東京幻想曲 | geezenstacの森

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東京幻想曲

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 溝口肇、彼の名前を初めて知ったのは80年代中頃、まだVHSビデオデッキがベータと激しく覇権争いをしていた頃深夜のフジテレビの番組でビデオで録画して下さいと言わんばかりの「録画チャンネル4.5」という番組がありました。このテーマに関しては既にこちらで一回紹介していますが、ビデオテープを整理していたら、そのものが出てきましたので再度取り上げます。残念ながら当時は東京、名古屋、大阪でしか放送されませんでした。
 
 これはその東京幻想曲です。1986年の東京の今を映像で記録したものです。その4.5時間の映像のバックに使われていたのが溝口肇の音楽でした。そのチェロの魅力を存分に引き出し、歌い、泣き、喜び、慈しむ音楽の響きは新鮮に響き、暖かい音色とリズムが映像とマッチしていて衝撃を受けたものです。とくに、ストリングスを絡めたアレンジは秀逸で聴き応えがあります。

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 東京を切り取った映像は、今見ても新鮮で、江東区の下町風景、湾岸道路、お茶の水、代官山、東京ステーションホテル205号室、山手線、夢の島、新橋地下無人ホーム、アークヒルズ、15号埋立地、木材埠頭、LA BRA SPRING & SUMMER COLLECTION '87 東京モノレール、有栖川公園、堀川公園、西麻布、築地等の風景を映し出しています。

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 映像とともにタイトル曲の「東京幻想」で始まります。ただし、この番組が放送された時点ではまだレコードは発表されていませんでした。この曲はサードアルバム「A PRETTY DANCE」に収録されていますが、現在は廃盤のようです。その中でも、映像とのマッチングでは浮世絵摺師「長尾直太郎」の制作風景のバックに流れた「窓の下の南極」が丁度浮世絵ブームもあって、その映像の新鮮さとともに強烈に印象に残りました。版画は手前の2箇所の隅を合わせるだけで手際よく刷り込んでいきます。その作業を色の数だけ繰り返すのですから大変な作業です。正確に言えば2枚と同じものは出来ていない事になります。

 LA BRA SPRING & SUMMER COLLECTION '87も興味深い映像でした。20年前のファッションを垣間見ることができました。普通のファッションショー番組ではないので舞台裏までテレビが潜入し、モデルの素顔というものまで映し出していました。

 他にはVHS各社のコマーシャルは1社一枠だけで、懐かしい映像です。三菱はマドンナを使ったCM、ナショナルは中村雅俊が出演していました。番組の途中にはコラムもあり、冒頭は泉麻人が登場しこの番組をPRしています。
 
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 そこに収められた音楽は、32曲で、オリジナル曲の多くはレコード化されていないように思います。以下使用された曲です。

テーマ曲「東京幻想曲86」
「東京幻想のための12のオリジナル曲」
 口をきくカポック
 火星の引き潮
 Splicing Time
 海に臨む庭
 春の夜の夢
 マイル・ストーン
 夜の雨の木
 チャイニーズ・クリスマス
 ムーン・デザート
 大きな蟻と小さな像のダンス
 ナーンダ・ナンダ?
 南国大陸横断鉄道
 
ファーストアルバム「ハーフインチ・デザート」
1 パラレル・ワールド
2 キリンと月
3 森の中のキング・コング
4 海のおくりもの
5 眠るミルク・ブッシュ
6 露野
7 西からの夢
8 サバンナ・ワルツ
9 オリエンタル・パズル
10 パラソルの下で

セカンドアルバム「水の中のオアシス」
1 図書館音楽
2 摩天楼と恐竜
3 パノラマ
4 Peace
5 笑う島
6 夏時間
7 Bruce
8 窓の下の南極
9 ゲルニカ
10 帰水空間

制作協力 スタジオRoom Y2、スタジオC.M.S.
音楽プロデューサー 竹内碩彦
企画 儀賀保秀
撮影 知久秀正、山崎裕、SEIBIN、橋添憲司、関口健行、中村健、鈴木啓太郎
プロデューサー 寺島高幸、岩谷昇市郎

協力 牧阿佐美バレエ団、森ビル、東京ステーションホテル、江東区 他