コレギウム・アウレウムのC.P.E.バッハ | geezenstacの森

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コレギウム・アウレウムのC.P.E.バッハ

曲目/C.P.E. バッハ
1.チェンバロとピアノ・フォルテ(2台のチェンバロ)のための協奏曲ヘ長調 H410 (Wq46)
Allegro 9:57
Largo 7:22
Allegro assai 5:27
2.チェンバロ協奏曲ニ短調 H427 (Wq23)
Allegro 8:08
Poco andante 7:08
Allegro assai 7:15
3.オーボエ協奏曲変ホ長調 H468 (Wq165)
Allegro 7:10
Adagio ma non troppo 7:18
Allegro ma non troppo 6:53
チェンバロ/グスタフ・レオンハルト 1
      アラン・カーティス 1
オーボエ/ヘルムート・フッケ
コンサートマスター/フランツ・ヨゼフマイアー 
演奏/コレギウム・アウレウム
録音 1967 1
   1969 2、3 フッガー城、糸杉の間、キルヒハイム

 

英EMI DHM CDM7692762  

 

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 最初の曲はLP時代にはけっこう親しんだ曲でした。なかなかCD化されなかったこともあって忘れ去っていた曲です。バロック時代の曲にはそんな曲がゴロゴロしています。1970年代にバロック・ブームがあって当時は毎日のようにFMから流れるバロック音楽の番組を聞いていました。そして、レコードでも丁度日本コロンビアからエラートのバロック物が大挙して発売されていました。そんな中でであったのがこの「クラウザンとピアノ・フォルテのための協奏曲ヘ長調」です。以前に紹介した「バロックの大作曲家たち」というサンプラー盤で初めてこの曲を知りました。もちろん、C.P.E.バッハの名前を知ったのもそのときです。バッハに20人の息子達がいるのさえ知りませんでした。

 

 この時聞いたラクロワのチェンバロ、ドレイフェスのピアノ、リステンパルト/ザール室内管弦楽団の演奏はすっきりと下響きの中にも格調というものが感じられて素敵な演奏で一辺にこの曲が気に入りました。でも、レコードを聴かなくなってすっかり忘れていたのでした。それが、なにげなしに手に入れたこのCDに含まれていたのです。ただし、元々はクラブサンとピアノの演奏で聞いていたので最初は気がつきませんでした。多分2台のクラブサンのための協奏曲がオリジナルの形なのでしょう。でも、C.P.E.バッハは元々はチェンバロよりも当時のピアノ・フォルテに愛着を持っていたということでは前者の演奏も有りのような気がします。

 

 ここでは、レオンハルトとカーティスが2台のチェンバロを弾いています。「古楽器使用+モダン奏法」という折衷スタイルが批判されて一時期ほとんどの録音が市場から消えてしまったコレギウム・アウレウムの演奏です。それでも、ガット弦を使った響きは録音会場の音響の良さも相まって素晴らしいノーブルで気品のある演奏で復活しています。この第1楽章は一度聴いたら忘れられないメロディでとても親しみやすいものですが、如何せんあまり知られていません。まあ、C.P.E.バッハ自体があまりメジャーではないからしかたが無いんですけれどもね。2台のチェンバロのための協奏曲はJ.S.バッハの作品があまりにも有名でその陰に隠れているのが残念です。

 

 

 2曲目のニ短調の協奏曲のほうが一般的には多分演奏される機会が多いでしょうか。こちらも印象的なメロディで始まる佳曲で大バッハの作品と遜色の無い出来映えです。バッハ・ファミリーの中では唯一左利きであったということで低音部の音色もきらびやかで華麗な響きが聴き取れます。生前は直接にモーツァルトやベートーヴェンに影響を及ぼしていたとい点では父大バッハ以上の功績があったといえるでしょう。

 

 3曲目はオーボエ協奏曲です。フレードリッヒ大王に仕えていたということでひときわフルートのための作品を多く残していますが、そういった意味ではオーボエ協奏曲は珍しい部類に入る作品なのかも知れません。もっとも、2曲残したオーボエ協奏曲はチェンバロ協奏曲からの編曲という経緯があります。ですから、このディスクでわざわさそのオーボエ協奏曲版を収録した意味はよく解りませんが、聞いた感じではオーボエのメロディラインの方が優しい息づかいに聴こえ好ましくも感じます。もちろん、ここで演奏しているヘルムート・フッケはバロック・オーボエで演奏しています。
鄙びた音色が何ともいえない郷愁を誘います。

 

 さて、今はドイツ・ハルモニアムンディはソニーBMGの翼下に入っていますからこのEMI盤は珍品です。コレギウム・アウレウムの演奏を何枚かまとめて聴き直してみて,やはり波長が合うというか,その真摯な演奏に強く惹かれます。彼らはバロックからベートーヴェンの初期の作品まで残していますが、60年代は古楽器で録音されたこと自体が画期的だったわけですから,彼らのパイロット的な意気込みと精彩に満ちた演奏には一聴の価値があります。機会があったらまた取り上げてみたいと思います。