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黒田日限

2013年の『異次元の金融政策』が始まって四年が経過し任期は来年の四月までである。異次元の金融政策とはなんだったのか? 政策の目的はデフレ脱却であるが脱却できるのか? を日銀の歴史と合わせて考察する。

 

2013年に黒田氏が日銀に着任するまでの金融政策と比較する。1990年後半からデフレ経済が始まり物価も給与も上がらないもしくは下がる状態が始まり二十年が経とうとしている。黒田氏の前の白川氏の時も金融緩和を実施した。市場から日本国債を購入してマネーを市場に供給する政策である。黒田氏が着任して『異次元』と言われるのはマネーの量と質である。年間60兆円以上の供給を前年物価上昇率が2パーセントになるまで実施する。質として国債だけでなくReit(不動産投資)、ETF(上場株式投資)を合わせて購入するとした。同様の政策は米国のFRBや欧州のECBでも実施されているが量として米国、欧州はGDP比20−25パーセントに対して日本は6割に達する。黒田日銀前の政策と量と質の規模が大きく違う以外にインフレターゲットつまり物価2パーセントを目標に置いている点の政策が異なる。

 

過去の日銀政策は政治からの独立性をスタンスにおきインフレターゲートは受け入れることはなかった。日銀のミッションは物価の安定と通貨価値の維持である。デフレまでの日銀政策は公定歩合や政策金利の上げ下げでマネーコントロールをしてきた。不景気になると政治は景気をよくさせるために金利を下げさせる圧力を日銀にかける。物価が2パーセントになるまで金融緩和をすると日銀に約束させることは政治と金融の政策の一体化となりバブルの発生する原因になりミッションを果たせなくなった。政治と金融の関係は戦争下の資金調達で戦争債の引き受けをすることや金融恐慌で政治が金融政策をした結果として、スーパーインフレや国債暴落で国民経済と生活に大きな禍根を残した。その教訓から先進国の中央銀行は互いに連携して安定した金融維持を目標としている。

 

デフレは果たして脱却できるのか。異次元政策のマネー供給で円安株高になった。企業業績も全般的に悪くはない。失業率は2パーセント台となり新卒採用は売手市場である。非正規雇用は減少し賃金上昇の兆しはある。しかし物価はほとんど上がらない。2014年の消費税8パーセントの影響はあるにしてもマネーはどこに行ってしまったのか。企業の内部留保と家計の現金貯蓄に滞留し投資や消費につながらない。黒田氏のリフレ政策は金融業界の中でも少数である。金融業界のエコノミストや官僚はいくら金融緩和をしても物価が上がらない、デフレの原因は別とみる。一つは少子高齢化や社会保障費のリスクとみる日本経済の構造問題。また中国をはじめ新興国の成長により安い輸入品が物価の下押し圧力とする。また日本人は経済成熟した結果もはや欲しいものはないとする意見もある。

 

資本主義は経済成長を前提としたシステムであり資本にかかる金利を回収するためには右肩上がりの成長となる。デフレは物価が下がり投資が減り人々の収入が減り続けるデフレスパイラルである。消費が活発になり投資や収入が増えるインフレで景気がよくなり経済は成長する。経済成長により税収が増え財政再建の問題と将来の社会保障費の問題が可決される。デフレが永遠に続く日本の姿はイコール日本の衰退である。デフレの脱却は将来ある子供や子孫の存続に関わる問題である。異次元緩和で少しの経済の好転を見せたがデフレ脱却の目的を達成できてはいない。金融緩和の副作用である出口戦略を見据えながら日銀、政府、政治、企業の総力をかけてデフレ脱却を目指さなければならない。