小澤のウィーンフィル初レコーディング
「新世界から」
曲目1.交響曲 第9番 ホ短調 作品95《新世界から》
指揮:小澤征爾
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1991/05/22-26,
ムジーク・フェラインザール,ウィーン,ライブ
P: ヴィルヘルム・ヘルヴェク
E: ウィレム・ヴァン・レーウウェン
E: ウィレム・ヴァン・レーウウェン
2.スラヴ舞曲集
第1番 ハ長調(作品46-1)
第10番 ホ短調(作品72-2)
第3番 変イ長調(作品46-3)
第16番 変イ長調(作品72-8)
第8番 ト短調(作品46-8)
第1番 ハ長調(作品46-1)
第10番 ホ短調(作品72-2)
第3番 変イ長調(作品46-3)
第16番 変イ長調(作品72-8)
第8番 ト短調(作品46-8)
指揮:アンドレ・プレヴィン
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1993/03/01,02,08,
ムジーク・フェラインザール,ウィーンウィーン
P: ヴィルヘルム・ヘルヴェク
E: オンノ・ショルヴェ,ニコ・デ・コーニング
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1993/03/01,02,08,
ムジーク・フェラインザール,ウィーンウィーン
P: ヴィルヘルム・ヘルヴェク
E: オンノ・ショルヴェ,ニコ・デ・コーニング
日PHILIPS VPO-0003

いよいよ今年も「サイトウキネン・フェスティバル」が始まりましたね。昨年末から休養していた小沢征爾の本格的な始動ともいえます。まあ、その前に7月はオペラプロジェクトの一環でマーラーの交響曲第2番「復活」を振ってはいるのですが。今年の公園はオペラというかメンデルスゾーンのオラトリオの「エリア」とコンサートBプログラムを小沢自身が指揮するのですがだんだん公演頻度が下がっているのではないでしょうか。今年は小沢以外ではアラン・ギルバートとオーボエの演奏活動に終止符を打った宮本文昭が指揮台に立つのも興味深い所です。
さて、ハョ右派小沢のウィーンフィル・デビュー盤となったドヴォルザークの新世界です。発売された時はけっこう話題になった録音です。何しろ。天下のウィーンフィルを振ってのレコーディング日本人指揮者第1号なんですから。
でも、ウィーンフィルを振ってデビューした日本人指揮者は「岩城宏之」でした。そして。レコーディンク・デビューもするはずでした。彼のウィーンフィル・デビューは1977年でハイティンクの代役でウィーフィルの定期を振りました。曲目はベルリオーズの「幻想交響曲」で評判が良かったので録音もということだったのですが、無理を言ってスケジュールを空けていたので残念ながら断ったという経緯があります。かくして岩城・ウィーンフィルのレコーディングは幻となってしまいました。
そして。時は流れて1991年、ライブという形で小沢・ウィーンフィルのディスクが登場しました。でも、今では忘れられ廃盤になっています。
小沢征爾には72年のサンフランシスコ交響楽団との録音もありますが、こちらは91年のライブ録音です。口あたりのいいウィーン風の古典演奏に徹しています。フィリップスの録音とあってベルリンフィルほど低音がブンブン唸っていない点も聴きやすく、純粋に演奏そのものを鑑賞させてくれる演奏といえるでしょう。ちなみに小沢の解釈は正統派そのもので、奇をてらった所はありません。強いていうなら、第1楽章の序奏の後のティンパニの打ち込みが強烈です。後はウィンナホルンに象徴される柔らかなウィーンフィルサウンドに乗ってひたすら優雅な「新世界」が堪能出来ます。
この録音はライブということで小沢の熱のこもった演奏が聴かれます。ヘッドフォンで聴くとその息づかいが生々しく、髪を振り乱して汗を飛ばしながら、時々舌を出す仕草が目に浮かびます。
このCDは「ウィーンフィル/世界の名曲」としてアスキーから発売されたもので、併録はプレヴィンの指揮によるスラヴ舞曲集が収録されています。意外にも、ウィーンフィルがドヴォルザークのスラヴ舞曲の全曲を録音したのは、このプレヴィンが最初だそうです。ですが、音は素晴らしく演奏も豪華なのですが、ケルテス、イスラエルフィルのデッカの録音がベストだと思っているのでテンポがいまいちゆっくりめすぎて乗れません。まあ、これだけ聴いていれば不満は無いのですが・・・・。