2010年ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート |

【第1部】
J.シュトラウス2世 : 喜歌劇『こうもり』序曲
ヨゼフ・シュトラウス : ポルカ・マズルカ『女心』Op.166
J.シュトラウス2世 : ポルカ『クラップフェンの森で』Op.336
J.シュトラウス2世 : ポルカ・シュネル『恋と踊りのときめき』Op.393
J.シュトラウス2世 : ワルツ『酒、女、歌』Op.333
J.シュトラウス2世 : 常動曲Op.257
【第2部】
ニコライ : 歌劇『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲
J.シュトラウス2世 : ワルツ『ウィーンのボンボン』Op.307
J.シュトラウス2世 : シャンパン・ポルカOp.211
J.シュトラウス2世 : ポルカ・マズルカ『心と魂』Op.323
J.シュトラウス1世 : 『パリのカーニヴァル』Op.100
オッフェンバック : 喜歌劇『ライン川の水の精』序曲
E.シュトラウス : カドリーユ『美しきヘレナ』
J.シュトラウス2世 : ワルツ『朝の新聞』Op.279
H.C.ロンビ : シャンパン・ギャロップ
J.シュトラウス2世 : ポルカ『狩にて』Op.373
J.シュトラウス2世 : ワルツ『美しき青きドナウ』Op.314
J.シュトラウス1世 : ラデツキー行進曲Op.228
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 : ジョルジュ・プレートル
指揮 : ジョルジュ・プレートル
司会 : 中條 誠子
~2010/01/01 ウィーン楽友協会大ホールで録画~
新年の風物詩、恒例のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートが今年は2年ぶりのジョルジュ・プレートルの指揮でウィーン楽友協会大ホールで華々しく開催されましたね。今年のイメージカラーはオレンジということで、会場大ホールには今年も北イタリア・サンレモから3万本ものオレンジ色をメインとした花々が絢爛豪華に飾られ、黄金の大ホールを一層引き立てていました。年末の「紅白歌合戦」は見なくなって久しいのですが、このニューイヤーコンサートだけは録りつつもやっぱり見てしまいます。それだけ、テレビが面白い番組を放送していないということなんでしょうね。
例年、場の雰囲気に合わないゲストが登場して再放送に耐えない話しをして番組を繋いでいましたが、ことしはNHKの中條誠子アナが無駄の無いトークで聞いていて安心出来ました。15分の休憩時間には、ウィーンフィルのリハーサルや各楽器の念入りな調整の映像や、今回のバレーに着用する衣装などの構想から制作に至るまでの裏話など、興味あふれる映像も画期的で、つぶさに見る事が出来たのもよかったですね。
さて、早々と発表されている曲目の中で、プレートルの趣向を取り入れたJ.シュトラウス1世 の『パリのカーニヴァル』とオッフェンバック の喜歌劇『ライン川の水の精』序曲は多分初登場でしょう。ニコライの歌劇『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲は1992年のクライバー以来の登場ではないでしょうか。今年の演目も喜歌劇「こうもり」序曲にはじまって、ワルツ・ポルカ・マズルカ・ギャロップなど盛り沢山で、3曲目のポルカ「クラップフェンの森で」のカッコウや小鳥のさえずりにウィーンの森の情景までありありと思い描くことができました。さすがウィーンフィルです。
いつも感心するのは挿入されるバレエのシンクロの演技です。ポルカ・マズルカ「心と魂」、ワルツ「朝の新聞」の演奏は、ウィーン美術史美術館より衛星中継で、数々の名画を背景に 素晴らしいバレエも見応えあるものでした。こういう部分は、会場にいては鑑賞出来ないのでこれはテレビの特権ですね。そして、ポルカ「狩」の見せどころ、聴かせどころの銃声は、指揮者自身がマジックさながら、銃口から煙ならぬ花束が飛び出す、プレートルじいさんの茶目っ気たっぷりのパフォーマンスでした。ニューイヤー2度目の登場となるプレートルじいさんはなかなか洒落っ気のある演出で、前半の常動曲の終わり方供どもユーモアたっぶりで笑わせてくれましたね。これで85歳なんですから恐れ入ります。
アンコールの「美しき青きドナウ」に至っては、緑あふれる大自然の中を、ヨーロッパ8ヵ国をとうとうと流れるドナウ川の流れを随所に見せ、その昔訪れた懐かしい風景が彷彿とよみがえってきましたねぇ。実に上手い演出です。NHK交響楽団の演奏会でもたまにはこういう演出を取り入れてくれてもいいのになぁ。DVDなんかはマルチアングルでこういう仕様も簡単なはずですからね。
さて、最後は世界中の聴衆に何より待ち焦がれている曲である「ラデツキー行進曲」です。ボスコフスキーの晩年頃から指揮者が観客の手拍子にキューを出して、会場が一体になってのクライマックスはこのコンサートの醍醐味です。このコンサートを聴き終わると今年も新年になったのだなぁという気がします。そういう意味ではニュー・イヤー・コンサートは小生にとって贅沢で素晴らしい年の幕開けです。