いつもブログを見て頂き、誠に有難うございます。
今回は、発芽抑制因子(発芽毒)の無毒化方法について申し上げます。
西原克成医学博士は、玄米のアブシジン酸(ABA)を不活性化する方法として
①炊飯前に浸水する方法(夏;12時間以上、冬;24時間以上
※発芽最適温度;30~37℃、ベスト34℃ 最高42℃/最低10℃)
②煎る方法(200度以上で10分以上)
を挙げておられます。(以前のブログでも申し上げました。こちらを参照ください。)
玄米は充分に浸水されることよって、発芽スイッチが入り
発芽毒が下記のように変化していくようです。
・アブシジン酸(ABA)⇒ファゼイン酸(PA)とジヒドロファゼイン酸(DPA)
・フィチン酸⇒イノシトール(ビタミンB複合体の一種)
どちらも毒性は消失します。
イノシトールは、ビタミンBとして働き、脂肪肝や高脂血症の治療に用いられる。
また、セロトニン異常に起因するうつ病、パニック症候群などに
有効とする研究結果もあります。
浸水後の玄米は、酵素の活性により栄養成分が下記のように変化します。
1.でんぷん⇒グルコース
グルタミン酸⇒ガンマアミノ酪酸
2.米アレルギの原因となるアレルゲンタンパク質が減少。
(参考;Biosci.Biotechnol.Biochem.,69(10),1877-1833,2005)
このように、含有アミノ酸の質が向上することが知られています。
≪注意点≫
①市販の玄米で発芽しないものもある。
(根本武雄氏;正常発芽用水中精米発芽玄米の特許申請者)
②雑穀も発芽モードにする。
③分づき米の浸水は危険。
分づき米を浸水した場合、胴われ米など傷ついた玄米を浸水することと
同様の状態となり、アブシジン酸(ABA)産生を増やす恐れがあるようです。
ちなみに、有機農業の田んぼにおいて、“米ぬか除草法”なるものがあります。
この効果は、米ぬかに含まれるABAによる草の芽に対する
発芽抑制効果を利用している可能性があります。
もし、そうであるならば、
「ぬか」には、除草剤同様の発芽抑制因子を含んでいるとも
考えられることになりますね。
④胚芽米も危険。
ぬか成分を殆ど取り除き、胚芽を残す胚芽米は、ABAの問題はないようです。
しかし、袋を開けて充満している窒素がぬけると、2~3日で酸化します。
また、農薬は胚芽に残留しやすいです。
⑤市販の発芽玄米も危険。
市販の発芽玄米のほとんどが乾燥発芽玄米のようです。
発芽玄米を乾燥発芽させた場合、乾燥ストレスから身を守るために
ABAをもともとの水準以上に産生するようです。
この状態を浸水してABAの無毒化をする場合、玄米のままより
倍以上の浸水時間が必要になるようです。
最後までお読み頂き誠に有難うございました。
色々と調べてみましたが、
良かれと思ってしていたことが・・・
とんでもないことにつながっていることもあるのですね。
たった今、気付かせて頂き誠に有難うございました。