ガーシュイン・コネクション
ディヴ・グルーシン
曲目/
1.That Certain Feeling 1:13
2.Soon 4:03
3.Fascinating Rhythm 5:04
4.Prelude II 5:39
5.How Long Has This Been Going On? 5:14
6.There's A Boat Dat's Leavin' Soon For New York 5:41
7.My Man's Gone Now 6:52
8.Maybe 3:51
9.Our Love Is Here To Stay 3:15
10.'s Wonderful 3:48
11.I've Got Plenty O' Nuttin' 6:07
12.Nice Work If You Can Get It 3:30
13.Medley: Bess You Is My Woman/I Loves You Porgy 5:51
パーソネル
Dave Grusin Piano
Chick Corea Piano
Lee Ritenour Guitar
Gary Burton Vibraphone
Eddie Daniels Clarinet
John Patitucci Bass, Electric Bass
Don Grusin Keyboards
Eric Marienthal Alto Saxophone
Sal Marquez Trumpet
Dave Weckl Drums
Sonny Emory Drums
David Nadien Concertmaster
Ettore Stratta String Conductor
Dave Grusin Piano
Chick Corea Piano
Lee Ritenour Guitar
Gary Burton Vibraphone
Eddie Daniels Clarinet
John Patitucci Bass, Electric Bass
Don Grusin Keyboards
Eric Marienthal Alto Saxophone
Sal Marquez Trumpet
Dave Weckl Drums
Sonny Emory Drums
David Nadien Concertmaster
Ettore Stratta String Conductor
Arranged by Dave Grusin
Executive Producers: Dave Grusin & Larry Rosen.
Executive Producers: Dave Grusin & Larry Rosen.
録音/Tracks 2, 3, 5, 7, 8, and 9 recorded at Ocean Way by Bernie Kirsh. Tracks 4, 6, and 11 recorded at Sunset Sound by Geoff Gillette. Tracks 12 and 13 recorded at Clinton Stidios by Ed Rak. Track 10 recorded at Mad Hatter Studio by Bernie Kirsh. Strings recorded at Clinton Studios by Ed Rak. Guitar recorded at Starlight Studios by Don Murray.
Digitally Mixed by Don Murray at Sunset Studios. Mastered by Wally Traughott at Capitol Records.
GRP MVCR-24

デイヴ・グルーシンの音楽は昔から好きです。ジャズ・アーティストなのでしょうが、小生は映画音楽の作曲家としての方が早く彼の名前を知りました。ブログで取り上げた中で一番古いのは「グーニーズ」でしょうかね。実際彼の名を最初に目にしていたのは映画「卒業」なんでしょうが、当時はサイモンとガーファンクルだけが目立って劇中音楽を書いていたデイヴ・グルーシンは注目されませんでした。そういう意味では、「卒業」のサントラはちょっといびつな形になっているんですよね。そんなグルーシンですが、軽快なポップミュージックの端々に都会的センスのある音楽を付けていました。以来興味がわいて、かなりのアルバムを聴いて来ましたが、本格的にブログに取り上げるのは初めてのようです。
レーベル名の「GRP」はもともとは彼と元ドラム奏者で、レコーディング・エンジニアのラリー・ローゼンと独立系音楽製作事務所グルーシン・ローゼン・プロダクション(Grusin/Rosen Productions)がその由来です。1970年代までは映画音楽での活躍が目立ちましたが、80年代にGRPが本格的に動き出すと、自らのリーダーアルバムを積極的に出すようになります。彼の代表的なアルバムには「Mountain Dance - 1979」や{Night Lines - 1983」、「CineMagic - 1987」と言ったアルバムがあり、映画音楽に近いポジションの作品として愛聴しています。このアルバムでは、その映画音楽を離れて、近しい仲間とガーシュインの作品の数々を演奏しています。そういう意味では、少なくてもガーシュインが好きな方が(そうじゃない人でも)聴けば、ご機嫌な仕上がりに満足するのではないでしょうか。
アルバムには最初のトラックに仕掛けがしてあります。何かちょっとさえない音が聞こえてきますが、何とこのトラックはガーシュインの自作自演が収録されているのです。俗に言うピアノロールに吹き込まれた音源ですね。そういえば昔、ティルソントーマスが、ガーシュインの残した「ラプソディ・イン・ブルー」に伴奏を付けた粋なアルバムを出していましたね。まあ、ここではオマージュとして1分あまりでフェイドアウトされてしまいますけれどもね。それが消えるか消えないかのうちに2曲目の「スーン」が始まります。これは1930年代のミュージカル「ストライク・アップ・ザ・バンド」の中の曲です。挿入曲という事で、タイトル曲ほどは知られていませんが、ピアノソロで始まるなかなかしっとりとした良い曲です。クラリネットのエディ・ダニエルズが良いソロをとってます。アルバムは良い構成で進んでいきます。
3曲目の「FASCINATING RHYTHM」ではアップテンポの中、ゲイリー・バートンのかっこいいヴァイブソロを披露しています。でも、小生が最初に注目したのは、4曲目の「プレリュード II」です。ここでも、エディ・ダニエルズのクラリネットが聴くことができますが、冒頭の何ともアンニュイなメロディがガーシュインの活躍した時代を感じさせてくれます。とりあえず最初にこの曲を聴いてみましょう。
このアルバムは、デイヴのピアノとジョン・パティトウィッチのベースがコアで、ここにデイヴ・ウィックルとソニー・エモリのドラムスが曲によって替わりながら絡み、さらにゲスト・プレーヤーが花を添えるという構成になっています。ガーシュインの名の下に多くのミュージシャンが集ったという意味でタイトルに「コネクション」という言葉が使われたのではないかと思いますが、チック・コリア、リー・リトナー、エディー・ダニエルズなどGRPのアーティストが共演したアルバムとしても大変豪華な仕上がりになっています。 そういう曲目の中に、10曲目に「スワンダフル」があるのですが、何とここではデイヴのピアノにチック・コリアのピアノが絡んだ豪華なピアノ・デュオという形で演奏されています。曲はガーシュインの代表曲で、1927年のブロードウェイ・ミュージカル「ファニー・フェイス」の主題曲として作曲され、アデール・アステアとフレッド・アステアが初演し、通算公演250回を記録したことでも知られています。まあ、その華麗なプレイを楽しみましょう。
ガーシュインといえばオペラ作品として「ポーギーとベス」を残していますが、このアルバムでもそこからのナンバーがいくつか採用されています。6、7曲目もそうですし、11曲目の「アイヴ・ゴッド・プレンティ・オ・ナッティン」もそんな一曲です。ここではジャズというより、フュージョンとしてファンキーなナンバーになっています。ゲストとしては、リー・リトナー、そして兄のドン・グルーシンが参加しています。ご機嫌なナンバーです。
GRPレーベルのアルバムらしく、ハイクォリティな録音が楽しめます。上の曲なんか音の立ち上がりがいいので、前のハョクの余韻が終わるか終わらないかのタイミングで始まるので最初聴いた時はびっくりしました。アルバム最後の「Bess You Is My Woman / I Loves You Porgy」では、ピアノとストリングスだけというシンプルなトラックですが、エットーレ・ストラッタの指揮するストリングス演奏はデイヴのピアノにぴったり寄り添う様なチャーミングな演奏でうっとりしてしまいます。ストラッタはクラシックからポピュラーまで守備範囲の広いイタリアの指揮者です。まさに夢のアルバムの最後を飾るのに相応しいナンバーになっています。そういう意味ではジャズ・ファンでなくもっと幅広いリスナーに聴いてもらいたいアルバムです。最後はそのナンバーです。