THE BOOMの島唄
曲目/
1.気球に乗って 3:01
2.子供らに花束を 4:56
3.そばにいたい 6:43
4.星のラブレター 4:07
5.なし 3:55
6.釣りに行こう 4:29
7.きっと愛してる 3:24
8.おりこうさん 3:22
9.中央線 4:52
10.ひのもとのうた 4:21
11.川の流れは 4:56
12.からたち野道 4:44
13.ひゃくまんつぶの涙 3:19
14.島唄 5:04
歌、演奏/THE BOOM
P:THE BOOM
E:ジェリー・クローワーズ、ロニー・シーゴ
E:ジェリー・クローワーズ、ロニー・シーゴ
録音/1989-1991 DELTA STUDIO
SONY SRCL 2471
SONY SRCL 2471

THE BOOMの「島唄」は、ずっと沖縄民謡を現代版にアレンジして歌っている歌だとばかり思っていました。個人的には、「ネーネーズ」なんかも好きで、そういう流れで聴いていたものです。このアルバムはその「島唄」が収録されているということで中古で入手したものです。色々調べてみて、まったく認識が間違っていることに気がつきました。1993年にシングル150万枚を売り上げた、THE BOOMの「島唄」。アルバムとしては、デビューから「島唄」リリースまでの作品の中からセレクト・リミックスされた全14曲が収録されています。ホコ天バンドだった彼らのライブ定番のビートロックナンバーはもちろん、最初のヒット曲「星のラブレター」から「気球に乗って」「なし」「からたち野道」などの名曲もしっかり収録されてはいます。アルバムは、そんな彼らの最初のベスト物です。
このアルバムがリリースされた1993年には、小生の認識の中では以下の曲がヒットしていたと記憶しています。
ロード THE虎舞竜
島唄 THE BOOM
エロティカ・セブン サザンオールスター
負けないで ZARD
揺れる想い ZARD
真夏の夜の夢 荒井由実
YAH YAH YAH CHAGE&ASKA
サボテンの花 財津和夫
TRUE LOVE 藤井フミヤ
オラはにんきもの のはらしんのすけ
島唄 THE BOOM
エロティカ・セブン サザンオールスター
負けないで ZARD
揺れる想い ZARD
真夏の夜の夢 荒井由実
YAH YAH YAH CHAGE&ASKA
サボテンの花 財津和夫
TRUE LOVE 藤井フミヤ
オラはにんきもの のはらしんのすけ
これらの曲は、CDシングルで所有しています。うーん、当時は「クレヨンしんちゃん」は子供と見ていたので良く覚えています。いずれも名曲ですから、今でもよく耳にしますが、「島唄」だけは海を越えてブラジルでもヒットして2002年にもリバイバルヒットしています。さて、本来の「島唄」というのは、もともと奄美群島の民謡を指す言葉であった「島唄」という言葉が琉球民謡を指しても使われるようになったことで、ちょっと意味が違って来てしまったようで、小生もそういう認識をしていました。
ところが、この歌詞の本当の意味を知ると、これはただ事では済まない意味が含まれています。今年、この島唄は、島唄20周年記念シングルとして3月20日にTHE BOOM34枚目のシングルとして発売されました。この20周年記念バージョンがYouTubeにアップされています。ここにはガレッジセール、具志 堅用高、ジェイク・シマブクロ、島袋寛子、スリムクラブなどが登場しています。
今一度歌詞を見てみましょう。
THE BOOM 島唄 作詞:宮沢和史
でいごの花が咲き 風を呼び 嵐が来た
でいごが咲き乱れ 風を呼び 嵐が来た
繰り返す 哀しみは 島わたる 波のよう
ウージの森で あなたと出会い
ウージの下で 千代にさよなら
島唄よ 風にのり 鳥と共に 海を渡れ
島唄よ 風にのり 届けておくれ わたしの涙
でいごが咲き乱れ 風を呼び 嵐が来た
繰り返す 哀しみは 島わたる 波のよう
ウージの森で あなたと出会い
ウージの下で 千代にさよなら
島唄よ 風にのり 鳥と共に 海を渡れ
島唄よ 風にのり 届けておくれ わたしの涙
でいごの花も散り さざ波がゆれるだけ
ささやかな幸せは うたかたぬ波の花
ウージの森で 歌った友よ
ウージの下で 八千代に別れ
