
切絵図を現代の地図と対比したり、地図上の各地点に補注を付したりするだけでなく、切絵図にある地域の風景と、時代小説を理解するための手助けとなる情報を合体させ、切絵図と浮世絵版画とで江戸の町のイメージを再構成する。---データベース---
時代小説を読んでいてちょいと難儀なのは、地名が出て来てもそれが何処の事だか全く分からない事があります。舞台となるのは、大抵が江戸、大阪、京都ですが京都はまあ昔も今もほとんど変わりがないので何とか分かりますが、江戸と大阪はさっぱりアウトです。月が変わって今月、東京に10年ぶりに行こうと思っていますが、出来る事なら現代の東京より、江戸時代の面影を捜す旅行にしたいと思っています。そんなことで、最近は図書館でそういうものを確認出来る資料を借りて来ています。
今日取り上げる一冊もそんな本です。タイトルからしてにわか時代小説ファンには興味をそそられるものです。2006年に出版されたムックで、この本では30作品をチョイスしてその作品の背景となる舞台を当時の切り絵図と現代の地図を示しながらそれが何処であるかを分かりやすく紐解いています。今回の東京行きは、息子の引っ越しの手伝いというのがメイン・イベントなのでそのついでに時間を取って東京を巡るという形になります。引っ越し先が「国分寺」ということもあり、重点的に回れるのがやはり、国分寺周辺と、新宿、浅草、それとちょっと趣旨に反しますが、渋谷、原宿方面という事になります。ま、今回は家族全員で生きますから、家族の意見も取り入れるという形での妥協案的なところあります。
今まで、東京といっても仕事で行く事が多かったし、時代小説とも無縁だったので地理的には全く疎い状況で、点でしか東京を見ていませんでした。早い話しが山手線沿線しか知らないという状況ですかね。今回の引っ越し先の「国分寺」にしてもそれが東京のどの位置にあるのかさえ知りませんでした。お恥ずかしい話しながら、新宿が自分の頭の中では東京駅から見て東北の方向にあるとばかり思い込んでいましたが、改めて地図を確認すると東の方向だったんですなぁ。当然、渋谷や原宿はそれよりも南にあるという事になります。今までの人生の中で50年以上勘違いをしていたという事になります。
さて、この本で取り上げられている時代小説の主なものには以下の作品があります。
・髪結い伊三次捕り物余話---宇江佐真理
・御宿かわせみ---平岩弓枝
・アームストロング砲---司馬遼太郎
・鬼平犯科帳---池波正太郎
・本所深川ふしぎ草子---宮部みゆき
・尾張春風伝---清水義範
・慶次郎縁側日記---北原亞以子
・赤ひげ診療譚---山本周五郎
・髪結い伊三次捕り物余話---宇江佐真理
・御宿かわせみ---平岩弓枝
・アームストロング砲---司馬遼太郎
・鬼平犯科帳---池波正太郎
・本所深川ふしぎ草子---宮部みゆき
・尾張春風伝---清水義範
・慶次郎縁側日記---北原亞以子
・赤ひげ診療譚---山本周五郎
こういう作品に登場する場所を巡り、古地図で散策する訳です。この本で使用されている切り絵は、金鱗堂の尾張屋清七版(1849年発行)が使われています。七色を配した地図はカラフルで現代の地図の元祖ともいえます。小生も、時代小説を取り上げるときはグーグルのラムゼイ古地図を使用していましたがこのガイドブックがあれば一発で小説の舞台へ遊ぶ事が出来ます。何しろ町名一つ捜すのに難儀しますからね。この本の末尾には時代小説で登場する大名屋敷、寺社仏閣、坂・道、橋、川、町名といった索引が巻末についています。これは便利です。例えば「髪結い伊三次捕り物余話」で伊三次が最初に所帯を持ったのは「佐内町」なんですが、ここは八丁堀からちょっと外れた海賊橋の近くにあることが分かります。ここを火事で焼け出された伊三次とお文は、現在連載分では玉子新道町にすんでいますが、残念ながらこの町名は索引にありませんでした。ちょっと残念ですが、この尾張屋清七版では「ヤ子ヤシンミチ」と表記されていますから引っかからなかったんでしょうかね。まあ、誤表記もあるという事でしょう。小生が参照した地図にはちゃんと表記がありました。

3月1日の「ブラタモリ」は新宿を取り上げていました。グッドタイミングです。紹介されていた「新宿御苑」は是非とも行ってみたいところです。「四谷の大木戸」後も行ってみたいですね。浅草は浅草寺は勿論、小説によく登場する「待乳山聖天」にも足を伸ばしたいところです。ところで、江戸は水運の街でもありました。そんなことで、この浅草へは両国は江戸深川博物館を訪れてから水上バスで浅草まで行こうと思っています。スカイツリーも見えそうですからね。
ところで、東京へは車で行こうと思っています。でも、都内での移動はどう考えても公共交通機関の方が便利そうです。宿泊は立川市なんですが、何処か割安で日中車を止めていく場所はあるんでしょうかね。うーん、この本、手元に置きたいのですが、現在でも販売しているのでしょうかね?