今日の一枚 04/16 「音楽畑」/服部克久 | geezenstacの森

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音楽畑1〜20/服部克久ー世界に誇る日本のイージーリスニング


ワーナー・ミュージック

服部克久氏のライフワークとも言うべき作品です。「音楽畑」はそれこそ世界中をテーマにオーケストラサウンドである時はピアノ、ある時はサックスをフューチャーし、またコーラスも交えながら音楽の楽しさを教えてくれています。

 このシリーズ全部で20作まであり世界の都市のイメージソングから「クジラのボレロ」などの動物をテーマにしたものまで多種多彩で一般のポップスオーケストラが既存のヒット曲のアレンジでお茶を濁しているのとは訳が違う大人のイージーリスニングサウンドに仕上がっています。

 氏は第一作でこのシリーズの寄せる音楽とそれを育む畑を野菜に例えて次のように表現しています。

「“音楽の自然食”と急にいわれても、ハタと合点いただける方は、ほとんどいないだろう。化学肥料を使用せずに、ていねいに手をかけて作られる穀物や野菜が“自然食品”とよばれているように、作曲上、自然な音の流れを大事にし、アレンジ上、シンセサイザー等の電機楽器をもとりこんで、アーティスティックな音作りをした音楽を、“音楽の自然食”とよばせて頂きたい。この音楽を耳にすると、心は大きく開き、神経は弛緩する。ストリングスのアンサンブルは心の窓を開き、流れるメロディーは想いを遠い地平線の彼方にいざなう。ー中略ー
人間が、現在のポップ・ミュージックのメイン・ストリームの華美に流れがちな音楽に対して出した、一つの回答が“音楽の自然食”なのだ。」

 一度は耳にしたことのあると思う代表作とも呼べる、TBS系の「新世界紀行」のテーマとして作曲された「自由の大地」はこのシリーズの第6作に収録されています。

 また、氏は長らくフジ系列のミュージックフェアでオーケストラの編曲と指揮を担当していたのでアレンジャーとしても優れているのですが、このシリーズでは氏のオリジナル作品ばかりが収められていて氏の本当の姿を知ることができて貴重です。

 あまり、商業ベースに乗る作品ではなくイージーリスニングとしても王道なので一部のファンにしか受けないようですが一度この世界に足を踏み入れたら、それはそれはファンタジーと郷愁の世界に心が和むこと請け合いです。

 小生はどちら家というとポール・モーリアとかフランク・プウルセル、レイモン・ルフェーブルといった往年のイージーリスニングサウンドで育ってきた世代ですが、どちらかというと最近はマントヴァーニのようなあまりポップなものでないサウンドの方が好きでした。

  そして、そのような自然に近いサウンドのメインストリートにこの服部克久氏のオーケストラサウンドがあるのです。日本にも世界に誇れるイージーリスニングサウンドがあることを知ってもらいたいですね。

 蛇足ですが最後の20作だけ最後の1曲を息子の隆之氏が書いています。