クイックシルバー | geezenstacの森

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クイックシルバー
QUICKSILVER

曲目
1. Roger Daltrey / Quicksilver Lightning (4:46)
2. Fiona / Casual Thing (3:41)
3. Peter Frampton / Nothing At All (4:09)
4. Fish &Tony Banks / Shortcut To Somewhere (3:35)
5. John Parr & Marilyn Martin / Through The Night (4:03)
6. Ray Parker Jr. & Helen Terry / One Sunny Day (4:05)
7. Larry John Mcnally / The Motown Song (3:50)
8. Various Artists / Suite Streets From Quicksilver (2:39)
9. Tony Banks / Quicksilver Suite I:Rebirth (6:33)
10. Tony Banks / Quicksilver Suite II:Crash Landing (2:45)

 

米ATLANTIC 81631-1-E
日ワーナーパイオニア P-13268 

 

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 ここに取り上げているのはレコードです。手元には輸入番と国内盤の2枚あります。映画も好きなんですが、音楽が良いとついついサントラを買ってしまいます。この映画は一度取り上げています。その当時はDVDも発売されていない不遇をかこっていた作品でしたが、2009年にようやくDVDで発売されました。ただし、音源となるサントラはLPと同時発売された時に一度CDで発売されたきりで、こちらは未だに再発売はされていません。そんなことで、このCDの中古相場は1万円以上します。普通、レコードとCDはサイズが違うだけで同じデザインを踏襲することが多いのですが、この作品はLPではケヴィン・ベーコンの写真の両側に収録曲が記載されていますが、CDではその記載がありません。

 

 このレコードが発売された頃は、まだCDには全然興味が無くCDプレーヤーも持っていませんでした。必然的にレコードを購入することになった訳です。先きに購入したのは輸入盤です。多分映画が公開された直後ぐらいだと思います。この作品もロードショー公開されたのですが、実は本命ではありませんでした。この頃のロードショーは今と違って2本建てが普通でした。そう、入替え制も無く気に入ったら一日中でも映画が楽しめた時代です。こういうことを知っているので、今はロードショー公開といっても何がなんでも観に行くという気にはなりません。で、この映画と同時公開されたのは「ベスト・キッド2」でした。小生も、そちらを目当てに観に行った記憶があります。しかし、見終わった後は、こちらの映画の方がインパクトが強く、ベスト・キッドは前作よりもインパクトが薄い所詮2作目の作品でした。

 

 一方、フットルースで一躍注目を集めたケヴィン・ベーコンですが、通り一遍の青春映画という側面を持つ作品で、映画より音楽の方がヒットし、挿入曲はカバーされ日本のドラマの主題歌にも幾つかが採用されました。でも、そういう華やかさより、この「クイック・シルバー」は実社会に出て世間に揉まれて生きていく人間ドラマとして描かれていて、そこに、フットルースの音楽を手がけたジョルジオ・モロダーがかんでいるのでここでもご機嫌なナンバーが揃っていてストーリーと供に音楽も楽しむことが出来ます。何よりも、映画ですから、その音楽もフットルースのようにただヒットナンバーを連ねただけでなく、最後に収録されている「クイック・シルバー組曲」はインストナンバーで映画をもり立てています。これは株取引を描いた青春映画であるという点では「ウォール街」の先駆けであり、自転車を楽しむ映画でもありということでは、1999年の邦画「メッセンジャー」やサスペンス映画でもあるということでは最近の「プレミアムラッシュ」に通ずるものがあります。この映画はそういうものの原点でもあるわけですね。

 

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 多分一般的にケヴィン・ベーコンの代表作といえば「フットルース」というのが定番でしょうが、小生はこの「クイックシルバー」がどうしても頭に浮かんでしまいます。タイトル曲はロックバンド、ザ・フーのロージャー・ダルトリーが熱唱しています。

 国内盤を手に入れたのは随分後のことですが、何といってもありがたいのはライナーが付いていることですね。今でこそ、ネットで色々検索出来ますが、この当時は出版物だけが情報源でしたからね。一応このサントラは今は廃刊になってしまった映画雑誌の「ロードショー」の第148回推薦盤でした。といってもばかばか推薦を連発していましたからお墨付きという意味合いは余りありませんけどね。それが証拠に、日本では殆どヒットせず、wikiでもこの映画は無視されています。

 

 音楽ではピーター・フランプトンの「ナッシング・アット・オール」も佳曲です。

 見せ場といえば同棲している彼女と踊るシーンがいかします。


 このサントラには84年の「ゴーストバスターズ」で一世を風靡したレイ・パーカーJr.も参加しています。こちらもご機嫌なナンバーで、ヘレン・テリーとのデュエットで聴かせてくれます。


 上のプロモーションビデオにも登場するバイク・ダンシングのシーンは以下のようになっています。


 アルバムでは最後の纏められている「Suite Streets From Quicksilver」は実際には映画の冒頭のタイトルバックで流れる音楽で、この音楽に乗ってケヴィン・ベーコン演じるジャックがタクシーと競争します。

 

 そして、最後は自転車と殺人鬼が繰り広げるチェイスのシーンで流れるインストナンバーです。これが実に効果的で、このチェイスシーンに見入ってしまいます。今の映画はいささかスーパーヒーロー的に描かれますが、この映画のジャックは等身大の青年として描かれていますから非常にリアルです。


 ほとんどお目にかかることが無い作品でしょうが、いい作品でっせ。そのサントラの全曲です。