町奉行所同心樺山富士太郎は、与力より人捜しの命を受け、行方知れずとなった大工の棟梁を捜していた。その頃、米田屋の娘おあきに想いを寄せる平川琢ノ介は、破格の報酬につられ口入屋山形屋康之助の用心棒に雇われていた。警護について間もなく、刺客の凶刃をからくも凌いだ琢ノ介は、執拗な襲撃にさらされる康之助の命を守るため、直之進に助太刀を依頼するが…。大好評シリーズ第十八弾。---データベース---

 スケールの大きな悪人と大した後は普通の事件で、琢ノ介が桁外れの日当を払う口入屋(どうも不動産業者のよう)の用心棒を見つけてきますが、琢ノ介では歯が立たず直之進に助けを求め直之進も犯人を探索する為には自由に身動きが出来るようにと佐之助まで巻き込んで口入屋を狙う剣客を探すという話がメインとなります。事件はちょっと小粒ですが、これは新しいストーリーの序章でしかありません。これと平行して、一見関係のなさそうな南町奉行所同心樺山富士太郎と手下の珠吉によっての探索が描かれていきます。こちらは行方知れずになった大工の棟梁の探索なんですが、この事件は、もう一つの口入屋から頼まれていた岡っ引きの源助が殺されるという事件も巻き込んでの展開となります。

 メインの刺客の探索はいつもよりあっさりと成果があがり、思ったより短日で解決しました。オールスターの湯瀬直之進、平川琢ノ介、それに倉田佐之助のそろい踏みですから組織的犯罪でない敵に対しては無敵です。ただし、この巻で火事を出して焼け死んだと思われる健吉とおぼしき人物は、実は死んでいないような展開になっていきます。それが、エピローグで象徴的に語られ、事件がまだまだ尾を引いている体でこの巻が終わります。

 この巻では富士太郎と智代が結ばれそる方向で進むのですが、智代の実家の方で不穏な動きがあるのが気にかかります。次の巻が読みたくなる憎い演出です。この小説文字が大きいので、シニアに取っては読みやすいのがいいですねぇ。