ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2012/ La folie Russe!(ロシアの熱狂) | geezenstacの森

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2012/ La folie Russe!(ロシアの熱狂)

曲目/下記参照
http://tower.jp/article/feature_item/2012/04/16/1101

Virgin Classics VBSW3030002

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 2012年、フランスのナントで一足早く開催された本場のラ・フォル・ジュルネ音楽祭のテーマに合わせてコンパイルされ、音楽祭の会場でも販売され好評を博した3枚組のお得なコンピレーション・アルバム。リムスキー=コルサコフ、ボロディン、ムソルグスキーにチャイコフスキー、グリンカ、グラズノフ、ラフマニノフ、ストラヴィンスキーなどロシアの作曲家たちの名曲を厳選収録!このボリュームで、この価格が素敵なアルバムです。というのがタワーレコードのキャッチフレーズです。

 なぜか、このイベントは「タワーレコード」だけは力を入れていますが、HMV、アマゾンは素知らぬ顔をしています。でもって、今東京ではこのイベントの真っ最中なんですわな。いや、最近では金沢や琵琶湖、鳥栖、そして新潟でも開催されています。ま、3日は天候が大荒れだったのでちょっと水を刺された様な感じですがそれでも盛り上がっているのでしょう。ロシアをテーマとした今年のラ・フォル・ジュルネ・ジャポンのタイトルは、「ロシアの祭典」を意味する「サクル・リュス」です!このタイトルは、20世紀のあらゆる音楽に変革をもたらすことになったストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」にちなんでいます。何とのタイトルとは少し違いますが、内容は一緒と考えても言いでしょう。ただ、タイトルをストラヴィンスキーから採ったにしては、ストラヴィンスキーの演目が少ないのが解せません。オーケストラ大曲は「春の祭典」だけで、「火の鳥」も「ペトルーシカ」も演奏されません。チャイコフスキーの交響曲第6番は2プロ、プロコフィエフの「ピーターと狼」も2プロあるのに不思議です。

 まあ、それでもこれだけの作曲家の作品を3日間で集中的に楽しめるのですから、東京地方の人は幸せです。地方の人は、このCDを聴いてそのお裾分けを貰うのが精一杯というところでしょうか。このCD3枚組ですが、タワーレコードでは1,000円、アマゾンでは945円、そしてHMVは838円となっています(5月3日現在)。ただし、送料無料ということではアマゾンが一番安くなるでしょうね。

 発売元はVirgin Classicsにはなっていますが、EMIの音源を総動員していることは演奏者リストを見ても明らかです。かし、今はヴァージンが発売元にはなっていますが、元々はフランスのFNACというところから発売されていたジョルダン/スイス・ロマンド管の「シェエラザード」とリムスキー・コルサコフの「ロシアの復活祭序曲」がフルで収録されているのには驚きました。多分国内盤は未発売のはずです。欧米では2007年に発売されています。そのCD一枚分がすっぽり収まり、さらにの1枚目には、イーゴリ公 ~だったん人の踊り (パーヴォ・ヤルヴィ、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団)とクリュイタンス/フィルハーモニアという珍しい組み合わせの、ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」と リムスキー=コルサコルサコフの「熊蜂の飛行」まで収録されているのですから非常にCPの高い内容です。形の上ではコンピュレーションですが、この1枚目だけでもこのセットの価値が分かろうというものです。

 1995年録音ということなので、このコンビのほぼ晩年の録音になりますが非常に息のあった演奏で、なかなかの名演が聴くことが出来ます。まずは第1楽章「海とシンドバッドの船」。威圧的ではないながらも重厚な響きの冒頭部分と、多少線は細めながらも情感豊なツィマンスキーのヴァイオリン・ソロで一気にこの「アラビアン・ナイト」の世界に引き込まれていきます。以降も決してテンポを速めることなく悠然とした構えで音楽が進んでいきます。
 第2楽章「カランダー王子」も第1楽章同様の印象。非常に流れの良い音楽作りで、中間部分の木管楽器の絡みなどなかなか聴かせどころの多いこの曲を、きっちりと聴かせます。
 第3楽章「王子と王女」では、この叙情的な楽章を極端に流されることなく、抑制を効かせながらも非常にスマートに表現しています。弦楽器がなかなか絶妙な美しさを聴かせ、管楽器の表現も十分です。
 第4楽章「バクダッドの祭り~」では十分にダイナミックな音楽作りを見せながらも、オケの特性もあり決して重苦しくなることなく、カラフルかつ充実した音楽を響かせます。最後の部分の消え入るようなヴァイオリン・ソロも秀逸です。惜しむらくは、この演奏非常に良い演奏なのですが管楽器のミスがそのままになっていること。ライヴじゃないんだから・・・。ただそれでも音楽的にはかなり水準の高い演奏です。

