ミッション・インポッシブル | geezenstacの森

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ミッション・インポッシブル

曲目/
1. ミッション・インポッシブルのテーマ  3:28
2. ミッション・インポッシブルのテーマ(ジュニアーズ・ハード・ミックス/エディット) 4:12
3. ミッション・インポッシブル任務完了のテーマ  3:07
4. ミッション・インポッシブル任務完了のテーマ(カット・ザ・レッド・ノット・ザ・ブルー) 4:35
5. ミッション・インポッシブル任務完了のテーマ(デイブ・クラーク・リミックス)4:31

 

演奏/ラリー・ミューレン&アダム・クレイトン
 
ポリドール  POCP-7143
発売日 1996年07月01日

 

イメージ 1

 

 「このCDは、19分47秒経つと、自動的に(自己)崩壊する(THIS CD WILL SELF-DESTRUCT IN 19 MINUTES AND 47 SECONDS)」と書かれていますが、これはもちろん「ミッション・インポッシブル」のテーマ曲であることにちなんだジョークです。実際は、何回でもというか、普通のCDのものと同じ寿命が尽きるまで再生できます。まぁ、曲の中でも、2曲目でオリジナルの「This tape will self-destruct... 」というダイアローグが挿入されています。そうなんですね。オリジナルの「スパイ大作戦」の時代は指令を受けるのはオープン式のテープだったんですね。時代を感じますね。このアルバムは一応映画音楽ですがサントラではありません。強いていえばインスパイアード・CDということになります。しかし、同じインスパイヤードでもアルバムではありません。シングル盤なんですね。で、アルバムはというと、下のものがそのインスパイヤード・アルバムというものになります。
 

 
 しかし、これはサントラではありません。多分このデザインのジャケットが一番宣伝されましたからほとんどの人がこれをサントラと思って勝ったのではないでしょうか。でも、これははずれです。これを買った人は後悔したのではないでしょうか。テーマ曲だけは収録されていますが、それ以外は全く関係のないロック作品がほとんどを占めています。ただ、本来のサントラに含まれていないダニー・エルフマンの映画に使用され作品の組曲のような作品が3曲も収録されています。ただまされた人が大量に中古市場に放出したのでこのアルバムはどかっと在庫されているはずです。本来のサントラ盤は下になります。フィリップスから発売されましたがあまり見かけません。
 

 

 ようするに、この映画には三枚の関連するCDが発売されたということになります。もともとのオリジナル曲はラロ・シフリンが作曲していますから、ここではそのテーマだけをダニー・エルフマンがアレンジをして使っていることになります。もともとはこの作品の音楽はアラン・シルヴェストリが書くはずでした。ところがどうも映画のテンポと音楽が合わないということで、急遽ダニー・エルフマンがラロ・シフリンのテーマをもとに音楽を書いたというわけです。ちなみにこのシリーズ、ミション・インポッシブル3ではダリオ・コロンティ(プライドと偏見)→マイケル・ジアッチーノ (Mr.インクレティブル)に代わっています。
    
 長々と書いてきましたが、このアルバムは演奏はすべて、U2のアダム・クレイトン(ベース)とラリー・マレン・ジュニア(ドラム)のリミックス盤ということになります。ところがただのリミックスでないのは、この演奏が映画のエンドクレジットとその予告編に使われていたのです。トラック1がそれに当たるわけですが、言わずと知れた「スパイ大作戦」のテーマで誰でも聴いたことがあるメロディでしょう。

 

 そして、トラック2は、ハードロックが炸裂します。1、2は、アダムとラリーにデヴィッド・ビールが加わった(ほぼ)セルフ・アレンジ、セルフ・プロデュースのバージョンになります。ただし、2はジュニア・ヴァスケスによるリミックスです。そのあと、トラック3、トラック4にかけていろんなサウンド・エフェクトを入れて曲を変化させていく感じの編曲となりますが主題があまり変化しないので変奏曲とはいえませんな。五つのトラックすべて、基本的に原曲の面影を留めており、リスナーの飽きを防ぐためにだけ、こまめにアレンジとリミックスを繰り返している感じで、もともと低音の響くアレンジですから纏めて聴くといい加減飽きてきます。

 

 さて、インスパイアード・アルバムとは CD売りたさに既成のボーカル曲をとにかく映画に挿入し、アルバムを出すことです。もっともアルバム収録曲の半分以上が映画で使われていない場合もあります。この2つ目の「ミッションインポッシブル」なんかはその典型的な例です。要するに現代版イメージソング集というものでしょう。それでも商売になるから出続けているわけで、嘆かわしいことですが世の中にはいかにスコア・サントラファンが少ないかわかります。CD初期にSLC(サウンドトラック・リスナー・コミュニケーション)というレーベルがこつこつとサントラをCD化して出していましたが、潰れてしまったことを思うと残念でなりません。まあ、それだけ映画音楽が魅力の無いものになっているのが実情なのではないでしょうか。一昔前は、映画からヒット・ソングがどんどん生まれていましたが最近は数えるほどしかありません。昨年、映画からヒットした曲はいくつあるんでしょうかね?邦画では「崖の上のポニョ」がヒットし、その主題曲が売れましたが果たして洋画では?思いつきません。これじゃあ、サントラが売れるわけが無いですわな。それこそ、お宅ファンじゃなきゃ買わないでしょう。

 

 ちなみに最近のインスパイアード・アルバムは、
スピード
8マイル
ナルニア国物語
パッション
バベル
電車男
なんてのがありました。こういうのが好きな人はいいでしょうが、昔からのOSR(オリジナル・サウンド・トラック)ファンとしては受け入れられません。
 その点このアルバムは、リミックスとはいえ純粋な映画音楽ですから許せます。