ドラティのグランド・キャニオン | geezenstacの森

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ドラティの
グランド・キャニオン

1. グローフェ/組曲「大峡谷」 *
2. コープランド/エル・サロン・メヒコ
3.コープランド/市民のためのファンファーレ
4.コープランド/バレエ「ロデオ」からの4つのエピソード

 

指揮/アンタル・ドラティ
演奏/デトロイト交響楽団
録音/1982/10*
   1981/05、ユナイテッド・アーティスツ・オーディトリウム、デトロイト
P:ポール・マイヤーズ*
 ジェームズ・マリンソン
E:ジョン・ダンカーリー*
 ジェイムズ・ロック

 

日DECCA F00L23084

 

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 クローフェの代表作といえばこの「グランド・キャニオン」で、さすがにお国物のオーケストラの演奏が大半を占める曲です。その例に漏れず、このドラティもデトロイト交響楽団を指揮しています。嵐のシーンでウィンドマシーンを使うことでも有名でこれが為にオーケストラの演奏会でもあまり取り上げられないようです。ただ、組曲ということでこの中の「山道を行く」辺りは単独で取り上げられることも少なくないようです。
 この「グランド・キャニオン」はグローフェの自作自演盤もありました。ロチェスター管弦楽団を指揮した演奏でエヴェレスト原盤でしたがなぜかCDは以前フィリップスから発売されたことがあります。
 さて、このドラティの演奏はデトロイト響の持てる力を100%引き出した名演です。ドラティは録音当時このデトロイト響の音楽監督をしていました。オーケストラビルダーとしての本領を発揮した演奏で、色彩感溢れる演奏を展開しています。ドラティ/デトロイト響ではストラヴィンスキーの春の祭典、火の鳥やバルトークの弦チェレ等の名盤がありますがこれも、そのラインに加えてもいい一枚です。

 

 第1曲の「日ので」から緻密な演奏で小鳥のさえずりから渓谷の谷間から登る太陽の様子を余すところなく描写しています。ダイナミックレンジも広く、ホールの響きもいいので聴き映えがします。そして、アメリカのオケならではのジャズ的フィーリングの演奏には秀でたものがありアフタービートの響きは味があります。「山道を行く」も軽妙な語り口でユーモラスなロバの旋律やジャジーな表現を聴かせてくれます。圧巻は何といっても終曲の「豪雨」です。ここぞとばかりにオーケストラが雄叫びをあげすざましいパワーで鳴り響きます。しかし、ドラティのコントロールがしっかりしているので全体のバランスは見事に録れています。ウィンドマシンの音も出しゃばってはいませんがしっかり鳴っています。デトロイト響もビック・ファイブに勝るとも劣らないアンサンブルでドラティの棒にしっかり応えています。

 

 

 

 

 

 

 2曲目からはコープランドの作品です。「エル・サロン・メヒコ」はメキシコのカラフルな色彩が目の前に広がる艶やかな演奏です。続く「市民のためのファンファーレ」は管楽器だけで演奏される佳曲です。ロス五輪の時、ジョン・ウィリアムスがオリンピックマーチを書きましたが、その出だしを聴いた時この曲のパクリだなと感じましたが、その原曲みたいなものです。曲はティンパニの打込みで開始されます。僅か3分弱の曲ですがファンファーレの雰囲気はよく出ているし、オケも楽しんで演奏している雰囲気が伝わってきます。こういう、ファンファーレ的な曲はヤナーチェクの「シンフォニエッタ」が一番好きですが、このコープランドも捨てたものではありません。

 

 

 

 

 最後はバレエ「ロデオ」からの音楽です。ドラティは以前ミネアポリス交響楽団ともこの曲を録音していますが、それも名録音でした。この録音も多分にそれを意識しての録音ですが、さすが、デッカのスタッフは凌駕する名録音を残してくれました。むかし、ロバート・アーヴィングの指揮したレコードを持っていましたがEMIということで録音が今一でせっかくの曲を楽しめなかった記憶があったのですが、この演奏はそんな思い出を吹き飛ばしてくれます。バレエものにも強いドラティの快演です。

 

 

 下は最近の国内盤のジャケットです。

 

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