 併録の「ロシアの復活祭」でもツィマンスキーのソロの美しさは絶品です。決して泥臭くなることはありませんが、この作品を過不足なく表現しています。

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         単独発売のCDのジャケット

 こういう演奏も含め、ロシアの代表的な作曲家の作品が楽しめます。大曲で振る収録は「シェエラザード」だけですが、その他の曲目も聴き所は満載です。珍しいところでは、グラズノフ/ライモンダ Op.57 序曲なんてのもヤルヴィ、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団の演奏で楽しめます。あと、第1楽章だけですが、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番がジャン=ベルナール・ポミエ(ピアノ)、ローレンス・フォスター/ハレ管弦楽団の珍しい演奏で聴けます。非常にゆっくりとした演奏で、個人的にはなかなか楽しんで聴くことができました。

 テレビでは放送されませんが、今日はNHKFMでこの「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」が特集で放送されます。パソコンでも試聴可能ですから、地方の人は今日はこれで楽しむことが出来ます。そして、余韻に浸りたかったらこの3枚組のCDで楽しむのも一興でしょう。

http://www3.nhk.or.jp/netradio/ NHK-FMらじるらじ

<放送スケジュール>  昨日と今日のプログラムの聴き所満載です。
 
午後0:15頃~ 【ホールA】生中継
        プロコフィエフ作曲 古典交響曲
        ショスタコーヴィチ作曲 ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調
        小曽根真/ジャン・ミシェル・リクブール
        パリ室内管弦楽団/ジョゼフ・スウェンセン
 
午後1:35頃~  昨日の【ホールA】公演を放送
        チャイコフスキー作曲 組曲「くるみ割り人形」
        チャイコフスキー作曲 バレエ組曲「白鳥の湖」から 他
       シンフォニア・ヴァルソヴィア/ジャンジャック・カントロフ
 
午後2:30頃~ 【ホールB7】生中継
        グリンカ作曲 幻想的ワルツ ロ短調
        ショスタコーヴィチ作曲 チェロ協奏曲 第2番 ト短調
        タチアナ・ワシリエワ/ムジカ・ヴィーヴァ
        アレクサンドル・ルディン
 
午後3:25頃~ 【ホールA】生中継
        スクリャービン作曲 プロメテウス(火の詩)
       アンドレイ・コロベイニコフ/カペラ・サンクトペテルブルク
        ウラル・フィルハーモニー管弦楽団/ドミートリ・リス
 
午後4:15頃~ 【ホールB7】生中継
        チャイコフスキー作曲 セレナード ハ長調 から エレジー
        チャイコフスキー作曲 バイオリン協奏曲 ニ長調
        キリル・トルソフ/パリ室内管弦楽団
        ジョゼフ・スウェンセン
 
午後5:45頃~ 【ホールC】生中継
        チャイコフスキー作曲 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
        ラフマニノフ作曲 パガニーニの主題による狂詩曲
        ダヴィッド・カドゥシュ/シンフォニア・ヴァルソヴィア
        ジャン・ジャック・カントロフ
 
午後7:30頃~ 【ホールC】生中継
        スヴィリドフ/ガヴリーリンの合唱曲 他
        カペラ・サンクトペテルブルク
        ヴラディスラフ・チェルヌシェンコ
 
午後8:25頃~ 昨日の【ホールC】公演を放送
        プロコフィエフ作曲 ピーターとおおかみ
        オーケストラ・アンサンブル金沢/井上道義
 
午後9:05頃~ 昨日の【ホールA】公演を放送
        ストラヴィンスキー作曲 春の祭典
        読売日本交響楽団/下野竜也
 
午後9:45頃~ 【ホールB7】生中継
        アレンスキー作曲 ピアノ五重奏曲 ニ長調
        シュニトケ作曲 ピアノ五重奏曲
        スヴャトスラフ・モロス/ミシェル・グートマン
        エリーナ・パク/アンリ・ドマルケット
        ボリス・ベレゾフスキー