マリー・クレール・アラン
バッハ・オルガン名曲集
バッハ・オルガン名曲集
曲目/バッハ
CD1
トリオソナタ No. 1 E-flat minor, BWV 525
1.Allegro moderato 2:52
2.Adagio 4:51
3.Allegro 3:39
トリオソナタ No. 3 D minor, BWV 527
4.Andante 5:33
5.Adagio e dolce 3:53
6.Vivace 3:42
7.トッカータとフーガ F Major, BWM 540 13:58
8.ファンタジアとフーガ G minor, BWM 542 12:02
9.プレリュードとフーガ A minor, BWV 543 9:12
10.プレリュードとフーガ D Major, BWV 532 10:50
CD2
1.トッカータとフーガ D minor BWV.565 8:28
2.トッカータとフーガ "ドリア調" in C minor BWV.538 12:59
3.プレリュード 変ホ長調 BWV.552 9:03
4.ファンタジフとフーガ A minor BWV.561 8:02
5.『主よ、人の望みの歓びよ』(von Cantata BWV.147) 3:50
6.『われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ』BWV.639 2:21
7.『いざ来ませ、異邦人の救い主』 BWV.659 4:39
8.『われを憐れみたまえ、おお主なる神よ』BWV.721 5:01
9.カンツォーナ ニ短調 BWV.588 6:27
協奏曲イ短調(原曲:ヴィヴァルディ)BWV593
10.Allegro 4:05
11.Adagio 3:27
12.Allegro 3:51
CD1
トリオソナタ No. 1 E-flat minor, BWV 525
1.Allegro moderato 2:52
2.Adagio 4:51
3.Allegro 3:39
トリオソナタ No. 3 D minor, BWV 527
4.Andante 5:33
5.Adagio e dolce 3:53
6.Vivace 3:42
7.トッカータとフーガ F Major, BWM 540 13:58
8.ファンタジアとフーガ G minor, BWM 542 12:02
9.プレリュードとフーガ A minor, BWV 543 9:12
10.プレリュードとフーガ D Major, BWV 532 10:50
CD2
1.トッカータとフーガ D minor BWV.565 8:28
2.トッカータとフーガ "ドリア調" in C minor BWV.538 12:59
3.プレリュード 変ホ長調 BWV.552 9:03
4.ファンタジフとフーガ A minor BWV.561 8:02
5.『主よ、人の望みの歓びよ』(von Cantata BWV.147) 3:50
6.『われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ』BWV.639 2:21
7.『いざ来ませ、異邦人の救い主』 BWV.659 4:39
8.『われを憐れみたまえ、おお主なる神よ』BWV.721 5:01
9.カンツォーナ ニ短調 BWV.588 6:27
協奏曲イ短調(原曲:ヴィヴァルディ)BWV593
10.Allegro 4:05
11.Adagio 3:27
12.Allegro 3:51
オルガン/マリー・クレール・アラン
録音/1983,1984,1986
E:ヨランタ・スクラ
E:ヨランタ・スクラ
豪ERATO 4509-91931-2

CDラックをほじくり返していたらなつかしいCDが出て来ました。多分日本では発売された事の無いエラートの「DUO BONSAI」シリーズの一枚で、マリー・クレール・アランが演奏したバッハの名曲を集めたものです。ただし、録音データがおおざっぱすぎて詳細が分りません。マリー・クレール・アランはバッハのオルガン全集を生涯に3度録音しています。現在の商業録音の現状ではこの記録を破る事は多分不可能ではないでしょうかね。
