ドヴォルザーク交響曲第8番
ブルーノ・ワルター コロムビア交響楽団
曲目/
1.ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調OP.88
2.シューベルト/交響曲第5番
指揮/ブルーノ・ワルター
演奏コロムビア交響楽団
P:ジョージ・マックルーア
SONY SONC10242

このディスクは。小生とワルターの出会いの一枚です。それまでどちらかと言うと堅物のイメージの合ったワルターですが、このレコードでそういう先入観が払拭されました。ワルターでドヴォルザークというと「新世界」が筆頭に上げられますが、個人的にはこの8番の方が好きですし、この曲の代表盤と言っても相応しい演奏です。もう1枚ワルターといえば、ベートーヴェンの田園が名盤としてあげられます。このドヴォルザークの8番は俗称で「イギリス」と呼ばれる事がありますが、ドヴォルザークの「田園」といってもいいような内容で、そういう意味でもワルターの体質に合った曲なのでは無いでしょうか。
ワルターは生涯に商業録音としてはドヴォルザークの交響曲はこの8番と9番しか録音していません。
第1楽章のチェロによるコラール風の出だしから聴かせてくれます。西側のコロンビア交響楽団は編成はあまり大きくありませんが、バランスの採れた響きで良く鳴っています。
第2楽章は非常に牧歌的の響きのする楽章で、のどかな田園風景が目の前に広がります。ワルターもソロ楽器をさりげなく目立たせ微笑ましい雰囲気を作り出しています。ダイナミックな音のコントラストも見事でティンパニの響きがいい味を出しています。この録音はハリウッドのリージョンホールでなされていますがいい録音です。プロデューサーは多分ジョン・マックルーアだと思われますが表記が無いので確信は持てません。
第3楽章のアレグレットは全体に遅めのテンポをとるワルターとしては比較的早く(とは言っても6分弱ですが)、情緒タッブリにメロディラインを浮かび上がらせての演奏です。
この演奏の白眉は何といっても第4楽章です。冒頭のトランペットのファンハーレはややゆっくり目に、しかし確信を持って農民たちの収穫の喜びを表しているかのようです。それに続くチェロの奏する主題による変奏が一年の苦労を振り返るように地に着いたテンポで描かれます。圧巻はその変奏途中に現れるティンパニの強烈なうち込みで、弦のスタッカート気味のリズムも独特のフレージングで聴かせてくれます。このリズムによる演奏は他の指揮者にはまねの出来ないワルターの独壇場です。フルートのソロも巧く遅いテンポの中流麗に吹き鳴らしています。この曲を聴いていると至福の時を共有している喜びを感じることが出来ます。
このレコードのジャケットはどうも日本独自のもので、組み合わせは変わっても国内盤ではたびたびこの曲のジャケットとして登場します。ちなみに、このレコードはシューベルトの交響曲第5番とカップリングされています。
下はレコードです。