モーリス・ジャンドロンのドヴォルザーク | geezenstacの森

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モーリス・ジャンドロンのドヴォルザーク

曲目
ドウォルザーク/チェロ協奏曲ロ短調Op.104
1. Allegro 14:41
2. Adagio, Ma Non Troppo 11:54
3. Finale: Allegro Moderato 13:00
4.ロンド ト短調Op.94 7:41
サン・サーンス
5.チェロ協奏曲第1番イ短調Op.33* 17:51
フォーレ
6. エレジー Op. 24* 7:24
チェロ/モーリス・ジャンドロン
指揮/ベルナルト・ハイティンク 
   ロベルト・ベンツィ *
演奏/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
   モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団*
録音 1969/11 ロンドン
   1967/11 モンテカルロ*

新星堂PHILIPS SDMP-21

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 モーリス・ジャンドロンの印象的な記憶は、1960年代末、まだフランシス・レイの面が割れていないとき、このモーリス・ジャンドロンの変名ではないかといわれた次期があります。それほど情報が無かった時代があったのですね。端正な顔立ちですが、ちょいと似ていないのは歴然です。モーリス・ジャンドロンは1920年にニースに生まれ、1990年に亡くなっています。晩年は日本にもチェロ奏者としてだけではなく指揮者としても登場し、群馬交響楽団なども指揮していました。指揮者としての録音もあるはずです。

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 このドヴォルザークはステレオでは唯一の録音のはずです。50代の脂の乗った次期の録音です。今年の4月にこのジャンドロンのCDがフィリップスから纏めて復刻されましたが、ここに紹介するのは新星堂が独自にリリースしたコンサート・クラシックの中の一枚です。ドヴォルザークとサン=サーンスのチェロ協奏曲他が収録されています。ドヴォルザークのバックはハイティンクが務めていますが、これは極めて珍しいものです。ハイティンクは録音歴が長い割にはドヴォルザークはほとんど録音していません。交響曲も後期の7-9番位しか録音していませんし、チェロ協奏曲のバックも多分このジャンドロンしか入れていないはずです。 

 得意でないということで、ここでのサポートはやや控えめです。セル/フルニエ盤のように、がっぷり四つに組むという所まで入っていないのが残念です。それに比べてジャンドロンのチェロは悠然と響きます。最近の演奏に比べると、ちょっと大時代な響きに聴こえますが、この節回しがこぶしが効いているようで中々味があります。同時代に活躍したフルニエに比べると洗練さでは劣りますが、ドヴォルザークの持つ土着性ではジャンドロンの方が一歩上です。
 
 ドヴォルザークの作品はもう一曲、ロンドト短調が収録されていますが、こちらも素晴らしい名演です。哀愁のある表現で充分にチェロを歌わせています。こちらの方はハイティンクのサポートも万全で録音の優秀さもあって聴き映えがします。この頃のフィリップスの録音は今にして思えば非常に聴きやすい音でバランスの取れた優秀録音揃いです。

 さて、ジャンドロンの気品のある響きはサン=サーンスで更に開花して決してパワフルに楽器を響かせこれ見よがしののワザを仕掛けるチェロではありませんが、充分なキレがありながらどこか甘やかにノーブルな響きの間から、誘うように懐かしい柔らかな情の気配が漂ってきます。ドヴォルザークに比べると音の鮮度はやや落ちますがベンツィのサポートも万全でその前進力のあるスピード感で爽快な気分にさせられます。

最近のジャケットは下記のものになっています。

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ユニバーサル ミュージック UCCP3450