『神の選択』 第二章 二 実体界・時間  その5(番外編) | 真実を求めて

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人は何故、この世に生を受け、一体何の為に存在しているのでしょうか。

その意味を、探求していきたいと考えています。

 次元の定義において、著者が参考にした文献があります。


 『四次元 驚異の世界』 橋本健著 池田書店発行(1983年)

がそれです。


 氏は多数の発明で特許を取得しており、黄綬褒章も授章されている程の電気工学者でありますが、精神世界や超能力にも理解の深い方でありました。


 少し長くなりますが、引用してみましょう。


 次元とは、英語でディメンション(dimention)といい、ひろがり、または動く方向の自由度というような意味です。私たちの住んでいる空間の次元は、x軸、y軸、z軸の三つの座標軸であらわされる三次元ユークリッド空間であるということができます。
 というと、何やらむずかしい深遠な定義に聞こえますが、要するに幅と高さと奥行がある、この私たちのまわりの目に見える世界が三次元世界というわけです。
 この三つの座標軸のほかに、「時間」というもう一つの座標軸を持ってきて、これを「四次元」としたのが、相対性原理にもとづくアインシュタインの考え方ですが、これは物理学者にとっては大変便利な考えであるにしても、空間の軸と時間の軸を同等に扱うところに非常な無理があるように思われます。
 ここで考える四次元世界は、アインシュタインの四次元とは違います。つまり、三次元世界に時間の軸を一つ足した「四次元」ではなく、もっと違う世界の四次元なのです。それでは、一つ一つの次元を探訪していくことにしましょう。
●零次元とは
 これは「位置だけを持っていて、大きさを持たないもの」、つまり幾何学でいう「点」です。ある位置に固定されていて、まったく動きを持たない、自由度零のもの、これが零次元です。
●一次元とは
 これは幾何学でいう「線」です。点が一つの方向に動いた軌跡であり、位置と方向と長さを持っています。線の上の点は、一つの自由度しか持っていません。一つの数字で長さをあらわせば、その点の位置が決まってしまうからです。
 - 中略 -
●二次元とは
 これは「面」です。線が線の方向と直角にグーッと動いたその軌跡が面をつくります。面上の点は、タテ、ヨコ二つの自由度を持っています。
 - 中略 -
●三次元とは
 「立体」です。つまり、面が面と直角にグーッと動いた軌跡が立体になります。立体は、タテ・ヨコ・奥行という三つの次元を持っています。
 - 中略 -
●四次元とは
さて、いよいよ四次元です。三次元の立方体がタテ・ヨコ・高さの方向に、更に直角に動いた軌跡が四次元であるということができますが、悲しいかな、三次元世界の生物である私たちは、三次元の立方体のタテ・ヨコ・高さのいずれにも直角な方向というものを考えることができないのです。私たちの目も耳も鼻も口も皮膚も三次元の感覚器官なので、四次元の世界を捉えることができません。
 ただ、上図のように二次元の平面に三次元の立方体を写した影や、次図のように三次元の地球を二次元に写すと、平面に写った地球の影は、表も裏も、地球の内部もすべて、同一平面にダブって見えるという事実から、四次元世界があるとすると、それは三次元にダブった影としてしか、私たちには見えないことがわかります。
 私たちの見ているこの三次元世界は、四次元の影であり、四次元の一断面図にすぎないと仮定することができます。
  - 以下略 -


 『神の選択』をお読みの方は既にお気付きになられてるかと思いますが、三次元までの説明の仕方はかなり似通っています。

 次元の定義という物理の法則を示しているので、誰が表現しても似てくるのは道理でもあります。


 橋本氏は、空間軸と時間軸を切り離して四次元を物体として説明しようとしているので、かなり苦しい表現でもあり、三次元の感覚器官で四次元を捉えることはできないとも申し述べてはおりますが、氏の言う四次元の定義で斬新であり注目すべきは、

 「私たちの見ているこの三次元世界は、四次元の影であり、四次元の一断面図にすぎないと仮定することができます。」

という一節です。

 この一節を導き出す為に敢えて無理を承知で四次元を物体として説明しようとしたのかもしれません。

 実際のところ、それぞれの空間軸に時間が加わった結果がひとつ上の次元であり、物質世界は三次元まで、四次元以上は精神世界だと理解している我々からすれば何のことはありませんが、オカルト扱いされない為の苦肉の策だったのでしょう。

 また、氏は、四次元は精神世界であるとして、このあとしっかりと持論を展開されております。


 橋本健氏の、この次元に関する話や精神世界論は、当時、宗教者達の間でかなり取り沙汰された様です。

 霊言集を多数書いていることで知られている某有名宗教団体の教祖さんも、初期の代表作では次元の世界観を表現するのに使ったとしか思われないフシがあります。

 ただ、この初期の代表作はかなり改訂されており、件の部分は現在削除されて目にすることができないとも思われます。

  
 下塚さんは、氏の書籍を参考にしたことを注釈したかったのですが、紙面の構成上適わなかったそうで、既に故人でもある橋本健氏への敬意を込めて、ここに記させて頂きました。