NHKの「タイムスクープハンター」という番組をご存知でしょうか。タイムワープで過去の時代にジャーナリストを派遣してその時代の普通の人々の生活を記録するというドキュメントスタイルの番組です。まあSF作品といってもいいのですが、その内容は今までの時代劇版組とは立ち位置が違います。なんといっても、登場するのはその時代の普通の人々で、歴史上の記録に登場する様な人物は登場しないという一般の常識では考えられない構成になっています。
まあ、この回もスペシャルという意味ではちょっと変わった設定でした。何時もは主人公の沢嶋雄一(要潤)ひとりが、設定の時代で活動するのですが、装置の故障で本来はコントロールセンターに居るナビゲーター役の古橋ミナミまで、江戸時代に出現してしまうという設定になっていました。
それにしても、この番組で登場する「大奥」は今までのこの種の番組が描いて来た「大奥」とは全く違います。手元に有る「絵でみる江戸の町とくらし図鑑-時代小説のお供に」によると一般のドラマで描かれる「大奥」は御目見得以上と呼ばれる身分の女性で、公家や武家の子女がメインです。要するに家柄がいいのですな。でも、この番組が描く「大奥」は御目見得以下の奥女中で、将軍の顔を見ることが出来ない女中たちです。登場したのはその中でも御末というの「くめ」という女中頭でした。画面から察すると簪や笄(コウガイ)なども付けていない身分です。大奥の中でも最下層の女中たちです。
まあ、描かれるストーリーとしては他愛も無い内容で、江戸時代にはよくあった男と女の物語ですが、それにまつわる大奥のしきたりや構造を合わせて紹介していきます。これが、中々時代劇では登場しそうも無い事柄なので新しい発見だらけです。こういう史実を見せられると江戸時代のリアルな状況に魅せられてしまいます。
描き方としての映像は今年話題になった平清盛のような少々暗い物ですが、何分にも?椈燭の明かりがすべての江戸時代ですから、これもリアルという物でしょう。
本放送は、12月28日に放送され既に終了していますが、さすがNHK。なんと12月31日午後2時からNHK総合で再放送されます。時代劇ファンの方、御用とお急ぎでなかったらぜひともご覧下さい。
さて、この番組もう4シーズン放送されています。意外と人気があるのですな。そんなことで、来年春に劇場版映画として公開されます。2008年の放送開始以来、同番組には欠かせない存在となった要潤と杏の出演する他、夏帆、時任三郎、上島竜平のほか、名優・宇津井健ら新キャストを迎え、織田信長が天下統一の拠点とするも完成からわずか3年で謎の消失を遂げたとされる幻の名城・安土城の謎にタイムスクープハンターが迫るというストーリーだそうです。いまだ謎のベールに包まれた歴史の裏側に迫ることで、新しいSFドキュメンタリー時代劇の誕生を予感させてくれます。今作は、滋賀県の全面バックアップのもと、安土城跡でも撮影が敢行されるようですが、栃木県日光江戸村内のスタジオがメインの撮影現場となったようです。

