M.J.Q-Jazzology | geezenstacの森

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M.J.Q-Jazzology

曲目/
【CD1】
  1. Django
  2. One Bass Hit
  3. La Ronde Suite
  4. The Queen's Fancy
  5. Delaunay's Dilemma
  6. Autumn In New York
  7. But Not For Me
  8. Milano
     
【CD2】
  1. Versailles
  2. Angel Eyes
  3. Fontessa
  4. Over The Rainbow
  5. Bluesology
  6. Willow Weep For Me
  7. Woody 'N' You
  8. Ralph's New Blues
  9. All Of You
  10. I'll Remember April
  11. Gershwin Medley: Soon/For You, For Me, Forevermore/Love Walked In/Our L
  12. Softly, As In A Morning Sunrise
  13. Concorde
     
演奏/M.J.Q

 

Not Now NOT2CD365
  
イメージ 1

 

 今ジャズのCDが凄いことになっています。この「NOT NOW」シリーズは往年のジャズの名盤3枚を2枚のCDに収録してあるシリーズです。このM.J.Qのセットは、彼らの代表作とも言える「ジャンゴ」「フォンテッサ」「コンコルド」の3枚のオリジナルアルバムを2枚のCDに収録した廉価盤です。しかし、このシリーズもさることながら、「Four Classic Albums(2枚組)」というシリーズや、「Eight Classic Albums(4枚組)」シリーズ、ひいては「Twenty Classic Albums(10枚組)のものが激安で販売されています。この10枚組はジャズの巨匠マイルス・デイヴィスのもので、HMVやアマゾンなどの窓口の違いこそあれ、なんと2000円前後という安さです。まあ、もちろんこれらの音源はパブリック・ドメインになったこともあって正規のメーカーからの発売ではありませんが、マイルスは別として、正規のメーカーでは発売されていないものも含まれていますから、これは絶対の狙い目でしょう。

 

 まあ、中には杜撰な編集をしてあるものや、音質的にはかなり貧弱なものもあるようですが、その中でもこの「NOT NOW」シリーズは廉価盤でありながら、非常に満足度の高い品質となっています。 LPレコードのオリジナル3枚分を無理矢理CD2枚に押込んでいる関係で、アルバムが2枚のCDに股がってしまうものも中にはありますが、このCDに関していうと、無理やり3作品を押し込んだというわけではなく、1枚目に「ジャンゴ」2枚目に「フォンテッサ」「コンコルド」 が収録されていて、オリジナルへの配慮も感じられます。 ただ、オリジナルアルバムのジャケット写真が使われていないのが唯一の欠点でしょうか。

 

 小生はM.J.Qが元々好きなのでレコード時代からほとんどのアルバムを聴いていますが、CDではあまり所有していませんでした。そんなことなのでこういうコンセプトのアルバムが発売されるのは省スペースにもなってありがたいことです。また、CDのデザインもレコード盤を模したような黒いCDで、シンプルながらノスタルジックな雰囲気で聴くことができます。

 

 このM.J.Qに関しても、先の別のセットが発売されています。
Four Classic Albums-M.J.Q Real Gone Jazz RGJCD258
これには、「The Modern Jazz」、「Django」、「Fontessa」、「Modern Jazz Quartet At Music Inn」というアルバムがCD2枚に収録されています。
Eight Classic Albums-M.J.Q Real Gone Jazz RGJCD258
これには更に凄い
1.「Sonny Rollins With The Modern Jazz Quartet」
2.「An Exceptional Encounter (with Ben Webster)」
3.「Django」
4.「Concorde」
5.「Fontessa」
6.「Third Stream Music」
7.「Odds Against Tomorrow」
8.「Pyramid」
という顔ぶれです。上記の2枚は発売元が同じですから、「Django」や「Fontessa」は同じ音源の使い回しも考えられますが、中身は微妙に構成を変えていてマニア心をくすぐります。昔はジャズ・ファンというものはやたらオーディオに凝っていて音質的にうるさい輩が多かったのですが、最近ジャズを聴き始めた人はiPod世代でもあり、それほど音質にこだわりを見せる人は少ないのではないでしょうか。ましてや、1950年代が主流のモノラル音源が中心の内容ですから、こういうライセンスもの?でも充分楽しめるのではないでしょうか。ただし、この4枚組のセットは収録内容と曲が合ってないものもあり、初心者は手を出さない方がいいでしょう。表記の間違いもあり、1枚目なんかは本来はM.J.Qのアルバムではなく、タイトルのソニー・ロリンズのアルバムで、ジャケットの表記は1-4でM.J.Qが参加としていますが、実際聴けば分かる様に正しくは10-13に参加しています。

 

 それでも、これだけのM.J.Q絡みのアルバムを1,200円ほどで聴けるなんて、ファンとしてはうれしい限りではあります。

 

 1枚目はMJQのライブのアンコールで必ず演奏していた曲、「ジャンゴ」を収録したアルバム。MJQの代表作です。作曲はメンバーのジョン・ルイスで、タイトルのジャンゴとは名ギタリストのジャンゴ・ラインハルトのことで、1953年に亡くなった彼の死を悼んでジョンが作曲したブルースの名曲です。このアルバムは1956年に発売されていますが、録音は1954年(1,2,8)、1955年(3)、1953年(4~7)という具合に複数年に渡っています。代表曲は「ジャンゴ」ですが、3曲目の「La Ronde Suite」はその名の通り、メンバーの書くソロをフューチャーしたa) Piano b) Bass c) Vibes d) Drumsの4つの部分で構成されています。彼らのデモのようなナンバーですね。

 

 このアルバムからはやはり、タイトル曲の「ジャンゴ」を聴きましょうか。

 

 

 「ジャンゴ」に続いて発売されたのが「フォンテッサ(1956)」でした。M.J.Qが最初に1951年に結成されたときは、モダン・ジャズ・カルテットではなく、ミルト・ジャクソン・カルテットと言っていました。字面は一緒なんですが、発生の経緯を考えると面白いですね。ミルト・ジャクソンのヴァイブが何といってもこのグループの特徴で、それを支えるジョンの朴訥としたピアノが好対称を成しています。ここでは、1曲目の「Versailles」を聴いてみましょうか。この頃のドラムスはケニー・クラークですが、ハイハットのシンバルがいいアクセントになっています。

 

 

 「ジャンゴ」は彼らのヒットアルバムですが、このセットの中での最初のアルバムは最後に収められている「Concorde 」でした。1953年の発売で、パリのコンコルド広場をテーマにしたアルバムで、M.J.Qのヨーロッパ志向の最初のアルバムです。のちには姉妹作といえる「ヴァンドーム」というアルバムをスィングル・シンガーズをフーチャーして作っています。まずはタイトル曲の「Concorde 」です。

 

 

 このアルバムの中には、彼らのもう一つのヒット曲といわれる「朝日の様に爽やかに」が収録されています。多分この曲でミルト・ジャクソンのヴァイブの不安になった人も多いのではないでしょうか。かく言う小生もその一人です。このナンバーが初めて収録されたのもこのアルバムです。

 

 

 最初にも書いた様に、正規のアトランティックからの発売ではありませんが、音質的には申し分ありません。ここで初めてM.J.Qを聴く人も、この価格でこの音質で名演が堪能出来るなら納得でしょう。さて、下記は同じような内容のMJQのアルバムです。