ＬＧＢＴ成人式　１９日に大阪北区で開催－同性愛など性的少数者の人たちが集う「関西ＬＧＢＴ成人式」

---以下、朝日新聞より

ＬＧＢＴ成人式　１９日に大阪・北区で開催
http://www.asahi.com/articles/ASG1655H3G16PTIL016.html
2014年1月12日03時00分

　自信を持って生きたい――。同性愛など性的少数者の人たちが集う「関西ＬＧＢＴ成人式」が１９日、大阪市で開かれる。それぞれの生き方を祝い合い、一歩踏み出せる日にしたいと、性的少数者たちが企画した。

　ＬＧＢＴは、レズビアン（Ｌ）、ゲイ（Ｇ）、バイセクシャル（Ｂ、両性愛者）、トランスジェンダー（Ｔ、心と体の性の不一致）の頭文字。ＬＧＢＴ成人式では新成人に限らず、何歳でも参加できる。格好は自由だ。

　成人式では、振り袖や袴（はかま）など男女の区別がはっきりする服装で参加する人が多く、そうしたことになじめなかったり、地元の旧友に知られたくなかったりして、自治体主催の成人式には行きづらいと感じている性的少数者は少なくない。

　東京都世田谷区では大学生が中心となり、一昨年からＬＧＢＴ成人式を開いている。これに注目した関西の性的少数者らが、ＬＧＢＴ支援宣言をした大阪市淀川区に提案。全国からＬＧＢＴを招くとして、昨年１０月から区主催での開催を準備してきた。

　だが、昨年１１月、「市民の理解を得るにはもう少し時間が必要」（榊正文区長）として区主催での開催を断念。代わりに大学生らが実行委員会をつくり主催することになった。区からは有志の職員がボランティアとして参加し手伝う。

　開催日を１３日ではなく１９日にしたのは、地元の成人式を一つの節目にしたい人もおり、両方に参加できるようするため。実行委員の一人でレズビアンの瀬口司さん（２８）は「若いうちにカミングアウトして、自分らしく社会で生きる姿を周りに見せてほしい」と話す。

　ＬＧＢＴ成人式は１９日午後１時、大阪市北区中崎西１丁目の中崎町ホール。当事者３人による「成人の誓い」、ダンスや歌、ゲイの弁護士カップルの講演、ＬＧＢＴに関するクイズ大会などがある。参加無料。問い合わせは実行委（ｌｇｂｔ．ｓｅｉｊｉｎｓｉｋｉ＠ｇｍａｉｌ．ｃｏｍ）。

　■誓いに込める思い　大学生の中道基樹さん

　新成人代表として「成人の誓い」を読み上げる近畿大建築学部２年の中道基樹さん（２０）は昨年９月、猛反対してきた母を２年かけて説得し、体を女性から男性に変えるホルモン治療を始めた。来春、就職活動に入るころには、性転換手術を終えたいという。

　サッカーや野球が好きで、男の子用の服を着る小学生だった。中学の制服採寸でスカートをはかされ、心にひっかかった。中学３年間は式典の日だけスカートをはき、あとは体操服のズボンで通した。

　「社会に出たら勝手な行動は許されない。我慢できるところは我慢しよう」。高校はそれまでの「過程」と割り切り、毎日スカートをはき、嫌な水着でプールでの授業も受けた。放課後は寄り道せず帰宅し、真っ先に制服を脱いで夕食まで眠る。誰にも本当の気持ちを言えず、寝ているときが一番楽だった。

　大学に合格した高校３年の冬、母に打ち明けた。昨夏には父、高校１年の妹と小学６年の弟にも伝えた。家族全員に告げたのを機に、新しい名前を考えた。

　「外見が変わって批判を受けたとしても中身の自分をしっかり持っていたい」と「基」を、弟から一字もらって「樹」をつけた。

　大学の友達には、最初からありのままの自分で接している。同じ性同一性障害に悩む仲間にも出会えた。

　でも、偏見に出くわす場面はまだまだある。結婚式場のアルバイトで「女の制服を着て。着ないなら辞めて」と言われ、辞めた。

　「これから先も、大きな壁が立ちはだかることが何度もあると思う。でも、何度も乗り越えていこうと思う」。誓いには、そんな思いを込めるつもりだ。（花房吾早子）