なぜ母は事実とは異なる説明をしたのか。
それは離婚に至った原因が。
父の酒癖ではなく愛人問題であったからだ。
しかもその愛人が。
母が経営する美容室で働く美容師のマサコさんだったのだ。
そしてそれを知った母の激高があの茶碗であったのだ。
しかも父はマサコさんに店を持たせようともしていたらしいのだ。
えぇーーーマジでぇーーーー!!!
二度目の吃驚である。
俺もマサコさんを覚えている。
ボブヘアのスラっとしたとても優しい人だった。
あのマサコさんが父の愛人だなんて全く想像できない。
マサコさんがやってきたのは。
美容室開店から3年目。
俺が6歳の頃である。
母が言うには。
マサコさんはカットとブローがとても上手だと評判で。
店の顧客の半分以上はマサコさんのお客さんだったそうだ。
店のカリスマ美容師となったマサコさんであるが。
入ってきた当時と態度を変えることもなく。
母のことは「先生」と呼び一生懸命働いてくれた。
そんなマサコさんのまさかの裏切りである。
離婚を決めた母は同時に慰謝料代わりにこの家をもらうことも決意。
親戚のおばさんに相談してそこで司法書士の先生を紹介してもらった。
その司法書士こそ後に母と再婚する父である。
そして離婚は成立。
俺が9歳の頃である。
南無妙法蓮華経
家は母の名義になった。
財産分与で家(不動産)の所有権を得たとしても。
住宅ローンは金融機関との契約であるため。
住宅ローンの名義は父のままである。
離婚して家を出た父は自分の住まない家のローンを払い続けることになった。
これだ!!
俺達の二世帯住宅計画を。
母が強固に反対したワケはこれだったのだ!
母の話を聞きながら俺はちょっと鳥肌が立った。
しかしローンの連帯保証人には母がなっている。
父が支払いを滞らせれば直ちに母にローンの請求がやって来るワケで。
その辺はどう思っていたのか母に聞いた。
「だからね、そのための司法書士じゃないのよ!
そういうのはぬかりないのよ私!」
だそうだ(笑)
でも。
あれ?
離婚した後も普通にマサコさんって店にいたよね?
そうなのだ。
マサコさんは俺が中学を卒業する頃まで。
母と一緒に働いていたのである。
「そうよ。
だってマサコさんに辞められたらお店潰れちゃうもん。
だから辞めさせなかったのよ。」
えぇーーーマジでぇーーー!!!
三度目の吃驚である。
この辺りの話しは刺激が強すぎて。
割愛させて頂くが(笑)
ただひとつ言うとするならば。
俺の母は「ヤベェ奴」であることに間違いはない(汗)
離婚が成立してから5年の月日が流れていた。
そしてここから再び。
司法書士の先生・・つまり今の父が登場するのである。
続く。
合掌