島唄よ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
島唄よ 風に乗り 届けておくれ 私の愛を
ささやかな幸せは うたかたぬ波の花
ウージの森で 歌った友よ
ウージの下で 八千代に別れ
島唄よ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
島唄よ 風に乗り 届けておくれ 私の愛を
海よ 宇宙よ 神よ 命よ
このまま永遠に夕凪を
このまま永遠に夕凪を
島唄は 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
島唄は 風に乗り 届けてたもれ 私(わくぬ)の涙(なだば)
島唄は 風に乗り 届けてたもれ 私(わくぬ)の涙(なだば)
島唄は 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
島唄は 風に乗り 届けてたもれ 私(わくぬ)の愛を
島唄は 風に乗り 届けてたもれ 私(わくぬ)の愛を
ネットで、いろいろな訳を検索すると次のような情景が浮かび上がって来ます。前段の部分は米軍の沖縄攻撃、上陸しての地上戦の様子でしょう。さとうきび畑で愛を誓った人と、さとうきび畑地下の鍾乳洞で永遠の別れとなった様子を表しています。死者の魂を表す「鳥」、平和を表す「夕凪」、ただのラブソングとは異なる本当の意味が現れてきます。
でいごの花が咲き 風を呼び 嵐が来た
(1945年春、でいごの花が咲く頃、米軍の沖縄攻撃が開始された。)
でいごが咲き乱れ 風を呼び 嵐が来た
(でいごの花が咲き誇る初夏になっても、米軍の沖縄攻撃は続いている。)
(1945年春、でいごの花が咲く頃、米軍の沖縄攻撃が開始された。)
でいごが咲き乱れ 風を呼び 嵐が来た
(でいごの花が咲き誇る初夏になっても、米軍の沖縄攻撃は続いている。)
繰り返す 哀しみは 島わたる 波のよう
(多数の民間人が繰り返し犠牲となり、人々の哀しみは、島中に波のように広がった。)
(多数の民間人が繰り返し犠牲となり、人々の哀しみは、島中に波のように広がった。)
ウージの森で あなたと出会い
(サトウキビ畑で、愛するあなたと出会った。)
(サトウキビ畑で、愛するあなたと出会った。)
ウージの下で 千代にさよなら
(サトウキビ畑の下の洞窟で、愛するあなたと永遠の別れとなった。)
(サトウキビ畑の下の洞窟で、愛するあなたと永遠の別れとなった。)
島唄よ 風にのり 鳥と共に 海を渡れ
(島唄よ、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、遥か遠い東の海の彼方にある神界 "ニライカナイ" に戻って行きなさい。)
(島唄よ、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、遥か遠い東の海の彼方にある神界 "ニライカナイ" に戻って行きなさい。)
島唄よ 風にのり 届けておくれ わたしの涙
(島唄よ、風に乗せて、沖縄の悲しみを本土に届けてほしい。)
(島唄よ、風に乗せて、沖縄の悲しみを本土に届けてほしい。)
でいごの花も散り さざ波がゆれるだけ
(でいごの花が散る頃、沖縄戦での大規模な戦闘は終わり、平穏が訪れた。)
(でいごの花が散る頃、沖縄戦での大規模な戦闘は終わり、平穏が訪れた。)
ささやかな幸せは うたかたぬ波の花
(平和な時代のささやかな幸せは、波間の泡の様に、はかなく消えてしまった。)
(平和な時代のささやかな幸せは、波間の泡の様に、はかなく消えてしまった。)
ウージの森で 歌った友よ
(サトウキビ畑で、一緒に歌を歌った友よ。)
(サトウキビ畑で、一緒に歌を歌った友よ。)
ウージの下で 八千代に別れ
(サトウキビ畑の下の洞窟で、永遠の別れとなった。)
(サトウキビ畑の下の洞窟で、永遠の別れとなった。)
島唄よ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
(島唄よ、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、遥か遠い東の海の彼方にある神界 "ニライカナイ" に戻って行きなさい。)
