小椋佳「大全集」 今日の一枚 04/25 | geezenstacの森

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小椋佳「大全集」

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キティ HOOK20091~100

 フォークブームであった1970年代、メジャーな井上陽水、吉田拓郎などを尻目にコマーシャルベースに値のらないアルバムが静かに売れていました。それが小椋佳のデビューアルバム「青春〜砂漠の少年〜」でした。発売は1971年1月15日、このアルバムはフォークアルバムでありながら別チャネルではデモ・レコードとしても流通していました。

 今はもう株の世界でもボロ株でしかない「サンスイ」というオーディオ・メーカーが販促用に頒布していたものでQSマトリックス4チャンネルのデモレコードという扱いでした。このレコード、ついに手に入れることはできませんでしたがオーディオショップへ出かけてはよく聴いていました。

 この人、巡り会いがいいんでしょうね。当時のポリドールのプロデューサー多賀英典さんと出会い、こういうアルバムが完成しているのですから。ここには初期の名作が目白押しです。「しおさいの詩」、「六月の雨」。砂漠の少年」「雨だれのうた」そして「さらば青春」。そう言えば、今年の2月4日夜、NHKBSで放送された「鉄矢・佐田・小椋の三人寄れば!」という番組の中で、小椋佳はこの「さらば青春」を歌っていましたね。ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。ちよっと異色の組み合わせと思われた方もおいででしょうが、小生にとっては3任とも青春時代を思い出させるフォークの代表みたいな気がして楽しんで見ました。

 話が横にそれましたがその後はこの路線で次々とアルバムが作成されていきます。楽曲の提供でも次々とヒット曲が出ました。中村雅俊の「ふれあい」「時」「俺たちの旅」から始まって「シクラメンのかほり(布施明)」「愛しき日々(堀内孝雄)」「泣かせて(研ナオコ)」「 流氷の街(渡哲也)白い一日(井上陽水)」「 ILOVEYOU(テレサ・テン) 」「 夢芝居(梅沢冨美男)」「愛燦燦(美空ひばり)」などなど枚挙にいとまがありません。

 本名「神田紘爾」、当時の本業は「銀行マン」でした、つまり、音楽は日曜作家みたいなものでしたが。決してテレビには出ない、コンサートも行わない異色さでした。そんな彼でもNHKに口説かれて1975年に一度だけコンサートを、また銀行の支店長時代に浜松でライブをしていました。この時もNHKがコンサートを放送していましたので映像が残っています。他方、子供のためのミュージカルも作成していたりと結構幅広い活動をしていました。

 そんな彼の1987年までの作品がCD10枚に集大成されているのがこのアルバムです。青春時代の宝のようなアルバムです。結構発売までには苦労があったようで実際の発売時には収録が予定されていた「海に還る」が「夕焼けの三角公園」に差し替えられています。また、初回特典として「おおた慶文」のイラストに小椋佳の自筆のの一文が添えられています。この挿絵で「おおた慶文」を知りました。(この件については後日)
 全182曲収められたこのアルバム、彼のすべてのレコードを持っていた訳ではないのでこの全集で初めて出会った曲もかずかずあります。そんな中の一曲「古城の月」なんかは三橋美智也の「古城」を連想してしみじみと聞き惚れました。

 フォークから出発して演歌までこなす力量と最近は薩摩琵琶の使い手としての活躍もされています。ただ、2001年には胃がんの摘出手術をされたとかで心配しましたが、まだまだお元気に活動していただきたいものです。