ドホナーニのメンデルスゾーン |
曲目/メンデルスゾーン
交響曲第3番イ短調「スコットランド」
1. Andante Con Moto-Allegro Poco Agiato-Assai Animat 13:25
2.Scherzo: Vivace Non Troppo 4:30
3.Scottish'Adagio 9:23
4.Allegro Vivacissimo_allegro Maestroso Assai 9:31
5.序曲「フィンガルの洞窟」* 10:11
交響曲第4番イ長調「イタリア」*
6. Allegro Vivace 7:53
7.Andante Con Moto 5:55
8. Con Moto Moderato 6:18
9. Saltarello: Presto 5:31
指揮/クリストフ・フォン・ドホナーニ
演奏/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
演奏/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音/ 1976/09
1978/12/04.05 ソフィエンザール、ウィーン
P:クリストファー・レイバーン
E:ジェイムズ・ロック、コリン・ムアフット*
1978/12/04.05 ソフィエンザール、ウィーン
P:クリストファー・レイバーン
E:ジェイムズ・ロック、コリン・ムアフット*
DECCA 417 731-2

ホームページでは「音色は美しいが深みに欠ける」とコメントした演奏です。もっともそれは「イタリア」を聴いたときの印象です。今年はメンデルスゾーン・イヤーかと考えた時CDラックから久しぶりにこの演奏を取り出していました。紹介はしませんでしたが、しばらく前に「200CD ウィーン・フィルの響き―名曲・名盤を聴く」を読んだ時にこの演奏が取り上げられていて心に引っかかっていたこともあります。
お決まりのコースで愛車の中で最初聴いてみました。これがことのほかいい音で鳴ってくれるのです。これらの録音は丁度アナログからデジタルに切り替わる時期の録音で、交響曲第3番はアナログ、そして序曲と交響曲第4番はデジタル録音となっています。そして、デッカで一番最初にデジタル録音されたセッションがこの交響曲第4番「イタリア」のセッションでした。ただし、録音として市場に登場したのは1979年の「ウィーンフィルのニューイヤー・コンサート」で5月5日の発売でした。登場はどちらもLPのみで、ドホナーニの録音は遅れること3ヶ月の8月5日の発売でした。LPで登場時は交響曲第4番と「フィンガルの洞窟」、そして、「静かな海と楽しい航海」の序曲が収録(キングSLA1215)されていました。
ということでこの録音、ドホナーニをー聴くというよりもウィーンフィルの音を聴くといった方が正解なのかもしれません。スピーカーから流れてくる音はまさしくウィーンフィルの音です。実はメンデルスゾーンの交響曲のなかでも、タイトルとイメージが結びつかないという理由で、ありスコットランドはあまり聴く機会の無い曲でした。
形式的には序奏つきのソナタ形式となりますが、この序奏が長く主題にたどり着くまでに聴く気を無くしてしまうところにも問題があったのでしょうね。この曲は絶対に「イタリア」より先に聴かなくてはいけません。実際作曲年代から見るとこの曲の方が後に作曲されているのですから・・・・
さて、以前はドホナーニは強烈な個性がある訳でもなく、個人的な印象ではこれといった特徴は感じませんでした。1970年代から彗星のように登場し、デジタル黎明期にはデッカとテラークに大量の録音を残しています。丁度時流に乗ったんでしょうなあ。でも、久しぶりにこのCD聴いてみると良い演奏しています。ウィーンフィルをならしながらちゃんと自分の音楽を作っていますね。だてにクリーヴランドやフィルハーモニアのシェフをしていた訳じゃないんだということを改めて感じました。
4番はさておき、この交響曲第3番「スコットランド」は聴きものです。この頃は相性もよくウィーンフィルとよく録音していたんですな、でも、後にウィーンフィルを批判したとかで今でも出入り禁止とか?もったいない話しです。オペラ畑で鍛えた得た歌心とドラマチックさを併せ持った特色を生かしてウィーン・フィルの美質をとことん活用しながら、厳しく雄渾に進めてゆきます。旋律の歌わせ方なんで5〜60年代のショルティを彷彿とさせるごり押し的なところもあっていいんじゃないのって感じです。
いゃあ、4楽章まで一気に聴いてしまいました。アナログ録音の美質がぎっしりと詰まった演奏です。
いゃあ、4楽章まで一気に聴いてしまいました。アナログ録音の美質がぎっしりと詰まった演奏です。
CDジャケットには「スコットランド」、「イタリア」そして「フィンガルの洞窟」の順に記されていますが、実際の収録は3番と4番の間に序曲があります。ここからはデジタル録音ということですが、最初新譜で出たときは媒体がLPだったのでこの録音の本当の良さというのは評価されなかったのかレコ芸では推薦盤にもなっていません。しかし、改めて聴くとウィーンフィルの弦の美しさを極めた素晴らしい録音です。デッカのスタッフのこの録音に対する意気込みというものが詰まっているような音です。いつものホームグラウンドのソフィエンザールでの録音ですが、バランスの取れた最上のウィーンフィルの音を聴くことが出来ます。
そして、交響曲第4番「イタリア」です。
演 奏 者 | 第1楽章 | 第2楽章 | 第3楽章 | 第4楽章 |
セル/クリーヴランド管弦楽団 | 9:50 | 5:17 | 06:36 | 5:20 |
ショルティ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 | 9:52 | 5:25 | 6:35 | 5:41 |
ショルティ/シカゴ交響楽団 | 10:57 | 6:45 | 7:31 | 5:34 |
アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団 | 8:12 | 6:39 | 7:11 | 6:08 |
そんな印象から、この演奏は多分ドイツ側からヴェニスを経由してローマに向かうTEEの特急列車で旅行しているような印象です。どう見てもスイス側からアルプス山脈を超えてのイタリア入りでは無いような気がします。この曲は聴く日の天気も多分に影響しているのでしょうか。たまたま、今日の天気がドホナーニ向きなのかもしれません。ちなみに、主立った手持ちでは
晴れた日の演奏
セル/クリーヴランド管弦楽団
アンセルメ・スイス・ロマンド管弦楽団
デルヴォー/ハンブルクフィルハーモニー
曇りの日の演奏
ドホナーニ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ショルティ/シカゴ交響楽団
雨の日の演奏
ブリュッヘン/オランダ放送室内管弦楽団、18世紀オーケストラ
リカルド・ムーティ/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
全天候型の演奏
レオポルド・ストコフスキー /ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
という感じでしょうか。
晴れた日の演奏
セル/クリーヴランド管弦楽団
アンセルメ・スイス・ロマンド管弦楽団
デルヴォー/ハンブルクフィルハーモニー
曇りの日の演奏
ドホナーニ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ショルティ/シカゴ交響楽団
雨の日の演奏
ブリュッヘン/オランダ放送室内管弦楽団、18世紀オーケストラ
リカルド・ムーティ/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
全天候型の演奏
レオポルド・ストコフスキー /ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
という感じでしょうか。