(島唄よ、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、遥か遠い東の海の彼方にある神界 "ニライカナイ" に戻って行きなさい。)
島唄よ 風に乗り 届けておくれ 私の愛を
(島唄よ、風に乗せて、彼方の神界にいる友と愛する人に私の愛を届けてほしい。)
(島唄よ、風に乗せて、彼方の神界にいる友と愛する人に私の愛を届けてほしい。)
海よ 宇宙よ 神よ 命よ
(海よ 宇宙よ 神よ 命よ 万物に乞い願う。)
(海よ 宇宙よ 神よ 命よ 万物に乞い願う。)
このまま永遠に夕凪を
(このまま永遠に穏やかな平和が続いてほしい。)
(このまま永遠に穏やかな平和が続いてほしい。)
島唄は 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
(島唄は、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、遥か遠い東の海の彼方にある神界 "ニライカナイ" に戻って行きなさい。)
(島唄は、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、遥か遠い東の海の彼方にある神界 "ニライカナイ" に戻って行きなさい。)
島唄は 風に乗り 届けてたもれ 私(わくぬ)の涙(なだば)
(島唄は、風に乗せて、沖縄の悲しみを本土に届けてほしい。)
(島唄は、風に乗せて、沖縄の悲しみを本土に届けてほしい。)
島唄は 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
(島唄は、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、遥か遠い東の海の彼方にある神界 "ニライカナイ" に戻って行きなさい。)
(島唄は、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、遥か遠い東の海の彼方にある神界 "ニライカナイ" に戻って行きなさい。)
島唄は 風に乗り 届けてたもれ 私(わくぬ)の愛を
(島唄は、風に乗せて、彼方の神界にいる友と愛する人に私の愛を届けてほしい。)
(島唄は、風に乗せて、彼方の神界にいる友と愛する人に私の愛を届けてほしい。)
朝日新聞に掲載された宮沢和史さんのコラムで、次のように語っています。
島唄』は、本当はたった一人のおばあさんに聴いてもらいたくて作った歌だ。 91年冬、沖縄音楽にのめりこんでいたぼくは、沖縄の『ひめゆり平和記念資料館』を初めて訪れた。 そこで『ひめゆり学徒隊』の生き残りのおばあさんに出会い、本土決戦を引き延ばすための『捨て石』とされた激しい沖縄地上戦で大勢の住民が犠牲になった事を知った。 捕虜になる事を恐れた肉親同士が互いに殺し合う。 極限状況の話を聞くうちにぼくは、そんな事実も知らずに生きてきた無知な自分に怒りさえ覚えた。 資料館は自分があたかもガマ(自然洞窟)の中にいるような造りになっている。 このような場所で集団自決した人々のことを思うと涙が止まらなかった。 だが、その資料館から一歩外に出ると、ウージ(さとうきび)が静かに風に揺れている。 この対比を曲にしておばあさんに聴いてもらいたいと思った。 歌詞の中に、ガマの中で自決した2人を歌った部分がある。 『ウージの森で あなたと出会い ウージの下で 千代にさよなら』という下りだ。 『島唄』はレとラがない沖縄音階で作ったが、この部分は本土で使われている音階に戻した。 2人は本土の犠牲になったのだから。
こういうことを改めて知ると、今年政府が制定した4月8日の「主権回復の日」は、ただの「サンフランシスコ平和条約が発効」した日ではありますが、奄美・琉球(沖縄)は、本土(日本)の施政権から分離された日でもあります。今でこそ、沖縄は47番目の県ですが、その沖縄が名実共に日本に返還されたのは1972年5月15日です。本当の主権回復の日はこちらであろうと思います。この歌を聴きながら、今年はこの矛盾を今更ながら感じてしまいました。
この記事は、5月15日にアップするつもりでしたが、あまりにもストレートすぎると考え、一日ずらすことにしました。でも、今の日本ってどうも面舵に進路を取りすぎている様な気がしますなぁ。