録音 1917/10,11、パリ
ADES 13.224-2 原盤 MUSIDISC

古くはコンサート・ホールから発売されていた名盤で、日本コロムビアからも一時発売されていました。小生はレコードでは米ノンサッチから発売されいたものを所有していましたが、今回整理したらCDもいつの間にか所有していました。こちらは同じフランス盤ですが1988年に発売されたもののようです。
6月12日に紹介した小沢征爾とフランス国立管弦楽団による録音が、この録音に対する小沢のオマージュと書きましたが、今回改めてこの録音を聴いてそれを再確認しました。繊細さでは小沢はミュンシュを超えたかなと思わせます。しかし、情熱はやはりミュンシュが格が上でした。
6月12日に紹介した小沢征爾とフランス国立管弦楽団による録音が、この録音に対する小沢のオマージュと書きましたが、今回改めてこの録音を聴いてそれを再確認しました。繊細さでは小沢はミュンシュを超えたかなと思わせます。しかし、情熱はやはりミュンシュが格が上でした。
ミュンシュのこの録音は1967年度のACCディスク大賞を受賞しています。ボストン交響楽団を辞任して自由気侭な客演生活を謳歌していた時期の録音で、バリ管弦楽団の常任に鳴る直前の録音となります。ということは最晩年の録音ということです。
交響曲ハ長調でのミュンシュは生気にあふれています。第1楽章から快速のテンポでぐいぐい曲を進めていきます。ミュンシュは元々リハーサルの好きな指揮者でなくライブ感を大切にしているので、ここでも弦がそんなに揃っていませんがおかまいなく突き進んでいきます。その音楽は雄大で躍動感に溢れています。
第2楽章はオーボエのソロも見事ですが全体は決して交響曲の枠を外れておらず朗々と流れていきます。中間部ではミュンシュ渾身のアダージョで弦楽合奏の醍醐味を満喫できます。
第3楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェはさわやかな一服の清涼剤のような軽やかなタッチで表現され第4楽章との差別化を図っているようです。この録音は全体にデットな音の響きで残響が多くないので、ここでの弦の響きは非常にクリアでメロディラインが美しく響きます。
第4楽章もアレグロ・ヴィヴァーチェの快速で締めくくられます。録音はいささか古さが耳につきますが音自体は非常に馬力のある音でミュンシュの情熱を充分捉えています。スマートさとか洗練さとかは無縁の演奏ですが、この名演を聴いた後では小沢の演奏が小さく聴こえてしまいます。
演奏時間比較
交響曲ハ長調 | シャルル・ミュンシュ | 小沢征爾 |
第1楽章 | 7:09 | 10:21 |
第2楽章 | 9:41 | 10:09 |
第3楽章 | 4:00 | 5:56 |
第4楽章 | 6:41 | 8:57 |
小組曲「子供の遊び」 | ||
行進曲 | 2:12 | 2:09 |
子守唄 | 2:23 | 2:19 |
即興曲 | 1:04 | 1:02 |
二重奏 | 2:52 | 3:23 |
ギャロップ | 1:47 | 1:45 |
序曲「祖国」 | 12:15 | 13:00 |
2枚のディスクの演奏時間を比較してみましたが「子供の遊び」は全体に小沢の方が早いのですが聴感上はミュンシュの方が早く感じます。これはリズムに躍動感があるからなんでしょうか。録音のバランスの問題か音場はそんなに広くありませんが音に馬力がありフオルテで爆発します。ここでも、ヘッドフォンで聴くとハムノイズが盛大に聴こえてきます。でも、録音レベルが高いのでマスキング効果で隠れてしまいます。スピーカーでは全く問題がありません。
序曲「祖国」は録音のセッティングが違うのか音場が右に偏っています。やや、補正をした方が聴きやすいようです。歯切れのいい行進曲、それに続く金管の咆哮、ヴィオラとチェロによる葬送行進曲のような中間部、クライマックスの壮大な勝利の賛歌へと曲はめまぐるしく変化しますが、ミュンシュは語り口のうまさで退屈なこの曲を大編成のオケをコントロールしてうまく聴かせます。
小沢の記事は下記を参照して下さい。