米国の少年(14)が激辛チップスを食べた後、死亡したーというニュースが流れていた。

 少し前まで、日本でも激辛ブームがあり、「激辛」とついたラーメンやカレー、スナック菓子やファストフードなどが流行した。

 その元となるのは唐辛子。中でもブート・ジョロキア―やキャロライナリーパー、トリニード・スコーピオンやハバネロは世界でも最強といわれている。

 唐辛子の原産は熱帯アメリカ。コロンブスの発見により、スペインにもたらさせ、アジア大陸に広まった、とされる。日本へはポルトガル人が持ち込み、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際、韓国で伝来した、という記録もある。

 唐辛子は順応性が強く、原産地と異なる土地で長い間、栽培すると形や辛さが変化し、独特の風味になる。国内では紫とうがらし(奈良)、黄太こしょう(長野)、山科とうがらし(京都)など17の在来種があり、ジィジの住むまちには「よのみ」と呼ばれる小粒のトウガラシが存在する。

 

 幻の唐辛子と呼ばれる「よのみ」は発芽が難しく市北部のとある集落しか、生育しない。「よのみ」の存在を知った男性は「地域の財産を守り、全国に広めよう」とその生態を研究。2年の試験栽培により、育成のノウハウを確立した。

 かねてから、男性と親交があったジィジは昨日、よのみ畑を見学。畑にはパチンコ玉ほどの赤や緑のよのみが鈴なりに実っていた。「辛いのは中央の部分。皮はそんなに辛くない」といわれ、実食すると、青(緑)の実は後からジワリと強烈な辛さが口の中に広がる。赤い実は辛さの中に甘味があり、さわやかな風味、といっても激辛だった。いずれも辛さは後を引かず、料理に適している。今のところ、都会の高級料理店にのみ、出荷しているが、プロの職人も太鼓判を押すほどのうまさだという。

 
 

 

 

 この男性、実は移住者で「地元に恩返しを」という思いでここまできた。他種との交配による雑種化には十分、気をつけており、「もし、盗まれたとしても、種の特性を知っていなければ、他では育たないだろう」と話している。

 今年、大量生産に成功しており、今後、販路を全国に拡大する計画。

 小さな唐辛子がもたらしたロマンス。

 夢は大きい。