ただし、録音データから見るこのアルバムは堂も全集録音とは又別のソースで構成されているようです。最初の全集録音は、ステレオ初期の1959-1967年にかけて行なわれ、この時期には1974年に、レジョン・ドヌール勲章を授けられ、さらに翌年にはドイツのリューベック市からブクステフーデ賞を授与されてもいます。これは日本ではコロムビアから発売されました。2度目はアナログ後期の1978-1980年でこちらはRVCビクターから発売されています。そして、アラン三度目となるバッハ全集は1985年から93年にかけてデジタルで録音されています。これは、旧東ドイツ地区の歴史的なオルガンが、1980年代なかばから、西側に向けても公開されるようになったという事情があったようです。
アランにとって、旧東独の楽器の公開というできごとは、かなり刺激的だったようで、実際、バッハの弾いたオルガンを演奏してみると多くの発見があり、演奏法についても様々なことが具体的にわかるようになったため、わずか5年を経ての同じレーベルでの再録音という異例の決断に踏み切るきっかけとなったようです。
さて、CDに記された年代は、この期間からすっぽり抜け落ちた期間がメインになっています。ちなみに、10セット発売されたシリーズはデジタルで収録されたものはジャケットにすべて「DEGITAL」の表示があるのですが、このアランのバッハとピリスのシューベルトだけはその表示がありません。アランの方はCDのバックにADD/DDDの表示があり混在という表記になっています。それにしても、1983,84というのは解せませんなぁ。
データの所に豪ERATOと書きましたが、我が家のオーストラリア製です。ちなみに購入したのはシドニーのハーバーサイドのショッピングセンターの中にあった「バージンメガストア」で購入した物です。懐かしい名前ですなぁ。日本国内やヨーロッパからは消滅したようですが、中近東の店舗はまだ営業をしているようです。CDが売れない時代だからしょうがないのかもしれませんなぁ。
このアルバム、一枚目はバッハのオルガン全集としては単独では第1集として発売されるトリオソナタを中心に構成されています。まあ、どちらかといえば少将マニアックな選曲で固められています。しかし、マリー・クレール・アランの演奏は少しも肩肘が張らず、その演奏は一言でいったら語りかけるような解り易いものです。オルガン音楽初心者にはうってつけの入門用の演奏といっても良いでしょうね。テニオハがしっかりしていてバッハの根底を成す対位法が流麗に演奏されています。これがトン・コープマン辺りになるとちょいと崩しが入って、通好みの演奏になってしまうので好き嫌いがはっきりしてしまいます。まずは、そのオルガンソナタの第1番から聴いてみましょう。
この作品はバッハが自分の息子の音楽教育用に作曲されたと言われていることからも、その作りがしっかりと3分割されているので解り易い曲です。曲は急-緩-急の3楽章構成で作曲されていて、右手パート、左手パート、足鍵盤パートが、完全に独立した3つの声部となっています。このオルガンの音色は多分2回目の全集と同一の様な気がしますがいかがなものでしょうか。
CDの2枚目はそれこそ名曲集になっています。冒頭はバッハのオルガン作品の中でも特に有名な「トッカータとフーガ二短調」です。演奏時間から推察するにこれも2回目の録音です。デンマークの聖ニコライ教会で収録されたものです。多分演奏的には一番演奏時間の長い録音ですが、意外にも冒頭の主題はあっさりと処理をしています。溜が少ないんですね。どちらかといえば曲全体を大きく捉えた演奏で、全体の充実は大したものです。
このアルバム入門者にはうってつけなのですが、唯一残念なのは「小フーガ」が収録されていない所です。まあ、そうは言っても小生にはお気に入りの『主よ、人の望みの歓びよ』 が収録されているので良しとしましょう。
更にはSF好きにはたまらない『われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ』が収録されています。この曲「惑星ソラリス」の中で使用され、一番の印象に残った曲です。映画ではタイトルバックにシンセサイザーで演奏されていて、後に冨田勳が「ソラリスの海」としてアルバム「宇宙幻想」の締めくくりの曲として収録されていました。
そして、アルバムの最後にはヴィヴァルディの作品をバッハが編曲したオルガン協奏曲が収録されています。色々なオルガニストがこの作品を演奏していますが、マリー・クレール・アランの演奏はリズムがしっかりしていて変に重くならず、原曲のヴィヴァルディの音楽の持つイタリア的開放感が溢れています。こういう自然体のバッハ、良いですねぇ。また、アルバムのラストを締めくくるのにはもってこいの選曲です。
マリー・クレール・アランの全集はどれも世界各地のオルガンを使用していて、画一的な音色になっていない所が素敵です。