クラシックス
キー・オブ・ケニー・G
曲目
1. サマータイム
2. 恋のおもかげ
3. この素晴らしき世界
4. ジザフィナード
5. イン・ア・センチメンタル・ムード
6. イパネマの娘
7. ストレンジャー・オン・ザ・ショアー
8. ボディ・アンド・ソウル
9. ラウンド・ミッドナイト
10. 虹の彼方へ
11. イパネマの娘(インストゥルメンタル・ヴァージョン/ボーナス・トラック)
P:ケニー・G、ウォルター・アファナシエフ
BMG BVCA-21028(BVCM-37667)

ケニー・Gの名前を知ったのは映画音楽が縁でした。ジュリア・ロバーツが主演した「愛の選択(DYING YOUNG)」という映画でした。ケニー・Gの音楽はけっこう使われています。ホイットニー・ヒューストンの「ボディガード」でも、ウェイティング・フォー・ユーを演奏していましたね。このソプラノサックスの響きに魅了されました。元々、ソプラノサックスはナベサダの演奏で親しんでいましたのでフュージョンのこの乗りはすんなりと耳に入ってきました。丁度、友人もケニー・Gに注目してCDを集めていましたので当時は聴きまくりました。「ブレスレス」、「モー
メント」、「シティ・ライツ」、「シルエット」、「デュオトーンズ」etc・・・みな素晴らしい出来でした。その中でも、この一枚はスタンダードを演奏しているということでの注目盤でした。
メント」、「シティ・ライツ」、「シルエット」、「デュオトーンズ」etc・・・みな素晴らしい出来でした。その中でも、この一枚はスタンダードを演奏しているということでの注目盤でした。
いまや大ヒット・メイカーとなったケニーG初のスタンダード・ナンバーのみで制作された作品集です。ケニー・Gがスタンダードを演奏すると、なるほどこういう形になるのかと納得してしまう一枚。小難しいことを一切しないというのも潔ぎがいいし、ストレートに演奏することで原曲の良さを倍増させるすべも心得ています。
冒頭の「サマータイム」ではメローなアルト・サックスでジョージ・ベンソンのギターと渡り合っています。ブルースっぽくて、多分一番ジャジーな演奏でしょう。ガーシュインの原曲を残したオーケストラアレンジも冴えています。2曲目のバカラックの「恋の面影」はテナー・サックスでの演奏です。ボサノヴァのリズムでしっとりとしたムーディな雰囲気が素敵です。
聴きものは3曲目のサッチモことルイ・アームストロングとの「この素晴らしき世界 」でしょう。てっきりサッチモのオリジナルにケニー・Gのサックスを重ねたものと思っていましたが違うんですね。サッチモのオリジナル音声だけをケニー・Gの演奏にオーバーダビングしているんですね。サッチモの声がオリジナルよりくっきりと聴こえるのにびっくりしました。
ポップな乗りの「イン・ア・センティメンタル・ムード」はエリントンが1936年に作曲した名バラードです。この曲が「ジザフィナード」と「イパネマの娘」になぜ挟まれたのか疑問が残るところですが、コルトレーンの名演の向こうを張って正面からの対決ではありませんがムーディなアレンジでケニー・Gの歌うような息づかいがまた聴き所にもなっています。
スムーズ・ジャズとかフュージョンに分類されるケニー・Gはそのその明るい音色が「ジザフィナード」や「イパネマの娘」のような軽やかなボサ・ノヴァの曲はピッタリと合います。ややけだるい感じのするオリジナルのアントン・カルロス・ジョビン演奏より洗練されていて、ながら聴きにはこの演奏の方がぴったりフィットします。ボーナストラックはインストメンタルですがこの曲はベベル・ジルベルトのボーカルがヒューチャーされたトラックの方がやはりしっとり来ますね。そして、「ストレンジャー・オン・ザ・ショアー」に続く流れはいい繋がりです。休日にトロピカルドリンクを片手に聴くのにカウチソファーに横たわりながら聴きたい雰囲気です。
ジャズの名曲セロニアス・モンクの「ラウンド・ミッドナイト」はソプラノ・サックスで切々と歌い上げていますし、ジュディ・ガーランドの名唱を思い起こす「虹の彼方へ」も原曲の雰囲気を壊さずにアレンジが施されているので、大変聴きやすいものです。ストリングスが控えめなのもいいですね。
さてさて、国内盤には11曲目にボーナストラックの「イパネマの娘」が収録されています。本編の方はボーカルがメインでケニー・Gのサックスはどちらかというとサポートに徹していますが、こちらではのびのびとサックスを吹き捲くっています。純粋にケニー・Gを楽しむならこちらの演奏ですかね。
ケニー・ G 1956年6月5日、ワシントン州シアトル生まれ、本名ケニー・ゴーリック(Kenny Gorelick)。 6歳からピアノを始めたが、10歳のころ「エド・サリバン・ショー」のサックス・プレーヤーのプレイを見て魅力にとりつかれる。17歳の頃バリー・ホワイト&ラブ・アンリミテッド・オーケストラがシアトルに来た時高校教師の薦めでソリストとしてバンドでプレイしたことが、彼のプロとしてのキャリア第1歩となった。 大学卒業後22歳で ジェフ・ローバー・フュージョンの全米ツアーに参加、 各地を回るうちに当時アリスタ・レコードの社長クライヴ・デイヴィスに見出されソロ・プレーヤーとして契約。デビュー・アルバム『シティ・ライツ』(82年)でソロとしてのキャリアをスタート。 そんな彼の転機となったのが、86年発表の4作目のアルバム『デュオトーンズ』からのシングル「ソングバード」の大ヒット(全米4位)だ。当時インスト・アルバムとしては異例の全米600万枚セールスを記録、続いて88年の「シルエット」(同名アルバムからのシングルカット)もヒット(全米13位)。92年グラミー賞に輝いたアルバム『ブレスレス』は2年間で全世界1,000万枚のセールスを突破、4年間もチャートインしインスト史上初の快挙となった。 ベイビ-フェイス、トニ・ブラクストンの参加が話題となった96年の『ザ・モーメント』を経て、97年『グレイテスト・ヒッツ』を発表。99年には初のスタンダード・カヴァー・アルバム『クラシックス~キー・オブ・ケニー・G』を発表、中でもサッチモの声をフィーチャーした「この素晴らしき世界」は現在もライヴの重要楽曲となっている。 1994年には "Fag" でグラミー賞インストゥルメンタル部門の最優秀作曲賞を受賞。また、1997年には「最も長いロングトーンをするサックス奏者(45分47秒)」(→循環呼吸)として、また1999年には「累計アルバム売上枚数の最も多いジャズ・アーティスト」として、それぞれギネスブックにも掲載されている。