先日はさらっと流しましたが、個人的に今回の軽井沢旅行での一番の収穫は「ペイネ美術館」に行けたことです。このペイネ美術館は世界で一番最初にオープンしたものです。この美術館は旧帝国ホテルの設計で知られる建築家F・L・ライトのスタッフとして来日したアントニン・レーモンがアトリエ兼別荘として昭和8年軽井沢南ヶ丘に建てたものです。建築学的にも貴重な建物です。それを、1986年塩沢湖畔に移築し、ペイネ美術館として生まれ変わりました。開館にはペイネ夫妻立ち会いのもとに開館し、その時描いた「恋人たち」の絵も展示されています。軽井沢足りあせんの中で一番来館者が多い美術館でしょう。タリアセンの入園券とセットになっているチケットで入ると割安になりますし、割引のクーポンが出回っていますのでそれを利用するといいでしょう。

今年は、7月12日から10月16日まで「マイ・フェイバリット・ペイネ」の特別展示が行われています。水彩画、リトグラフ、そしてポスターの中から選ばれた来館者に人気のある30作品がメインに展示されています。その中からベスト12を紹介しますと、

01 | 窓辺の恋人達 |
02 | 恋人達の愛 |
03 | 僕は貴方の愛で燃えていますじゃあ家に来て、暖炉が壊れているの |
04 | 星採り |
05 | キャンディをくださるの?いいえ。ミニスカートです |
06 | エア・アムール |
07 | 邪魔しないで |
08 | ヒエンソウ |
09 | ハトに囲まれた「愛の季節」 |
10 | 貴方のセーター袖付きにする?それとも袖無し? |
11 | やあニコラ、君のもとへ |
12 | ノアの方舟 |
といった作品がランクインしていました。写真は5位のリトグラフ作品です。基本的に男と女の愛を描いた作品が多いのですが、決してそれだけではありません。12位の「ノアの方舟」なんかは動物達もしっかりと描かれていてメッセージ性があります。
ペイネについては、小生は1974年に公開された「ペイネ愛の世界旅行」で知っていましたが、家内と子供は全く知りませんでした。ということで、全くの予備知識無しでの鑑賞ということだったのですが、二人とも気に入ってくれて、タリアセンの滞在時間のほとんどをペイネ美術館で過ごしました。子供が気がついたのはペイネの絵には平和の象徴としてのハトが描かれているということです。そして、山高帽にスーツを着こなしたバレンチノと胸を強調した姿で描かれる女性のバレンチノを描く世界は、エロチックでありながら溢れだす愛を感じることができる独自の世界です。
「愛の画家」レイモン・ペイネは、1999年1月14日世界中の恋人たちに惜しまれつつ、90年の愛の人生に幕を閉じました。日本のペイネ美術館は、靴を脱いでスリッパに履き替えて鑑賞するという日本家屋の小じんまりとした美術館ですが、不思議とペイネの描く世界とマッチしています。

「愛の画家」レイモン・ペイネの横顔 1908年パリ生まれ。少年時代から絵を描くことが大好きで、青年期を迎えた頃、画家として生きていくことを決意する。漫画を描きはじめたのはこの頃からだが、フランスの新聞や、雑誌“LE RIRE,FRANCE DIMANCHE”などに投稿を試み、次第に才能を認められ始め、漫画だけではなく小説の挿絵なども手掛けるようになる。“恋人たち”が登場し始めたのもこの頃である。以来、フランスのみならず世界中の人々に“愛の画家”として愛され続けている。無名時代にお世話になった下宿先の娘ドゥニーズと結婚し、その後の彼の絵のモチーフは彼女によるところがきわめて多くなる。彼の作品は一見ソフトなイメージで受けとめられるが、その中には人類の経験した憎しみあいや、あらゆる不幸に対して心を痛めたペイネの平和や愛のメッセージが含まれていることが分かる。 「愛で世界中をひとつにしたい」彼の強い願いは“ペイネの恋人たち”として実り、平和や愛に見放された暗い社会に一筋の光をもたらす希望の使者となったのだ。 レイモン・ペイネ RAYMOND PEYNET(1908-1999) 1908 11月16日フランス、パリ市に生まれる 1924 パリ市の産業装飾美術学校に入学 1936 イギリスの雑誌「ザ・ブールヴァルディエ」に初期デッサンを発表 1942 ヴァランス市のキオスク(野外音楽堂)で“恋人たち”を考案 雑誌「リック・エ・ラック」に掲載される 1958 ブリュッセル万国博において都市計画館の装飾を手掛ける 1974 映画『ペイネ・愛の世界旅行』が製作、公開される 1985 聖ヴァレンタインの記念切手をデザインする 1986 軽井沢ペイネ美術館開館 夫妻で記念式典に参列 1987 フランス芸術・文芸勲章受賞 1988 アンティーブ市にペイネ美術館開館 1998 ブラサック・レ・ミンヌ市にペイネ美術館開館 1999 1月14日ムージャン市にて死去 ビオ市、ヴァランス市、アンティーブ市(フランス) ボルディゲーラ市(イタリア) の名誉市民でもある。下のスタンプはペイネ美術館で押せます。
