アディエマスの音楽 06/02 | geezenstacの森

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「アディエマス」「SONG OF SANCTUARY/聖なる海の歌声」


英VIRGIN  CDVE 925 オランダブレス盤

曲目
1 Adiemus (聖なる海の歌声) (04:01)
2 Tintinnabulum (希望の鐘)  (10:57)
3 Cantus Inaequalis (誕生) (03:15)
4 Cantus Insolitus (孤独) (05:37)
5 In Caelum Fero (天空へ) (07:46)
6 Cantus Iteratus (輪唱歌) (06:40)
7 Amate Adea (鎮魂歌) (05:20)
8 Kayama (大地) (07:56)
9 Hymn (静寂) (02:37)

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 アディエマスってそもそもは曲の名前だったんですね。それも元々デルタ航空のCM曲として作られたものに曲を追加して1つのアルバムに再構成したものだそうです。それにしても、このCD国内盤とはジャケットが異なりずいぶんとイメージが違います。タイトルも原題を直訳すると「聖域の歌」であるのに邦題では全く違う意味です。なんでこうなるのでしょうかね。

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 クラシックをベースにケルトとエスニックを組み合わせた独特のサウンドが目を引き、ファーストアルバムにしてすでに己のスタイルを確立している点が凄いと思います。地球規模的なサウンドを目指したと言うだけあってコーラスはアディエマス語なる意味不明の言葉で、エスニックミュージックを思わせる大地や空の広がり大きさを彷彿とさせる伸びやかなものとなっています。言葉が無くとも、思いや祈りを伝える事は可能だという事を示しています。

 一昔前、コーラス主体でオーケストラを伴った「ダニエル・センタクルツ・アンサンブル」というイタリアのグループがいました。「哀しみのソレアード」というヒット曲がありましたがそれがコーラスが入っていてもハーモニーだけで歌詞が無かったと記憶しています。この時、こういうスタイルが確立されていれば線香花火で終わらなかったと今になって思えます。

 1曲目のタイトル曲はCM曲として作られたAdiemusの原点とも言うべき曲。曲中の様々な種類の声が実は1人の女性(ミリアム・ストックリー)のものだという事には本当に驚かされます。思えばこの曲で大ブレークしたんですね。このアルバム、オーケストラはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団が華麗なサウンドを披露しています。もちろん、オーケストラ編曲はカール・ジェンキンス自身。そのサウンドの特徴はパーカッションにもあります。世界各地の打楽器を駆使してサウンドの方向性をワールド・ワスイドにしています。

 2曲目は教会の鐘の音と共に始まる全体的に明るい感じの曲です。途中から曲調はアフリカの大地の香りのするフレーズで盛り上がって行きます。3曲目はグレゴリオ聖歌にも通ずる響きで始まり、弦のピチカートの調べの上を澄んだ女性のコーラスが清らかに歌い上げる佳曲です。4曲目はミリアムの低音域が魅力の調べで荘厳なミサ曲の様相を呈しています。5曲目は一転してサスペンス映画のバックにでも使えそうなシリアスな雰囲気を持った曲調で、アップテンポで疾走感があります。オーケストラアレンジも秀越で畳み掛ける弦のリズムとパーカッションのコントラストが見事です。

 6曲目は刻み付ける弦と控えめに打楽器のリズムの上を、女声コーラスが静かなメロディとアフロビートのメロディを交互に輪唱し盛り上がります。終盤のコントラバスの低弦の刻む音は印象的です。対照的に7曲目は静かで悲しげな声が特徴の曲でまさに「レクイエム」の響きとなっています。kayamaは曲中の主要フレーズをそのままタイトルにした曲で意味不明のアディエマス語が巧みに綴られています。

 ラストを飾るのはエンヤのサウンドにも通じる優しい女声のイントロから始まる曲調で結構CMのバックに使われた曲です。なを、日本盤には最後にボーナストラックとしてAdiemus (聖なる海の歌声)のフルバージョンが収録されています。でも、オリジナルはイギリス盤ですから・・・・

 カール・ジェンキンスのサウンドはこのアルバムではオーケストラを使いながらも金管は使っていません。一部の木管楽器と弦楽合奏とパーカッションによってそのサウンドを作り上げています。コーラスとこのサウンドが基本になってそのベースの上に、教会音楽やケルティックサウンド、アフリカンビートなどをコンフューズしたクロスオーバーサウンドと言えなくもないんですが、世の中はヒーリングミュージックとして分類しているんですね。小生から見ると、どう見てもムードミュージックなんですが、ま、今はこういう言い方は死語になっているようですが・・・

 検索をしていたら「カール・ジェンキンス」のオフィシャル・ブログがありました。


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今年の3月にも日本公演があったようです。