座右の銘と聞かれたら1日1麺ですと即答します。何をふざけた事をとお思いでしょうが、一日に一回は麺類を食べ、細く長くしなやかに生きようといましめも込めた道標のような格言です。


 その日も社食で博多ラーメンを食べるつもりでした。お昼ご飯のチャイムが鳴り食堂の前に立つと、美味しいよヒレカツカレーはいかが、と特別食をアピールするポスターがありました。今日はお客様感謝デーでーすと付け加えられ。


 ヒレカツ、カレーの言葉で先ほどのラーメンは一気に吹っ飛び、頭の中はサクサクカリカリジュウと美味そうなイメージがもくもくと湧いてきました。そうなると止められません。食べたーいと誘惑が覆い被さってきました。これを悪魔の囁きと呼ぶのでしょうか。


 負けてしまいました、囁きに。でもいいのだこんな時もあるんだ。食べたい心を解放し体に安らぎを与えてもいいじぁないか、人間だものと相田さん化しました。かくして座右の銘はかたわらにおいて、いっぱいになったお腹をすりすりしながらあーうまかったと唸ったのでした。