フィードラーの行進曲集 | geezenstacの森

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フィードラーの行進曲集
fiedler's favourite marches

曲目/
1 Aida: Grand March (03:38)
2 Babes in Toyland: March of the Toys (03:51)
3 Semper Fidells (02:37)
4 Suite No. 1, Op. 43: Marche Miniature (02:01)
5 Yankee Doodle (02:34)
6 Up the Street (02:12)
7 Damnation of Faust: Rakoczy March (04:15)
8 Caucasian Sketches: Procession of the Sardar (03:48)
9 Sambre et Meuse (03:59)
10 Ruins of Athens: Turkish March (01:40)
11 Colonel Bogey (03:09)
12 Dixie   (00:47)
13 American Salute (04:12)
14 Strike up the Band (02:47)
15 Radetzky March (02:54)
16 Pomp and Circumstance March No. 1 (05:48)
17 Algerian Suite: French Military March (04:32)
18 Mlada: Procession of the Nobles (04:32)
19 Valdres March (03:25)
20 National Emblem March (03:03)
21 Stars and Stripes Forever (03:25)

 

指揮/アーサー・フィードラー
演奏/ボストン・ポップス管弦楽団
録音/1958-1964
P:リチヤード・モア、ペーター・デリハイム
E:アンソニー・サルヴァトーレ、バーナード・ケヴィレ

 

BMG RCA VICTOR 60700-2-RG

 

イメージ 1
       
 ボストンポップスはボストン交響楽団のサマーシーズンの活動時の名称ですが、現在では一年中を通して活動しているようで世界でも屈指の忙しいオーケストラでしょう。公演が中止になりましたが、2008年もボストン・ポップスの来日の予定がありました。といっても、こちらはボストン・ポップス・エスプラネード管弦楽団で、ボストン・ポツプス本体というよりはフリーランサーを集めた別働隊のようです。

 

 ボストン・ポツプスは既に120年以上の歴史がありますが、アーサー・フィードラーはその任期(1930〜1979)からいってももっとも縁の深い指揮者でしょう。第18代指揮者として半世紀に渡ってその職にあったのですからたいしたものです。レパートリーもセミ・クラシックからポップスの名曲に至るまで幅広く、おびただしい量のレコードを世に送り出しています。一般にはRCAの録音が有名ですが、フィードラーの晩年はポリドールからポップスの名曲を演奏したアルバムが発売されていました。

 

 ここでは、RCAに録音したアルバムの中から彼らの演奏する行進曲を集めたもので構成されています。普通、マーチは吹奏楽団が演奏するものでこうしたシンフォニックなオーケストラが演奏すると少々違和感があるものです。レパートリー的にもクラシックの作曲家の作品を中心に据えて、一般の吹奏楽ファンを少々がっかりさせる面もあります。現にバーンスタインもマーチを演奏したアルバムを残していますが、そこで演奏されていたテンポはる実際には行進するのが不可能なアップテンポの演奏でした。

 

 そういう点では、このフィードラーの演奏はすべてにバランスが取れています。確かにクラシックの作曲家の作品が多く含まれていますが、ポップスオケとしての演奏と割り切ってかなり編曲を施し、ちゃんと行進出来るテンポで演奏しています。また、この編曲が洒落ています。ボストン・ポップスには専属のアレンジャースタッフがいてオーケストラの醍醐味を充分に引き出すアレンジを施しています。純粋クラシック的に聴くとちょっと物足りないと思えますが、ポップス的アプローチから聴くと的を得たアレンジです。第1曲目のアイーダも一番有名な部分のピックアップして演奏しています。

 

 

 

 また、未知の曲と出会う楽しみもちゃんと用意してくれています。このCDでは2曲目のハーバートの「おもちゃの行進曲」と19曲目のハンセン(ノルウェーの代表的バンド・マスター。オスロ軍楽隊の楽長を務めた)の「ヴァルドレス・マーチ」はこのCDで初めて知りました。ハーバートはアメリカに帰化したアイルランド人ということで、母国ではけっこう知られた存在のようです。調べるとピッツバーグ交響楽団の音楽監督もしていたことがあり、米国音楽著作権協会(ASCAP)の創設者でもあるということで、アメリカのオケはこの曲を良く取り上げています。オペレッタ「おもちゃの国の赤ん坊たち」の中の挿入曲です。ハンセンの「ヴァルドレス・マーチ」のほうは彼の処女作で、ヴァルドレスとはオスロとベルゲンの間に位置する約400キロにわたる山岳地帯の名称だそうです。1901年から1904年にかけて作曲されたこの曲のイントロのコルネット・ソロは、ノルウェー陸軍ヴァルドレス大隊の信号ラッパを含んだもので、他の部分のメロディーは民謡、あるいは民謡にインスピレーションを受けたメロディーが採用されています。牧歌風ののどかな感じのする曲で北欧の抒情を感じさせます。

 

 

 

 このCD、同じジャケットを使った国内盤がありますが、収録曲が違います。「ラデッキー行進曲~マーチ・パラダイス」の邦題で発売されていました。日本盤は下記の曲目で配列も違います。国民性の違いを配慮してのコンピュレーションといえるでしょう。

 

(1)ラデツキー行進曲(J.シュトラウス1世)
(2)アイーダの大行進曲(ヴェルディ)
(3)ヤンキー・ドゥドゥル(グールド編)
(4)ラコッツィ行進曲(ベルリオーズ)
(5)サンブル・エ・ムーズ連隊行進曲(プランケット)
(6)行進曲「忠誠」(スーザ)
(7)トルコ行進曲(ベートーヴェン)
(8)ボーギー大佐(アルフォード)
(9)アメリカン・サリュート(グールド)
(10)あやつり人形の葬送行進曲(グノー)
(11)行進曲「威風堂々」第1番(エルガー)
(12)フランス軍隊行進曲(サン=サーンス)
(13)行進曲「国の象徴」(バグリー)
(14)ラ・ソレラ(ボレル=クレール)
(15)ストライク・アップ・ザ・バンド(ガーシュウィン~グリーン編)
(16)カレリアの行進曲(シベリウス)
(17)エジプト行進曲(J.シュトラウス2世)
(18)組曲第1番~小行進曲(チャイコフスキー)
(19)おもちゃの行進曲(ハーバート)
(20)星条旗よ永遠なれ(スーザ)
上記は1992年発売のBVCC-1805の内容で、2000年に再発売されたBVCC-35041はまた収録曲が違います。

 

 下は20曲目の「National Emblem March 」です。