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退位

2018年中の天皇退位が決まった。新しい天皇と年号が決まる。天皇と天皇制の議論である。戦前の天皇は現人神、絶対権力者で大日本帝国のトップに立つ神の存在だ。戦後は憲法で決められた国政にはまったく関与出来ない象徴である。戦後の日本政府と占領軍は国体を護持する国民統合の象徴と天皇を位置づけた。天皇は辞めることも選挙することも政治の話をすることも自由に旅行することも出来ない。国民と違い人格と人権は完全に否定されている。

 

戦争が終わり焼け野原となった東京。人は飢え闇市が栄え農村に食糧を買出しに行った。しかしたくさんの人が餓死しその年の冬の寒さで生き残れなかった。人びとは騒乱とデモで被災を免れた皇居に集まった。自分たちはこんなに飢えているのに皇居の献立が流されて怒ったのだ。玉音放送は二度流されている。飢えの苦しみを一緒に耐えようと訴えた。戦争の責任論で退位すべきとの意見もあった。しかし占領軍は許さなかった。精神的支柱にある天皇の上に米国がいる構図を植え付けるためだ。

 

占領軍がいなくなり経済が発展して豊かになる日本。天皇と天皇家の生活感ある話はタブーであった。政府、宮内庁、マスコミ、右翼など様々な立場で国民生活と切り離したからだ。時代が少しずつ変わり国民と共有できる目線に近づいてはきている。今上の天皇が退位の意向を示したことはタブーの風土に風穴を開けた。震災や災害があると慰問に訪れて人びとに寄り添い慰めて励ます。国民との一体感はえた形である。

 

欧州の王室も国民との尊敬と信頼で国民と向き合っている。英国の王室スキャンダルは国民の好奇な視線が商業主義に乗り悲劇を生んだ。一旦国民と王室に隙間風が吹くと元の関係に戻ることは容易ではない。タブー視する日本の皇室、国民と生活感を完全に共有出来ないまでも身近な存在にならなければならない。憲法で制約される天皇を少しでも近づける立場に見直しすることも考えなければならない。